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自作電源ケーブル05夏コレクションVCTケーブル編
2005.08.21公開

このページではVCTケーブルを使用した新作を6本紹介する。切り売り電源ケーブル比較試聴で使用したVCTケーブルや、すでに手元にあった自作VCT電源ケーブルを、新しい試みの元にリニューアルしてみたのだ。同じ線材を使いながらも、被服処理の違いでそれぞれ異なる外観に仕立ててみた。

上写真がこのページのケーブルに使用している富士電線製VCT3.5。VCTケーブルは本来、工業用の強電ケーブル。見た目もなんの変哲もない灰色シースのケーブル。しかしながら、オーディオ用純正ケーブルに勝るとも劣らない音質的魅力を有している。ストレートかつ快活な音調が自慢のVCTケーブル。よって、ここで紹介するケーブルは当たり前ながらVCTの音質傾向を有している。ただ、プラグや被服処理の違いで音質も微妙に変化してくるようだ。VCTケーブルについては、長岡鉄男先生ご自身が多用されていた事もあり、先生の著作物にも推奨SP/ACケーブルとしてしばしば紹介されている。
No.101 Bijou

 ACケーブル:富士電線VCT3.5 ACプラグ:Wattagate5266i IECコネクター:Wattagate320i

VCT3.5線をカブセールという衝撃吸収チューブに通し、外装には銅平網シールドメッシュチューブとカラーメッシュチューブを被覆したもの。長さは1.5m。ご覧の通り極太ケーブルに仕上がっており、ケーブル部の外径寸法はφ40ある。カラーメッシュチューブはデンカエレクトロンのFLカラーメッシュφ19を使用している。このカラーメッシュチューブのおかげで既製品にはない鮮明なカラーの電源ケーブルが完成した。
ネーミングは“Bijou”。これはフランス語で宝石と言う意味。このケーブルの外観と奏でてほしい音色に期待して付けた名前だ。プラグとコネクターにはワッタゲートの廉価版5266i/320iを使用。プラグ/コネクター全体とケーブル部分の継ぎ目に渡り、熱収縮チューブを被覆しているのだが、今回のケーブルの配色に合わせ、収縮チューブも赤色のものを使用してみた。このカラー収縮チューブはスミチューブB2の通常収縮タイプ(50%収縮)で、タイガー無線で特別限定販売されていたもの。収縮前の口径はφ50。
VCT線は柔軟性に優れているので、ここまで太くしても柔軟性はそこそこある。ただ、これほど太いケーブルの製作はおいそれと一筋縄ではいかない。細かい失敗や難局を重ねながら、それを克服しつつ、製作を進めていった。Bijouの主旨と制作方法は強力防振構造極太自作電源ケーブル」に準じたものとなっている。
No.97 Blue Lagoon

ACケーブル:富士電線VCT5.5 ACプラグ:Marinco8215TN IECコネクター:SCHURTER4781

VCT5.5線を用いた電源ケーブル。ケーブル長1.5m。VCT5.5に銅平網メッシュチューブを被覆し、最外装はデンカエレクトロンのカラーメッシュチューブ青φ9で仕上げている。ケーブル外径寸法はφ15。端末は耐久性向上のためにニシチューブを被覆しているため、プラグにぎりぎり収まるほどの太さになっている。VCTケーブル自体が柔軟性に優れているので、このケーブルは取り回しがしやすい。このケーブルは5.5スケアの大面積導体なので、VCT5.5らしい低域の量感が優れている。全体的な音のおおらかさもVCT5.5らしい。なんというか、スピーカーでいうなれば、アルテックのA-7のような、先進的、現代的ではないものの、独特の活気の良さと懐の深さを感じるような印象だと言えるかもしれない。
ケーブル部分のアップ。カラーメッシュチューブの隙間から銀色のシールドチューブが見えるようになっており、キラキラと美しく輝いている様は海のさざ波のよう。もちろん、シールドチューブはシールドを主目的として被せているのだが、見た目の美しさにも一役買っている。
ACプラグにはマリンコの8215Tを使用。8215Tの“T”は“Transparence=透明”の意味である。これはこのプラグに限らず、他メーカーの多くの透明プラグで型番に付けられている略称。これはたまたま手元に余りがあったため使ったのだが、変な話、マリンコの8215ブラックバージョンよりわずかながら音質が上である。これは透明ケースを採用したプラグの材質(ポリカーボネイト)の方が有色系のケースより素材的に硬質であり、それがわずかながら音質に好影響を与えているためである。マリンコ8215Tは数年前、PSオーディオの電源ケーブルの補修パーツとして国内流通したことがあるのだが、現在は扱い店はメーカーからの直輸入をやっているK'sLabなどのネット直販店で入手出来る。
コネクタにはシェルターの4781を採用。これはメッキ無し真鍮電極のコネクターで、あたり触らぬ固有音の無さと価格の手頃さで私がよく使うコネクターだ。オヤイデ電気で販売している。シェルター系コネクターはケーブルの固定手法に若干の不安があるため、私はこのコネクターを使う際、いつもコネクターごと収縮チューブで被覆している。こうしてやると、コネクターとケーブルの接合部分が強化されて、ほつれたり外れかけたりする事がない。メーカー品でもよくあるのだが、コネクターとケーブルの接合部分は経年使用で最も痛みやすい箇所なのだ。

このケーブルはそのケーブルの色彩から“Blue Lagoon”と名付けた。珊瑚礁という意味だ。

No.99 Leda

ACケーブル:富士電線VCT3.5 ACプラグ:明工社ME2591 IECコネクター:オヤイデ電気C-029

VCT3.5を用いた電源ケーブル。シールドメッシュは被せていないが、代わりに耐久性に優れたガラスチューブを被覆している。最外装はデンカエレクトロンのカラーメッシュチューブ白φ9。φ12のガラスチューブがφ11のVCT3.5にぴったりはまることに気づき、白いケーブルを作ってみたくなったのが製作のいきさつ。プラグ側は一般的な明工社ME2591だが、コネクターにはオヤイデ電気のC-029カラー試作タイプを装着してみた。プラグ側のケーブルとの接合部分にはあるパーツが仕込んであるのだが、これは後ほどご紹介しよう。このケーブルの音色は、やはりVCT3.5を踏襲した元気の良さ、押しの強い中域の元気良さにある。それに加え、通常のVCTでは得られないなにか滑らかなニュアンスも加わっているように感じる。特に、ボーカル人それぞれの個性や表情が良く感じられるケーブルとなっている。これはひとえにプラグ側に仕込んだ音質向上パーツの効能だと思われる。
ご覧の通り、ケーブルの色調は純白に仕上がっている。VCTそのままだと灰色なのだが、そこに外径 12内径φ11.8のガラスチューブを通している。さらに白メッシュを被せる事によって、このような仕上がりになった。ま、ガラスチューブの音質への効用はさほどないと思われるのだが、VCTケーブルを仮想的に硬くする効能はあるかもしれない。なぜガラスチューブを使ったかと言うと、見た目の美しさを狙ってのことなのだな。ガラスチューブをオーディオケーブルに採用している例はあまりないのだが、TMDやフォノンなどのケーブルメーカーでは使用例がある。このケーブル、名称は“Leda”とした。これはギリシャ神話における白鳥の化身。純白のケーブル外観に似合う名称を、と考えてみたのだ。
プラグとコネクターのアップ。IECコネクターにはオヤイデのC-029の1点モノを使用。この世にこれ1個しか無い色彩検討の試作モデルだ。試作モデルの入手経緯については、オーディオ聖地巡礼記に記述済みだ。この試作モデルの色彩が見栄え的に美しいということで、先月新発売されたC-046/P-046にはオレンジ色のケースが本採用された。
ACプラグのケーブル差し込み側には、収縮チューブに覆われた大きなコブがある。このコブの正体は木の筒だ。長さ40mm、外径φ25mm、内径φ15mmの木の筒だ。これはただの木の筒ではなく、クーナルのWP-15というケーブルアクセサリー。WP-15は昨年に入手。それ以来、スピーカーケーブルに使っている。音のトゲが減少し、非常に有機的な音調に変化したのを体験している。クーナル水自体はかつて、不思議系な効果説明がなされていたこともあるので、そういうのを毛嫌いする人も多いだろう。私もオカルト説明商品には気が引けてしまうのだが、結果が良ければ認めざるを得ない。このクーナルウッドパイプWP-15も、そういうものの一つだ。現在はメーカーホームページに紹介されていないので、絶版になっているようだ。
ここからは“Leda”の制作過程を少しご紹介。右上は耐熱ガラスチューブ1m。秋葉原の愛三電機で購入。ガラスチューブは折り曲げても復元力が強いので、折り目はつかない。ガラスチューブはガラス繊維を基材とし、樹脂整形したチューブ。ケーブルの保護などに使われる事が多く、物理的な衝撃や熱などにめっぽう強い。電気絶縁性も良好なので、絶縁被服材としても使うこともできる。なお、ガラスチューブには白と黒がある。

右上はデンカエレクトロンのカラーFLチューブ白φ9。タイガー無線で2m購入。ガラスチューブだけでは安っぽくなると思われたので、ガラスチューブの色彩を活かすべく、白メッシュを使う事にした。

左はVCT3.5にガラスチューブとFLチューブを被覆した状態。右はケーブルに装着するプラグ類。真ん中の木の筒が桜材にクーナル水を染み込ませたWP-15。
WP-15をケーブルに通し、プラグ側にたぐり寄せる。そして、収縮チューブで固定する。
さらにニシチューブにて収縮仕上げする。

右上はコネクター側のケーブル端末処理の状態。プラグ側と同様、ニシチューブで収縮処理している。この後、芯線の絶縁を剥いて、コネクターを取り付ければ完成となる。C-029は作業性の良いコネクターなので、装着作業は楽だ。

No.100 Sonora

ACケーブル:富士電線VCT3.5 ACプラグ:明工社ME2591 IECコネクター:SCHURTER4781

このケーブルは被服材の色彩検討用の試作ケーブルとして製作した。ご覧の通り金色のケーブルに仕立てている。音色的には被服処理無しのVCT3.5線そのままなのだが、シールドチューブとSFチューブによるケーブルの強化対策が功を奏し、楽器のかすれた細かい音や、倍音の表現、無音状態でのノイズ感の減少などに一日の長を感じる。
ケーブル部分のアップ。VCT3.5に一般的な銅平網組シールドメッシュチューブを被せ、最外装にはφ6のSFチューブを被せている。銅平網組メッシュチューブは通常、銀色をしている。これは酸化防止のためニッケルメッキがなされているためで、一般にはTBCという略称で呼ばれている。このTBCタイプの銅平網組メッシュは安価なので私も多用している。しかしながら、TBCの銀色は視覚的に安っぽい。そこで、TBCを高級感のある金色に染め上げてみたのだ。結果は、ご覧の通り、奇麗な金色に仕上がっている。どのように色彩を変更したかは後ほどご紹介。
名称は“Sonora”とした。Sonoraとはカクテルの名称なのだが、音楽という意味合いがあるらしい。プラグとコネクターは私が常用している組み合わせME2591/SCHURTER4781だ。
銅平網組シールドチューブの着色方法。着色にはニッペのキャンディーカラースプレーという染料系黄色スプレーを使用。価格は1,000円ほどしたかと思う。キャンディーカラースプレーは透明黄色の塗料なので、吹き付け箇所の下地が透けて見えるのだ。銀色の上に吹き付ければ金色になる。これは金色の折り紙を製作する手法からヒントを得た。つまり、銀色の折り紙に黄色系塗料を塗布すると、金色折り紙が出来上がるのだ。
2mのシールドチューブを塗装するのにキャンディーカラースプレー180ml缶を1本使い切ってしまった。このくらいムラなく金色に染め上げるのには、6回ほど重ね塗りしている。なお、シールドチューブが平たいままで塗装すると、ケーブルが通せなくなる可能性がある。だから、スプレー前にあらかじめシールドチューブにケーブルを通して膨らませておく。写真では、ケーブルを通したままスプレーしているが、できればケーブルは一端抜いておいてからスプレーした方がいいだろう。右はSFチューブを被せているところ。銅平網組シールドチューブはほつれやすいので、最外装にはSFチューブなどを被服してやった方がいいのだ。今回は金色のシールドチューブが透けて見えるようにするため、φ6の小口径SFチューブをあえて使用した。φ6の小口径SFチューブは通常、φ6程度のケーブルに使うのが無難。これをめい一杯広げて、太めのケーブルに通してやると、メッシュの隙間が大きく開き、下地がよく見えるようになる。
No.89 IMAGO

ACケーブル:富士電線VCT3.5 ACプラグ:松下WF5018 IECコネクター:SCHURTER4781

ケーブルにVCT3.5、それに日本ジッパーチュービングのシールドメッシュチューブを被覆している。VCT3.5は低域の量感ではVCT5.5に一歩譲る。しかしがなら、引き締まった弾力性のある低域なので、こちらの方が好みの人も多いでしょう。中域の押し出しに優れ、高域も明快で、はつらつとした音色を奏でてくれます。被服材としてはシールドメッシュを被せてあるだけなので、VCT3.5の音色がストレートに感じられる印象。ふくよかなニュアンスとか余韻とかより、元気の良さとかポップス系の立ち上がりの良さを得意とする。長さは1.5m。
名称は“IMAGO”とした。「幻」という意味のラテン語だ。IMAGOはB-2103の脱着式付属ACケーブルとして製作した。IMAGOのケーブル部分だけ拡大視すれば、キャメロットテクノロジーのPM-750(絶版)や、その後継機PM-780/PM-800を彷彿とさせる外観である。
ACプラグには松下WF5018、IECコネクターにはシェルター4781を使用。私が最も使い慣れた端末部材だ。
No.96 Balalaika

ACケーブル:富士電線VCT5.5 ACプラグ:松下WF5018 IECコネクター:SCHURTER4781

VCT5.5にデンカエレクトロンのFLカラーチューブ赤を被せた。シールドチューブは使用していないものの、見た目はなかなか美しい。ケーブル自体は極めて柔軟性に優れているので、取り回しはしやすい。長さは2.5m。このケーブルはB-2103ヤフーオークション出品の付属品として、現在はB-2103落札者の手元で使われている。B-2103の直出しオリジナルはストレスフリー6Nキャプタイヤ線を使用しており、これはたぶんアクロリンクの6N-P4020と同等品であると思われる。しかしながら、そのオリジナル状態に比べ、このVCT5.5自作ケーブルの方が、低域の量感を始めとして全域にわたるエネルギー感が格段に増強されている。
名称は“Balalaika”とした。有名なカクテルの名称だ。ACプラグは松下WF5018、IECコネクターはSCHURTER4781。カラーメッシュは別として、VCTケーブルの電源ケーブル仕立てとしては、私的に最もスタンダードな組み合わせである。
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