オーディオみじんこ
わが愛しのオーディオアクセサリー
オーディオ用ケーブル使用自作電源ケーブル その1
2004.10.12リニューアル

ここではオーディオ用切り売り電源ケーブルを用いた自作電源ケーブルをご紹介しよう。このページはあまりに長くなり過ぎたので、3つに分けることにしました。完成品電源ケーブル電工ケーブル使用の自作電源ケーブル別ページに移動させました。

明るく透明感抜群なハイCP切り売りケーブル!
アクロリンク P-4020||
定価:切売り\4,000/m 実売:\3,200/m前後 販売先:オーディオユニオンお茶の水店 他
株式会社ジャパンエナジーの一部門だったアクロテックが、2003年に株式会社アクロジャパンとして独立した。(株)アクロジャパンのブランド名がアクロリンク(ACROLINK)である。アクロテックは1989年に世界初の6N銅導体オーディオケーブルを発売した有名なケーブルブランドで、スピーカーケーブル、電源ケーブル、ラインケーブルなど多彩な6Nケーブルを発売していた。アクロリンクになって、これらラインナップが一新。型番はそのままにバージョン2へと進化。ここに挙げている6N-4020||も初代6N-4020を元に改良をおこない、素晴らしいケーブルに仕上がっている。導体素材は初代4020と同じストレスフリー6Nのφ0.26mm×37本練り。断面積1.9スケア。ケーブル構造も初代と同じホット/コールド2芯のキャブタイヤ。電流容量も17Aと同様。絶縁材とケーブルジャケットは、ポリ塩化ビニールからポリオレフィンに変更。絶縁材の変更によって、絶縁抵抗が9.2mΩ/mから8.5mΩ/mに低下。初代4020のケーブルジャケットは安っぽい手触りの艶消し黒色だったが、4020||はすべすべした好感触の半艶黒色になった。柔軟性は良く、非常に扱いやすい。私が自作したケーブルの中でも音質はピカイチ!はつらつとした明るめのトーンで、透明度を感じさせるもの。S/Nも問題ない。シールドもされて無いのに、なかなか優秀だ。6N-4020||はオーディオユニオンお茶の水店、キムラ無線、テレオン2号館、オヤイデ電気、ダイナミックオーディオ秋葉原、ヨドバシカメラ新宿本店 などで販売しているので入手は容易。私はオーディオユニオンお茶の水店の移転前に特価\2,800で入手した。
ケーブルジャケットに印字されている文字は金色。方向性の矢印もあり。印字は擦れると剥がれやすい。ここに写っていないがPSEマークも入っている。 6N-4020||のケーブルジャケットを取り除き、さらに導体を剥き出したところ。写真では、8215CATに角度90度で取り付けるため、片側を短くしている。
8215CATに取り付ける。この後、ケースを被せてネジで締め付けると完成。6N-4020||は2スケアと細めなので、容易に取り付けられる。 6N-4020||にACプラグ レビトン8215CAT、IECプラグ フルテックFI-11Gを組み合わせた。ケーブル長は60cmと短い。B-2103に使用中。
ケーブル外寸φ9と細いので、プラグに2本差しできる。2本だと断面積3.8スケアとなる。シングル使用の明るさそのままに、低域の量感がプラス。
フルテックFI-11MG、FI-11Gのケーブル差込口は長方形をしており、横幅も十分。6N-4020||のダブル使用にもベストマッチ。
大形システムで大音量再生する時に真価を発揮しそう
アクロリンク 6N-P4030
定価:切売り\10,000/m 実売:\7,500/m 販売先:オヤイデ電気 他
6N-P4030は6N-4020||の兄貴分である。ただ、6N-P4020||が6N-P4020の進化モデルであるのに対して、6N-P4030はアクロリンクになってから新規に出現したケーブル。切り売り電源ケーブルとしては高価なのだが、ものは試しに買ってみた。6N-P4030の絶縁材、ケーブルジャケットは6N-P4020||と同じポリオレフィン。芯線はホット、コールド、グランドの3芯。ホット、コールドの導体素材は当然ながらストレスフリー6N。グランドは4N。構造はノンシールドのキャブタイヤ。6N-P4030がすごいのは導体断面積の太さ!φ0.26×100本練りで、5.3スケア弱になる!極太なので、導体抵抗も2.9mΩ/mと極めて低い。ただ、ここまで太くする必要があるのかちょっと疑問だ。極端に太いケーブルというのは、低域がダブつきやすく、高域情報が濁りがちになりやすい。さて、この6N-P4030はどうなのか?フルテックの最高級プラグFI-25RとFI-25MRを組み合わせてみた。VRDS-25xsに使ってみた。音質は極太ケーブルのデメリットをそれほど感じさせず、余裕のある響きが特徴。低域寄りのピラミッドバランスとなる。ここらへんは好みの問題だ。聴くソフトによって使い分けるのが良いかも知れない。私はP4020||の方が好みだ。6N-P4030はやはりパワーアンプに用いるのが無難であろう。大形システムで大音量再生する時に真価を発揮しそうだが、私のシステムではいまいち本領が発揮出来ていないと思う。音質より問題なのが、P4030へのプラグの取り付けにくさ。導体があまりに太い上に、差し込む時に芯線がばらけてくる。フルテックやオヤイデのプラグは、導体固定金具の中心に貫通している固定ネジが邪魔になって、極太導体を真直ぐ差し込んで固定する事ができないのだ。今思えば、固定ネジを回避するように、導体をYの字に整形してから差し込めばよかった。マリンコ5266なら、P4030の導体を真直ぐに差し込んですんなり固定できたかも知れない。作業性が悪いケーブルは考えものだ。
6N-P4030のケーブルジャケット。PSEマークが確認できる。6N-P4020||と同様に金色で印字されている。ケーブルの太さはφ13。太い割には柔軟。 ケーブルジャケットを取り除いたところ。ケーブルジャケットと絶縁体の間には白い粉が塗布されている。芯線の隙間から垣間見える細い数本の糸は電磁波吸収糸。
6N-P4030の絶縁材を剥いだところ。綺麗な銅色をしている。それにしても太い導体だ。導体が解れないように、導体の先端へハンダを浸ける。 FI-25MRは極太導体に対応しているはずだが、6N-P4030の導体は太すぎて差し込みにくい。悪戦苦闘の末、ようやく固定出来た。
苦労の末、ようやく完成したケーブル。ケーブル長は120cm。材料費はP4030とFI-25MR、FI-25R合わせ\19,000なり。堂々とした風格だ。 プラグへの差込み状況。スミチューブB2を被せてやっても良いが、FI-25MRの透明なケースを隠すのはもったいないので、そのままにした。
意外とナチュラルな傾向!
AET GAIA-AC/SP spec2004
定価:切売り\12,000/m 実売:\9,600/m 販売先:木村無線 他
AETのガイアは切り売り電源ケーブルの中で最も高額なケーブルである。それゆえに、どんな音がするのかかねがね興味を持っていた。GAIAは厳重なアモルファスシールドを施し、導体素材は6N銅。この6N銅はオーストラリア産のバージン銅で作られていると聞いた事がある。導体構造はMWT(マルチワインドトルネード)と呼ばれる特殊な練り線構造になっている。MWT構造の元祖はS/A LABのハイエンドホース。S/A LABとAETの間には少々因縁がある。S/A LABのMWT構造などを開発者した小原氏が、在籍していたサウンドアティックスを脱退し、新たに設立した会社がAETなのだ。従って、メーカーが違えども、AETはS/A LABの発展型と言える。話が少々逸れたが、このGAIAはスピーカーケーブルと電源ケーブル兼用のケーブルとなっている。購入者がどちらに使っても良いのだ。ただ、購入者の大部分は電源ケーブルに使用していると思われる。完成市販品のGAIAには、やはりスピーカーケーブルと電源ケーブルがラインナップされているのだが、電源ケーブルの方が圧倒的に有名だからだ。それともう一点、GAIAは2004年初頭にspec2004と呼ばれるバージョンにグレードアップした。従来のGAIAはグランド線が1本だったのに対し、spec2004では2本になった。その他なんらかの改良が加えられたと思われるが、AETのホームページには具体的な改良点は一切述べられていない。キムラ無線の木村社長に聞いても、何が変わったのか分からないとのこと。spec2004にグレードアップしたもう一つの理由として、2004年4月の電気用品法改正に適合するための何らかの変更があったと思われるが、これはあくまで私の推測である。現に、このspec2004はPSE認証取得済みになっている。このGAIAspec2004は、2004年5月時点でキムラ無線だけに入荷している。テレオンやオヤイデ、ダイナ秋葉原トレードセンターでもGAIAを扱っているが、これら店鋪の在庫はspec2004ではなく初代GAIAである。AETの掲示板によると、GAIAspec2004は初代GAIAに比べて音楽性が増したとの書き込みを幾つか見かける。初代GAIAは解像度が高いのだが、やや神経質で分析的だとの批評を耳にしていたので、このspec2004はそれらの欠点を払拭したものと思われる。とはいっても、私は初代GAIAを聴いた事が無いので、あれこれ言う資格は無いのだが。GAIA使用の自作ケーブルの音質は意外とナチュラルな傾向。もう少し癖があるかと予想していたが、押し付けがましいところが全く無い。劇的というほどでもないが、瞬発力が高く、分解能も高いようだ。この感触、やはりS/A LABのハイエンドホースに通ずるものがある。パワーアンプ、CDプレーヤー、プリアンプに付け替えて相性を試してみたが、私のシステムではプリアンプのPRA-2000ZRに使うのが良さそうだ。もちろん大電力供給にもへこたれないので、パワーアンプにもいいだろう。なお、PRA-2000ZRは元々、電源ケーブル直出しだったが、脱着式に改造してある。さて、このGAIAspec2004、ケーブル構造が複雑なので、端末処理には少々手間と時間が掛かる。また、切り売りにしては値段が高いのが玉に傷。
GAIA-AC/SPspec2004のケーブルジャケット。初代GAIAよりやや明るめの青色で、アトランティックブルーと言うそうだ。何とも綺麗な青色をしているのだが、擦り傷が付きやすい。ジャケットの素材は非塩素系樹脂なので、燃やしてもダイオキシンが発生しないらしい。外径寸法はφ10。初代GAIAと同じ。ケーブルはかなり硬め。 銀色の被服はシールド材のノイズビートテープ。このシールド材がGAIAの売りの一つ。ノイズビートテープはアモルファス合金でできており、MHzからGHz帯域までの電磁波を強力に遮断できる。ノイズビートテープは単売模されている。オヤイデ電気は10m売り。愛三電気では100m売り。白いのは伸張性のある被服材で、詳細不明。
ノイズビートと白い被服材を取り除くと、芯線と充填材が現れる。充填材は数種類の細い繊維状のファイバーで構成。充填材は強固な繊維なので、綺麗に取り除くには苦労する。充填材を引っ張りながら、生え際をカッターの新刃で慎重にカットするのがコツだ。切り残した充填材はライターの火で軽く炙ってやると、綺麗に除去できる。 充填材を取り除くと、芯線があらわになる。芯線は、ホット/コールドが2芯づつ対角線状に配置されている。この4芯にグランドの2本を合わせ、スパイラル練りされている。芯線の4本練りはスターカッド構造と呼ばれ、外来ノイズの低減、及び導体から発せられる磁界のキャンセリング効果がある。
芯線のテフロン絶縁材を取り除き、導体を剥き出す。MWT導体は1mmほどの中空チューブに6N銅撚り線を2層に巻き付けた構造をしている。1層目と2層目では巻方向が逆になっている。また、1層目より2層目の撚り線の方がやや太めになっている。入念に設計されたケーブル構造に感心する。 導体をさらに解き、中心にあるテフロン中空チューブを、ハサミかニッパーでカットする。さらに、赤、白、グランド毎に2本ある導体をそれぞれ1本づつに束ねる。導体の先にハンダを浸けてやると、解れずにプラグへ差し込める。ここまで来ると、あと一息。
プラグを取り付けて完成!ケーブル長は1.1m。作業時間は3時間ほど。製作費用はケーブル+電源プラグ+IECプラグ合わせ\20,000なり。 プラグはオヤイデのP-037/C-037を使用。GAIAのアトランティックブルーにはオヤイデプラグの半透明ブルーが良く似合う。
アコースティック系の音楽が好きな人にはお勧め!
S/A LAB HIGH-END HOSE PROFESSIONAL(HHS)
定価:切売り\3,600/m 実売:\2,800/m 販売:ダイナミックオーディオ秋葉原中古トレードセンター
S/A LABのハイエンドホースプロフェッショナルは、安価で音も良いお勧め電源ケーブルだ。ハイエンドホースプロフェッショナルを略してHHSとも呼ばれる。発売してからだいぶ経つが、兄貴分のHH3.5とともに切り売り電源ケーブルの定番アイテムとなっている。価格の手軽さと作りの確かさが受けているのだろう。それと、なんといっても独特の黒光りしたケーブルジャケットがかっこいいのである。いかにも高音質といった雰囲気を醸し出している。音の良さもあってのことだが、この艶有りジャケットがHHSの末長い人気の秘密ではないか。HHSはスピーカーケーブルとしても優秀で、高域用に使うと切れの良さが生きてくる。電源ケーブルとしても同様の傾向を示し、低域はほどよく締まってレスポンス良く、爽やかに広がる音場感が特徴。音の立ち上がりも早い。ややあっさり気味に推移するので、粘っこいジャズ再生には向いて無いかも知れない。再生系に用いても良いが、程よく引き締まった低音を生かすにはパワーアンプに用いるのがベスト!アコースティック系の音楽が好きな人にはお勧めのケーブルなのだが、残念なのは供給の不安定さ。これはS/A LABの製品全般にいえることなのだが、小売り店鋪の在庫が切れると、次回の入荷まで相当時間が掛かる。これは発売元であるサウンドアティックスの生産体制に起因しているらしい。さらにはS/A LABブランドを巡って、サウンドアティックスとAETの間で揉め事があるという話もオーディオ店の店員さん達から耳にする。以前、サウンドアティックスの社長にS/A LABブランドの存続に付いて直接お伺いしたことがある。社長によると「表立って宣伝しませんが、需要があるので今後も作り続けますよ。」とのこと。AETとのトラブルについては「AETとの関係について色々なうわさが流れていますが、事実とはかなり異なるんですよ。」とおっしゃられていた。真偽がどうであれ、今後もS/A LABの販売は継続して欲しいものだ。なお、HHSはダイナミックオーディオ秋葉原中古トレードセンター、キムラ無線、オヤイデ電気、テレオンサウンド110、ヨドバシカメラ新宿本店などで入手できる。
HHSのケーブルジャケット。光沢のある黒色。ジャケット素材は非塩素系の難燃樹脂。 HHSの外寸はφ9と細いが、ケーブル自体は結構硬い。
芯線はCPW構造という導体撚りで、これは細い導体を整然と2層撚りしたもの。1層目と2層目の撚り方向を逆にすることで、インクダンスの低減を図っている。導体は6N銅。断面積は2スケア。 充填材はナイロンテープのような薄い箔帯状のテープと、グラスファイバーのような極細の糸で構成されている。これら充填材を慎重に取り除く。誤って芯線の絶縁材を傷つけないよう注意。
プラグのケーブル引き出し口の中心にケーブルが位置するよう、ケーブルに小細工を施す。プラグのクランパー部分を見掛け上太くしてやるのだ。ブチルゴムを2重巻にして、熱収縮チューブで被ってやる。熱収縮チューブで処理をした部分の太さは15mmほどになる。ケーブルが13mmほどの太さであれば、このような小細工をしなくても、綺麗に固定できる。要は見栄えの問題なので、このような処理をせずにプラグを固定しても問題はない。 この状態でプラグに差し込んでやると、プラグのケーブル引き出し口の中心位置でケーブルを固定できる。細いケーブルをそのままマリンコ系のプラグに固定すると、プラグのケーブル引き出し口の中心から大幅にずれた状態でケーブルが引き出されてしまう。プラグには細いケーブルを固定するためのパーツが付属しているが、あまり役に立たない。これらの事は、実際に電源ケーブルを自作した人にはご理解いただけると思うが、作った事の無い人には何の事だかわからないだろう。
完成したHHS使用の自作電源ケーブル。黒光りしていて見栄えが良い。長さは80cm。 マリンコの電源プラグ5266とIECプラグIEC320を組み合わせた。
別の作例。HHSにレビトン8215CATとオヤイデ4781BSRを組み合わせた。ケーブル長は1.8m。壁コンセントから電源ボックスへの接続に使用していた。最近はGT-2000Lの電源ケーブルに使っている。 その他、HHS使用の自作ケーブル。安くて見栄えも良いので、私はHHSを多用している。福田雅光先生もステレオ2003.4月号の切り売りケーブル比較試聴でHHSの音質をほめていたなぁ。
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