オーディオみじんこ
わが愛しのオーディオアクセサリー
自作電源ケーブル
ウッドパイプモジュール装着タイプその1
2006.02.07公開

ここでは、ケーブルの中間にウッドパイプモジュールを装着した作品をご紹介する。いずれの作品もみじんこ2006年初頭の最新作。モジュールの作用実験を目的としている。

No.108 BLUE SMACK
ケーブル:フジクラCV-S3.5 ACプラグ:明工社ME2591 IECコネクター:シェルター4781
ケーブル、プラグ、コネクターはお馴染みの組み合わせ。このケーブルの特徴はケーブル中間に木の筒を取り付けた事。クーナルのウッドパイプ(絶版)をずいぶん前に入手したことがあり、その音質改善効果が思いのほか良かったため、自作で真似てみたのだ。
ケーブルモジュールのアップ。モジュールに用いた木の筒はφ25ニシチューブで覆ってある。
ケーブルモジュールの近影。名称はNo.108 BLUE SMACK。「青い稲妻」という意味だ。CV-Sのエネルギッシュなサウンドと、青いケーブル被服を掛け合わせてのネーミングである。
BLUE SMACKはみじんこ製ウッドパイプ装着の初号機である。プラグ側にもウッドパイプを装着してみた。プラグの後端の隆起部分にウッドパイプが仕込んである。なお、ME2591プラグのケース内側にも黒色塗装を施している。ケース内部にはフォックを仕込んだりもしている。
これが木の筒、つまりウッドパイプだ。外径24mmで、中心に12mmの穴が貫通させてある。材質はブナのようだ。東急ハンズの木材コーナーで売っている。長さは20cmで売られている。これを10cmほどの長さに切断してケーブルに通している。なお、この木の筒には、特殊な浸透剤を染み込ませて、木質を硬質化させている。さらに、フォックを巻き付けたりしている。
右はケーブル端末処理の状況。プラグ側の端末になる。この作例ではプラグ側配線は3芯をそのまま接続させている。それは別にどうでもいいことなのだが、この写真で見てほしいのはケーブル端末を細くしている点だ。明工社ME2591/ME2573、松下WF5018、AET PSE-018HG/HR/GRなどのプラグ系統は、太いケーブルの固定時にクランパー部分がぐらついてしまうと言う構造上の問題点がある。これを克服するには、ケーブル自体を細くしてやると良い。クランパーのケーブル接触部分を深く掘り下げる加工を施してやる方法も考えられるが、クランパーの樹脂自体は非常に硬質なため、切削加工は容易ではなさそうだ。
プラグ側の端末処理の過程続き。導体をハンダで固める。ほぐれないようにするためだ。CV-Sケーブルの導体はかなり太い(φ0.8×7本)ので、ハンダで固めなくてもまとまりが良いのだが、やはりハンダで処理してやった方が何かと扱いやすい。次いで、プラグの本体にケーブル導体を挿し込んで、ネジ止め固定してやる。なお、プラグケースをあらかじめ、ケーブルに通しておくのを忘れないように。私はよく忘れる。
ME2591系の場合、大きめのマイナスドライバーを使ってやると、強固に固定出来る。プラスドライバーだと力が加わりにくいのだ。手が滑って、ネジ溝をなめてしまう事もある。ME2591系のプラグは頑丈に出来ているので、きつく締め上げても壊れる事は無い。これは電極のネジや固定板に鉄材を用いているため。鉄材は音質にとってかならずしもベストではないのだが、頑丈ではある。
次いで、プラグケースを被せる。この写真においては、クランパーに接触する部分のケーブル被服をあらかじめはぎ取っているのがお分りいただけると思う。ケーブル径を細くする事で、クランパーのぐらつきを最小限に抑える意図がある。ME2591を始め、ME2573、松下WF5018、AET PSE-018系のプラグは、ケーブル固定の構造上の問題がある。太めのケーブルを固定しようとすると、クランパーがぐらついて安定しないのだ。ま、実用上の問題はあまりないのだが、私はどうにも気になるのだ。それを回避するには、ケーブル径を細くするのがてっとり早い。クランパーのぐらつきが最小限に食い止められるのだ。
プラグとケーブルを固定した後に、ウッドパイプを通す。さらに、各所にフォックを貼付けてみた。
これがfo.Q(フォック)。木曽興業が製造する防振シートだ。フォックがオーディオ界に登場したのは比較的最近の事だ。フォックは第一号製品のSH-01が登場するやいなや、瞬く間に製品ラインナップを拡充。ターンテーブルシートからインシュレーター、ブレーカースタビライザー、はては液状タイプまで。フォックの中でも一番新しいのはこのパーツ/シャーシ用薄型シートTA-52。ご覧の通り、半透明の薄型シートだ。厚みは0.5mm。定価3,360円。この手の製品としてはやや高いが、作業製がよく、効果もそれなりにあるので、なにかと重宝する。柔軟で密着性もよく、剥がしやすく、とても扱いやすい製品だ。TA-52は2枚組で、1枚は200×150のシートで、もう1枚はあらかじめ切れ込みが入っている。
実は、フォックが登場した当初、また似たようなものが出てきたなぁというのが第一印象だった。この手のシート状防振材はオーディオ界に氾濫しているからだ。私も防振シート、あるいは制振シートの類いは種々試しており、各製品それなりの効果があることは認めている。ただ、あまりにも似通った製品が多いので、新製品が出てきたからといって、いちいち試すのが億劫になっていたのだ。ところが、ある時、秋葉原のオーディオ店でフォックの効果を目の当たりにした。アンプの下にフォックが敷かれていたのだが、外してみると音像がぼやけ、聴くに堪えない。その音質差に唖然とし、効果を認めざるを得なくなったのだ。
No.111 SHARLES VANOT
ケーブル:フジクラCV-S3.5 ACプラグ:明工社ME2591 IECコネクター:シェルター4781
No.111 SHARLESVANOTは、BLUESMACKとほぼ同じ仕様。プラグ側のウッドパイプは装着しせず、シンプルにまとめあげている。ケーブル長2.5mと長め。高い位置にある機器用に製作。外装はシャークワイヤーの青メッシュ。
モジュールのアップ。前述のBLUESMACKと同じ行程で取り付け。モジュール装着のアイデアは、我ながら気に入っている。
プラグは名工社のME2591。クランパーを黒く塗装している。CV-S3.5の端末付近の外装シースを剥き、ケーブル径を細くしている。これにより、クランパー固定の安定度が増す。
コネクターはシェルター4781。全体をニシチューブで被服。耐久性を増すと同時に、コネクターのプラスチックケースの振動を抑え込む働きもする。SHARLES VANOTというのは、リキュールの一種、ブルーキュラソーの製品名。ケーブル外観の色彩と、モジュールの形状がシャルルバノーのボトルの形に似ている事から命名。音質傾向はBLUESMACKと同じ。
No.117 SPESSARTINE
ケーブル:フジクラCV-S3.5 ACプラグ:明工社ME2591 IECコネクター:シェルター4781
No.117 SPESSARTINEはCV-S+ウッドパイプモジュールの三作目。ケーブル長は1.5m。前作とは、メッシュ被服とケーブル長が違うだけ。デンカエレクトロンのFL-9透明を被覆している。CV-SにFL-9透明を被せるとどんな感じになるかやってみたくて製作。キラキラと輝く姿が美しい。
ケーブルモジュールのアップ。製作行程は前述のBLUE SMACKと同じ。モジュールの長さは約10cm。木の筒なので重くはなく、ケーブル配線の邪魔にはならない。
ケーブルの拡大写真。透明メッシュチューブは光を浴びるとキラキラと輝く。モノトーン調の外観。

余談だが、このケーブルも含め、私の製作する電源ケーブルのほとんどは、アース配線を片側のみ接続としている。両端を接続するとS/Nが低下するためだ。電源ケーブル好きの人にとっては、ここらへんは承知の事実だと思う。現象として明らかであり、原因も解明されている。同件については、福田雅光先生が常々唱えられていることであるが、私も同感である。

電源ボックス内部でコンセント同士がアース配線されている場合、各機器から接続される電源ケーブルのアース配線に、ラインケーブルのアース配線が重複し、複雑なアースループを形成する。これによってS/N低下が起こる。これは聴感上、はっきり分る場合と、そうでない場合がある。海外製品の場合、アース配線が配線されている事が多いのだが、日本向けバージョンのみ、アース配線を切り離しているものもある。

日本の電源事情ではオーディオの3Pアース配線はほとんど意味無し、むしろ不必要である。日本の電源事情においては、大地アースと言う意味合いでのアース接地は、コールド配線が兼ねているからだ。コールド側の配線を逆にたどっていくと、柱状トランスの直下で、地中アースが敷設されている。機器のシャーシ電位を一定に保つアース接地であれば、それは別途設ければ良い。

オーディオ機器におけるアースの問題は、少々ややこしい。一つ言える事は、自作ケーブルの製作において電源ケーブルにアース配線があった場合、プラグ側、或はコネクター側のみの片側接地をお薦めする。金属パーツのフロート状態における浮遊電流ノイズの発生などの観点からである。

SPESSARTINEのとは宝石の一種。ACプラグは明工社ME2591。IECコネクターはシェルター4781。
さらにプラグとコネクターを別角度から。処理方法は前述のケーブルたちと同様。
このページで紹介したケーブルはいずれもウッドパイプを装着したCV-S電源ケーブルである。以前幾例か製作していたアルミ隗装着ケーブルは、アルミ隗の手持ちが無くなったため、製作出来なくなった。そこで思いついたのが、ウッドパイプの装着である。はっきりと比較試聴したわけではないので、漠然とした印象なのだが、アルミ隗装着タイプはCV-Sの押しの強さをさらに強調し、音像を明瞭化する傾向だった。対して、ウッドパイプ装着タイプはCV-Sケーブルのエネルギー感に芳醇な音の広がりを付加したような印象を受けた。気のせいかもしれないが、モジュールの材質が再生基調に乗ってくるようである。総じて、モジュールの装着により解像度のアップが図れる事が分った。これに気を良くして、既存の自作ケーブルにもモジュールを装着することにした。その模様はまた別ページで。
オーディオみじんこへ戻る
わが愛しのオーディオアクセサリーへ戻る