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切り売り電源ケーブル一斉比較試聴
〜切り売り電源ケーブル比較試聴の準備〜
2005.06.09公開
2005.06.26ページ分割
(ページが長いため
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 -比較試聴機器の経緯-

 自作電源ケーブルを製作する時に悩むのが、切り売り電源ケーブルのどれをチョイスしたらいいかということだろう。電源ケーブル製作における基本3部材「ACケーブル」「ACプラグ」「IECコネクター」この選択の如何で、音質は大きく左右されるはずである。特に、電源ケーブルの影響は大きい。電源ケーブルにおける音質への影響度はACケーブル>ACプラグ>IECコネクターだ。
1年余りの間に切り売りACケーブルのニューフェースが相次いだこともあり、それらを一斉に比較試聴してみることにした。上はニューフェースの代表格3本。緑色はアコースティックリバイブのPOWERMAX5500、青がAETのSCR-AC、茶/黒シースはサエクのAC-4000。
こちらはケーブル端末の外装シースを剥いた状態。左からアコースティックリバイブPOWERMAX5500、アクロリンク6N-P4030、フジクラCV-S3.5、AET SCR-AC、サエクAC-4000、ディーバス14-4CT。

 どうせ比較試聴するならどかんと一挙にやりたいものだ。そこで、老舗のオーディオ用切り売り電源ケーブル、並びに古くからケーブル自作に流用されてきた電工用ケーブル、試聴機器(DV-AX10)の附属ケーブルも加えてみた。さらに、メーカー完成品電源ケーブルの代表として、MITのShotgaunAC-1も試聴に加えた。その他、手持ちのケーブルなどあれやこれやと試聴リストに加えていった結果、総勢17種類の電源ケーブルを比較試聴することになった。

左写真の左から
MIT ShotgunAC-1(ACプラグをレビトン5266Cからレビトン8215PLCに交換している。)
富士電線 VCT5.5sq(赤いメッシュを被せている。本来は灰色シース。)
アコースティックリバイブ POWERMAX5500(2005年4月に発売されたばかりの新製品)
フジクラ CV-S5.5(強固な構造の強電用ケーブル)
フジクラ CV-S3.5(強固な構造の強電用ケーブル)
アクロリンク 6N-P4030(新生アクロリンクで加えられたラインナップ)
AET SCR-AC(GAIAの後継)
サエク AC-4000(2005年4月発売のニューフェイス)
富士電線 VCT3.5sq(長岡派御用達の強電用ケーブル)
AET GAIA-AC(すでに絶版。高価だが人気はあった。)
ディーバス 14-4CT(サウンドアティックスブランド。人気高い)
ディーバス 14-4CT(青メッシュ、オヤイデロジウムプラグコネクター搭載)
S/ALAB HHS(一世を風靡したブランド。息の長い製品)
オヤイデ電気 ストレートライン2by2(比較的新しい製品)
アクロリンク 6N-P4020||(4020のバージョンアップ品)
アクロリンク 6N-P4020||ダブル使用(P4020||を単純に2本組使用し、導体断面積を倍にしてみた)

こちらはケーブルに装着するACプラグ/IECコネクターのワッタゲート5266i/IEC320i。350/330 ではない。そんな金はない。透明ケースになっているペアがあるが、これも中身は同じ。厳密に言うと、透明ケースは黒ケースより硬い樹脂でできているので、少し音調も変わってくることがあるが、この際は無視しよう。これらは4月時点で手元にあったワッタゲートなのだが、その後もう1ペア追加購入し、ケーブル7本分はこれらのプラグコネクターを装着することになった。当初は試聴条件を完璧に同一にするため、ワッタゲート5266i/IEC320iの個数分だけ、つまり7本分の切り売り電源ケーブルを試聴するつもりだった。しかし、ついつい欲が出て、あれもこれもと追加していくうちに当初予定の倍近い数量を比較することになった。予算と入手経路の都合もあって、試聴ケーブルの幾本かは松下WF5018/シューター4781を装着することになった。また、私のシステムで常用している自作ケーブルも試聴することにしたため、それらは製作時のプラグのまま試聴している。プラグコネクターが違ったりするので、純粋な比較試聴とは言えないのだが、今回、この条件を整えるのが精一杯だった。
-比較試聴機器の準備-

さて、お次は今回の試聴に用いたオーディオシステムについてご紹介しておこう。

ケーブル交換のために、いちいちシステム背面に回り込んでいては効率が悪い。だから、今回は機器をラックから引っぱり出し、床に直置きした。これなら、電源ケーブルの脱着がささっとおこなえる。普段はこんなセッティング、絶対にできない。連休で家内と子供が帰省しているから、こういう置き方ができるのだ。今回、ケーブル交換の対象にした機器は、パイオニアのユニバーサルプレーヤーDV-AX10。VRDS-25xsを使っても良かったのだが、私は最近、DV-AX10を使うことが多い。DV-AX10の繊細感かつ滑らかな音調が気に入ったのだ。両脇にはサンスイのパワーアンプB-2103MOSVintageを配置。高域1台、中低域1台のバイアンプ駆動とするつもりだった。電源経路はブレーカーから電源ボックスまで直接配線としている。長さ10mの藤倉CV-S3.5を使用。電源ボックスは強化木で製作した自作品。この電源ボックスから各機器に分配。
さて、セッティング後、音出しをしてみる。ここでトラブル発生。最初はきちんと鳴っていたものの、1時間ほど経ってから片側のB-2103の調子がおかしくなってきた。片chの音が途切れ始めたのだ。あちゃー、こんな大事な時になんてことだ!悩むことしばし。不具合を確認してみると、どうやらセレクタ−かボリュームの接点不良っぽい。実はこの症状、この機体の入手時からしばしば起っていたのだが、気になりながらも放置していたのだ。だが、今回の試聴のためには何が何でも動いてくれないと困る。急いで駅前のオーディオユニオンでスプレータイプ接点復活材を購入し、接点不良箇所とおぼしき箇所に吹き付けてみた。一瞬きちんと音が出たものの、しばらくするとまた音が途切れ始めた。これでは駄目だ。バイアンプ駆動を諦めるしかない。
仕方なくB-2103を1台外し、もう1台のB-2103のみでスピーカーを駆動させることにした。ま、B-2103はステレオアンプだから、バイアンプ駆動させなくても、試聴にはなんら差し支えない。あえていうなら、バイアンプ駆動時の方が音離れが良く、エネルギー感も向上するのだが、今回は非常事態のため、シングル駆動でがまんしよう。壊れたB-2103はアクアオーディオラボに修理に出そうかと思っている。ついでにアクアのファインチューンでも施してもらおうか。そうなったら、オリジナルB-2103とファンチューンB-2103の対決もできるな。事は常に前向きに、ってね。
B-2103には私の自作電源ケーブルNo.50 SKYDivingを接続。この自作ケーブルは藤倉のCV-S3.5を使用し、エネルギッシュでお気に入りな電源ケーブルなのだ。DV-AX10とB-2103はRCAラインケーブルで直接配線。B-2103は本来パワーアンプなのだが、良質なセレクタ−とボリュームが付いているためプリメイン的な使い方ができるのだ。ラインケーブルも自作で、オヤイデ電気ストレートライン75ADに、TMSのコレットチャックプラグ6105Gを組み合わせている。私が普段から使用しているラインケーブルだ。長さは80cm弱。
これはおまじないなのだが、ショートピンをB-2103の空き入力端子に装着している。これはアコースティックリバイブのSIP-8とBSIP-2。SIP-8がRCAタイプで、BSIP-2はXLRタイプ。各オーディオ店で聞いてみると、相当売れているらしい。SIP-8/BSIP-2ともに真鍮とアルミ合金で構成され、金メッキも施されている。なかなかに凝った作りのショートピンだ。この見た目の美しさに物欲を掻き立てられ、思いきって新品購入した。さて、効果の程は・・・正直はっきりした効果は感じられない。飾りにしてはお高いですのぅ。今度、厳密な比較試聴をしてみないとね。

エージングは各電源ケーブルあたり2〜8時間ほど。日常使っているテレビ関係の給電用に一日毎、取っ替え引っ替えエージングした。十分ではないが、本数が多いのでこれが限界。大電力の通電で急速エージングする手もあるが、今回はごく自然なエージング法をとった。アンプの通電は、試聴の3時間ほど前から開始。ケーブル交換の対象機器であるDV-AX10は前日夜から通電。試聴は昼前から開始し、6時間ぶっ通しで敢行。実は今回、ケーブルの試聴だけに留まらず、クワイエットライン/QRT-1/ACエナコムといったノイズフィルター3種、及び、インシュレーター3種の比較試聴もおこなった。しかし、この電源ケーブル比較試聴のレポートを作成するのが手一杯で、ノイズフィルターなどのレポートは後日に後回しすることにした。

なお、私の試聴環境は自分で言うのも何なのだが、けっして高級ではない。エントリークラスではないだろうが、ハイエンドではない。手の届きやすい価格のシステム構成である。しかも、ほとんどの機器は中古で格安入手している。機器をグレードアップしたいのは山々なのだが、何十万何百万というまとまった金がつぎ込めるほど裕福ではないので致し方ない。アクセサリーにこんなにつぎ込む金があるなら機器の方にお金掛けた方がいいんじゃない、という指摘もありそうだが、これは半ば当たっている。オーディオアクセサリーにこれほどつぎ込む金があったら、コツコツと貯めて大物買いをすればいいのだが、ついつい手の出しやすいアクセサリー、特に自作系パーツに金を費やしてしまうのだ。ま、アクセサリーも中古入手が多いのだが。私の使っている自作スピーカーは、突き抜けるような異端的な音色で、少々粗っぽいところもある。部屋は6畳間と狭小であり、理想的なリスニング環境とは程遠い。よって、これから述べるケーブル比較試聴が万人のシステムに通用するかどうかの確証はない。だが、この程度のシステムとリスニング環境でも、ケーブルによる音色変化が確認できることを思うと、まんざら見当違いの試聴結果でもないとは思っている。もう一点、私の耳の感度は並程度であろうということ。ハイエンドオーディオマニアやオーディオ評論家のように、数多のオーディオ機器やケーブルを体感しているわけでもない。ま、普通の耳で聴いて感じたことをつらつらと書き綴っている。あと、メーカーに媚びを売る必要はないため、思った通りを批評している。

-比較試聴ディスク-

試聴ディスクは下の5枚。いずれもCDだ。左のレーベルから順に紹介しよう。

分類/ジャズ 
寺島靖国セレクション 「JazzBar2004」 5曲目:ERIC TERUEL Liverpool Walk Inter Luttes

分類/男性ボーカル
山下達郎「僕の中の少年」9曲目:僕の中の少年

分類/女性ボーカル
SOPHIE.B.HAWKINS「Whaler」4 曲目:As I Lay Me Down

分類/ロック
佐野元春 「Cafe Bohemia」7曲目:YOUNG BLOODS

分類/テクノポップス
平沢進(核P-MODEL) 「ビストロン」1曲目:二重展望3

各曲は冒頭から01:30ほどを試聴。JazzBar2004以外はハイエンドな録音でもない。単に私が好きな曲だからだ。山下/ソフィ/佐野はいわゆるポップスやロックの分類になるし、平沢にいたってはテクノポップに該当する。なんだ、せっかく試聴するんだから、優秀録音版やクラシックとか名盤など、オーディオマニア受けする選曲にしろよ、と思われるだろう。ただ、私にとっては聴き慣れたものが一番良いので、この選曲と相成ったのである。ただ、単純な音調の曲は避けた。逆に、あまりに激しい曲も避けた。アパートの階上の御夫人が妊娠しているらしく、一日中部屋にいらっしゃるので、あまりの爆裂音でびっくりさせてはいけないからだ。あぁ、アパート暮らしの悲しさよ。そうそう、私が今住んでいるマンション、入居する前には不動産屋から鉄骨造ALC造と説明を受けていた。木造アパートよりは多少は防音されているかと思って入居したのだが、なんのことはない、近隣の音が筒抜けなのだ。壁を隔てて隣接している居住者のくしゃみや笑い声が明瞭に聞こえる。たぶん、近隣の住民の方が私の工作音やオーディオ再生の騒音に迷惑してるだろうけど。オーディオマニアと同じマンションに住むものではない。で、最近ふとしたきっかけで気づいたのだが、マンションの賃貸契約書の契約内容のところに「木造アパート」と小さく表記されているではないか。私は3年間も鉄骨造マンションだと思って住んでいたのに。どうりで音が筒抜けなわけだ。ま、鉄骨造マンションも木造アパートと防音においては大差ないことも多いらしいのだが、なんかだまされた気がする。今度引っ越すときは、鉄筋コンクリートマンションにしないとな。 

 こんな大掛かりな試聴実験をよくやるものだ、こんなにお金を掛けるならメーカー製の高級ケーブルを買ったほうがいいんじゃないの?と他人ならずとも自分でも感じている。だが、切り売り電源ケーブルの音質比較は私の積年の課題でもあったし、ここ1年余りで魅力的な切り売りケーブルが数多く出現したこと、たまたま手持ちのプラグが沢山あったことなどもあり、比較試聴を思い立ったのである。PSE問題以降、オーディオ雑誌では自作電源アクセサリーの大々的な比較試聴記事をとんと見掛けなくなってしまったので、私が代わりにやってやろうという意気込みもある。あと、電源ケーブルの自作においてあれやこれやと迷うのに私自身、正直うんざりしているので、ここではっきりケリを付けておきたいと言うものある。今回の試聴結果を元に、私が今後安心して使い続られる切り売りケーブルを選び抜きたいのだ。このレポートが、私と同じ悩みを持ち、指針を求めている自作マニアにとって、福音となれば幸いである。さて、いよいよ本題の切り売り電源ケーブル比較試聴結果をご覧あれ。 電源ケーブル17種類の音質比較レポートへ行く
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