オーディオみじんこ
わが愛しのオーディオアクセサリー
電源プラグその2

2009.09.29up!

電源プラグもこの数年間でずいぶんと登場し、そして取捨選択されて来た。電気用品取締法(旧法)の甲種電気用品に対する販売猶予期間の終了(2004年4月1日)とともに、レビトン、マリンコは日本市場から姿を消した。一方、フルテック、オヤイデ、ハッベル、コンバックコーポレーションが輸入するワッタゲート(WATTGATE330)が電気用品安全法(俗称:PSE法)のPSE認証取得にて残存。
松下電工(現 パナソニック電工、WF5018など)、明工社(ME2573/ME2591など)、アメリカン電機(7112GNなど)といった一般用電工メーカーは、当然ながらPSE取得にて継続販売。サウンドアティックスのRAC-5018(RAC-WF5018)もWF5018ベースと言う事からか、現在に至るまで現行製品である。

2004年以降、オーディオ向け電源プラグ市場には、AET(明工社ME2573がベースのPSE-018HR/HG/HGR)、ORB(松下電MF5018ベースのHP-3GGなど)、SAEC(フルテックFI-25MRのOEM)が新たに参入。また、極めてマイナーながら、ロビン企画などが輸入販売するIeGO(イエゴ)の存在も見え隠れする。さらに2009年夏、シーエスフィールドの独自ブランド「ジョデリカ」によるETP-850CUが登場。

そんなこんなで、2009年現在のオーディオ向け電源プラグ市場は、フルテック、オヤイデが2代巨頭で、AET、ORB、ハッベルがこれに続き、SAEC、ワッタゲート、ジョデリカが少し花を添えるといった状況である。

各メーカーの動向について、さらに勝手に述べさせてもらうと、AETはここ数年、電源プラグの新製品を出しておらず、停滞気味。AETの電源プラグは明工社ベースなので、今後の可能性としては明工社が2007年に発売したME7074をベースとしたL型プラグの製品化が考えられるが、これは私の勝手な推測。

サエクもベースモデルの絶版により、プラグ単体販売から手を引くか、FI-28ベースのOEM販売に移行するかどちらかだろう。

ワッタゲートも2006年だったか2007年に、WATTGATE330iAG(WATTGATE330AG)という銀メッキモデルを発売しているが、コンバックのホームページにもアナウンスが無く、市場でもほとんど話題になることもなく、地味な動きだ。

現在、オーディオ向け電源プラグ市場において、最も活発な動向を見せるのは、フルテックとオヤイデである。
フルテックは2008年にFI-50MRという最高級電源プラグを発売。2009年初頭にはFI-50MRの普及版でありFI-25MRの後継モデルでもある、FI-28MRを発売。FI-28MRに関しては、オーディオアクセサリー133号に詳述しているので、そちらをご参照あられたい。

オヤイデ電気はP-037に続き、PSE以降もP-029P-046P-079を相次いで発売。2006年にはアルミハウジングを纏った最高級電源プラグM1を発売。さらに2007年、M1の普及クラスにあたるP-004を発売。さらに2009年末には何らかの動きがある。

オーディオアクセサリーメーカーが上述のごとく勢力争いにしのぎを削る一方、なんだかんだ言って安定して売れているのは、電工パナソニック電工WE5018や明工社ME2573といった電工メーカーの電源プラグである。これらの電源プラグが売れるのは、ひとえに「値段が安い」からなのだが、古くからオーディオ用電源ケーブルに好適な電源プラグとして知られてきた存在であり、雑誌記事やオーディオマニアのサイトでもこれらを用いた作例が多く、音的にもそこそこ使えるからである。また、これから電源ケーブルの自作に取り組もうとしている入門者は「付属電源ケーブルより勝るものをできるだけ安上がりに組み上げたい!」という心情が強く、WE5018やME2573はいまもって売れ筋なのである。

レビトン、マリンコはPSE未取得のため雑誌やオーディオ店では見かけなくなったが、ヤフオクや一部のネットショップでは現在でも入手可能。IeGOはPSE取得と謳ってはいるものの、ヤフオクやロビン企画といったネットショップでしか入手できない。なお、レビトンやマリンコはPSE未取得だからといって品質に問題があるわけではない。レビトンに関して私が聞いた話では、輸入商社はPSE申請を画策したものの、メーカー(レビトン)がPSE認証に必要な審査官による製造工場等の検査設備の査察に難色を示したらしい。これは、たかが東洋の一国の法律改正に応じて、何故ゆえ企業秘密の塊である製造工程を開示しなければならないのか、という米国の巨大メーカーらしい理由だったようだ。さらに申請費用が高額(だいたい1品目40万円ほど)、審査官の渡航費用も輸入商社またはメーカーが負担しなければならない等の理由により、PSE申請を断念せざるを得なくなったらしい。マリンコのPSE未取得もおそらく同様の理由からだろう。個人的には、数ある電源プラグの中でもいまもってトップクラスの音質を有するレビトン8215CATだけでも、正規に輸入再開されないものかと望む次第である。

一方、なぜ同じく米国の巨大メーカーハッベルだけは、PSE認証を取得するに至ったかというと、これはあくまでうわさだが、大部分をメーカーで組み立てたものを日本の輸入商社(木村洋行)が輸入。最終組み立てを国内でおこなうことで、国内の最終組み立て現場にPSEの査察官を受け入れ、ハッベルの工場査察を回避したというもの。こういう裏技を使ってでも輸入されることは喜ばしい事である。繰り返すが、この話はあくまでうわさである。
なお、2005年改正の現行PSE法では、IEC規格に準拠した製品であれば、PSE認証検査を省略してPSE認証を取得できるとされているが、いまもってマリンコ、レビトンが輸入再開されるという話は聞かない。


IeGO 5N純銀ACプラグ[BU]
2009.05.03up!

 購入額:\9,500税抜き(オスメスペア)

1ego4N

IeGOの5N純銀電源プラグ(オスプラグ)と電源コネクター(IEC320コネクターまたはメスプラグともいう)。Ti2000という型番もあるが、電極の素材違いの別バージョンにも同じ型番が与えられているので、ここでは単に5N純銀電源プラグとしておく。


5N純銀電源プラグはロビン企画より購入。IeGOは、レゴではなくイエゴと読む。最初、私はレゴだと思っていた。また綴りはIEGOではなく、IeGOが正しいようだ。この電源プラグ、ご覧のとおり非常に美しいブルーカラーをしている。ケース、内部構造ともにマリンコとそっくりである。マリンコの了解を得ているのかどうかは不明だが、よくも悪くも使い勝手はマリンコと同じだ。


ロビン企画の説明によると、IeGO社はアメリカに本社を置き、航空機メーカーのボーイング社のパーツや原子力潜水艦のトランスなどを製造しているメーカーらしいが、同社サイトにはオーディオ関連の情報誌か見当たらない。
この商品の箱にはIeGO Power Dream Worksという文字に続いて-Taiwan Co.Ltdと記載されている。つまり台湾のメーカーということだろう。
またロビン企画の製品紹介ページでは「UL規格、(PSE)電機安全環境研究所製品認証部にて商号性検査合格品です。」と明記されている。実際に箱にも「PSE」とPSEの認証機関を示すJETとが印字されている。PSE認証しているなら、もっと表立って国内流通させればいいのになと思うのは私だけか。


ケースに貼られている金色のシール。Hi-Power Grade 99.999% Purity Silverと刻印されている。Hi-Power Grade の意味は分からんが、 99.999% Purity Silverは5N純銀グレードの電極を備えていることを示している。

iego

PUM TM UHPL-OCC-Crystalとも刻印されている。PUM TM UHPL-の意味は分からんが、OCC-Crystalは大野式巨大結晶のことだと思われる。すなわち結晶粒界の少ない巨大結晶構造を特徴とする銀素材ということか。

iego

電極のアップ。これでもポリマール(金属磨き布)で磨いたのだが、少し曇っているなぁ。
以下、電源プラグ(オスプラグ)とIEC320コネクター(メスプラグ)の内部構造を紹介していく。

iego

IEC320コネクター(メスプラグ)の内部。マリンコと構造は極めて類似しており、このように電極を取り出す事が出来る。電極は銀、電極を取り巻くロの字型のカシメ部分は真鍮。本体樹脂部分にはIeGOのロゴが見える。

iego

銀の電極(ここではメスプラグ)をポリマールで磨いているところ。購入時にはくすんでいる電極も磨けばピカピカになる。この電源プラグは、このような磨き作業をしたほうがよい。なお、購入した箱内には磨き布が同封されているが、あまり研磨力は強くないので、それで磨いてもくすみ(酸化銀の皮膜)は取れにくい。

iego

電極とカシメ部材のアップ。真鍮製のカシメ部材にはIeGOのロゴが刻印されている。なかなか細かいこだわりだ。ネジが磁性体だったか非磁性体だったかは忘れた。

iego

磨いた電極を本体にセットする。この電極は電源プラグ(オスプラグ)ではなく、IEC320コネクター(メスプラグ)のほうなのであしからず。

iego

電極をセットしたIEC320コネクターに中仕切りをネジ止めした状態。

こちらが電源プラグ(オスプラグ)の内部。中仕切りが透明ポリカーボネート製。

電源プラグの中仕切りを外したところ。

電源プラグは電極が頑丈に嵌め込まれており、なかなか外せない。なので、この状態のまま露出している部分をポリマールや接点復活剤で磨いてやる。

そうそう、5N純銀電源プラグを買うきっかけになったのは、ゾノトーンの6NPS-4400Meisterだ。私は現在、このスピーカーケーブルを使っている(2008年10月にキムラ無線が閉店した際、半額セールでまとめ買いした。)のだが、少し余ったので電源ケーブルに仕立ててみようと考えたのだ。このブルーカラーの美しいケーブルに合う電源プラグは無いものかと考えた挙げ句、お!これなら!と5N純銀電源プラグを購入。組み合わせてみたら、思った通りのオールブルーカラーで、この上なく美しい電源ケーブルに仕上がった。鳴らしはじめの音はなんとも個性的で鮮烈。切れ味抜群という言い方もできるが、高域がしゃしゃり出て耳に突き刺さるドンシャリサウンド。これはこれでとても面白く、あまりの強烈サウンドにびっくりした。久々に電源ケーブルによる激変ぶりを体験した。
まー、問題はその後であった。一夜通電し続け、翌日再度鳴らしてみたら、切れ味はどこかに消え失せ、おしとやかな普通の音になっていた。ははは、よくも悪くも「銀」の特性だ。ま、悪い音ではないので、いまでもパワーアンプPA02に刺さったままだ。あ、4400マイスターは本来スピーカーケーブルなので、あしからず。やるなら自己責任ということで。

オーディオみじんこへ戻る
わが愛しのオーディオアクセサリーへ戻る