オーディオみじんこ
わが愛しのオーディオアクセサリー
IECプラグ
さて、このページでは切り売り電源ケーブル電源プラグに続き、自作用のIECプラグ(IECコネクター)についてご紹介する。なお、ここに紹介するIECプラグはみじんこが所有するものだけ。世の中にはもっと多くのIECプラグが存在する。
フルテック FI-11(G)

定価:\4,800 実売:\3,600 販売先:キムラ無線・オヤイデ電気

FI-11(G)は2003年10月末のAVフェスタで初お目見え、同11月に販売開始した新製品だ。フルテックは同時に数種類の電源アクセサリーを発表。電源周りが一層賑やかになった。さて、このFI-11(G)は価格も手頃で作りも頑丈なIECプラグに仕上がっている。そして、フルテックのプラグにありがちだった工作上の不便さもみごと解消!作業性も極めて良い。電極はリン青銅、メッキは厚手の24金メッキだ。リン青銅を使うのは、バネ性が良くため。実際、インレットへ差し込んだ際の食い付きはかなり良くなっている。みじんこは壁から電源BOXまでの接続ケーブルに装着して使っている。これひとつで音質が極端に変わるものでは無いが、オヤイデ4781BSGに比べ音の安定感が増した気がする。オーディオアクセサリー111号で福田雅光先生がべた褒めしていたのもうなずける。みじんこは作業性の良さと、価格の手頃さと、装着感の良さでおすすめだ。

FI-11(G) FI-11(G)
見た目にもなかなか渋いデザインのFI-11(G)。FI-15EG(定価\3,000)の上位機種に該当する。FI-11(Ag)という銀メッキバージョンも同時発売された。ペアとなるべき同じデザインのACプラグFI-M11(G)及びFI-M11(Cu)も発売されている。 FI-11(G)ケーブル出し側。ケーブル固定クランパーが外にあるため、ネジ締めがやりやすい。このクランパーはかなり頑丈であり、例えば、ケーブルのダブル使用(ワイヤーワールドみたいな)にも容易に対応できそうだ。
FI-11(G) FI-11(G)
FI-11(G)のカバーを外してみた。ケーブル導体固定ネジは大形のプラスネジだ。FI-20Rのように貧弱では無く、かなり強固に導体を締め付けられる。今までの弱点を改善していくフルテックの姿勢には好感が持てる。 FI-11(G)ケーブル導体固定部分。5.5スケアも余裕で入る大きさ。構造はFI-25Rと同等と思われる。ケース固定ネジから延びるアースジャンパーが確認できる。なお、E(EARTH:アース)にはGND(アース)、L(LIVE:電流が流れるの意味がある。)にはHOT(黒)、N(NEUTRAL:中性の意味。)にはCOLD(白)を配線する。
シェルター4782
実売:\700 販売先:オヤイデ電気

シェルターはスイスの電気部品製造会社。「SCHURTER」と書いて「シェルター」と読む。4782は4781BSRのベースとなったモデルで、オーディオ用に開発されたものではない。オヤイデ電気にて\700/ヶで販売されている。下の写真の通り、非常にシンプルな構造である。刃受けは真鍮メッキ無し。軽量なIECプラグだが、構造は意外と強靱。ケーブルを挟み込むクランパーが使いやすい。クランパーはマイナスネジ2本で本体側と結合。クランパーによるケーブルの固定強度は上々。刃受けの構造はシンプル。本体から簡単に取り外せるので、外した刃受けを念入りに磨くことができる。このプラグの欠点はグランド配線がしずらいこと。グランド配線をおこなう際、本体中央にあるケース固定ネジが邪魔になるのだ。よって、4782にはホットとコールドのみの2芯接続が無難。みじんこもグランドを配線していない。さて、肝心の音質だが、非常に落ち着いた音質の持ち主。程よい切れもあり、実用十分。値段を考えるとハイCPだろう。ただし、以降に紹介するIECプラグとの完璧な比較試聴はやっていない。とにかく4782はオーディオ用として通用する品質だ。低価格で自作ケーブルを作りたい人にとってはうってつけのIECプラグ。4782にハッベルのACプラグ8115V(ダイナ秋葉トレードセンターにて\1,800)と東日京三のEM-EEF2というφ2.0のケーブル(オヤイデにて\330/m)を組み合わせると、総額\2,800の超ハイCP高性能電源ケーブルが出来上がるかな。

SHURUTER4782外見。見た目はマリンコIEC320のような高級感はない。構造は単純。作業性はマリンコIEC320に次いで良い。 4782内部構造。ケーブルをクランパーでがっちり固定できる。ケースの真ん中のケース固定ネジが邪魔になり、グランドへの配線はやりにくい。
オヤイデ4781BSR

定価:オープン 実売:\2,550 最安販売先:オヤイデ電気、ダイナ秋葉原トレードセンター

シェルター4782の改良版である。ケースは全く同じ。違うのは刃受けだ。4782の刃受けは真鍮だが、4781BSRの刃受けはリン青銅。さらに銀とロジウムの複層メッキが施されている。右下の写真をご覧頂きたい。左が4782の真鍮製メッキ無し刃受け。右は4781BSRのリン青銅+ロジウムメッキ刃受け。中央は4782の真鍮製+極厚金メッキ。これは今秋発売予定の4781BSR金メッキバージョンの試作品。オヤイデさんから頂いたのだ。本発売ではリン青銅+金メッキの刃受けになる。さて、本題の4781BSRの音質だが、申し分のない解像度の高さ。微細な音の再生も得意。刃受けのメッキも然る事ながら、シンプルな刃受け構造が功を奏していると思われる。IECプラグの音質差は電源プラグや電源ケーブルに比べると微妙だが、微妙だからこそこだわりたい。4781BSRを使えば確実に電源周りのベースアップになるだろう。ただし、刃受けとケーブル導体の圧着は小さいネジの頭で押さえ付けるだけなので信頼性に欠ける。特に、練り線導体を圧着しようとすると、練り線がばらけてしまうのだ。対策としては、練り線導体をばらけないようにあらかじめハンダで固めておくのがベター。ベストは刃受けとケーブル導体をハンダで接着してしまう方法。簡単に分解できなくなるのが不便だが、音質と安全性を考えるとハンダ付けが良い。実際、4781BSRを用いたオヤイデの完成品ケーブルは、刃受けとケーブル導体をハンダ接着している。なお、刃受けとケーブル導体をハンダで接着する時には、刃受けをケースから外して、ハンダ付けすること。刃受けをケースに取り付けたままハンダ付けをすると、作業しづらいばかりか、熱でケースが溶けてしまいかねないからだ。

IECプラグ オヤイデ4781BSR
IECプラグ オヤイデ4781BSR
オヤイデ4781BSR。外見はシェルター4782と全く同じ。ケースの材質はナイロンのようだ。10A、250Vと表示されている。
刃受けの比較。(左)シェルター4782真鍮メッキ無し。(中)真鍮金メッキ非売品。(右)オヤイデ4781BSRリン青銅ロジウムメッキ。
IECプラグ オヤイデ4781BSR
レビトン8215CAT,オヤイデ4781BSR
φ9の細径ケーブルを固定できるゴムアダプターが付属。アダプターを外せばφ15まで対応。 自作例。オヤイデ4781BSRに、電源プラグはレビトン8215CAT、ケーブルはS/AラボHHS。
マリンコ 320IEC
定価:\4,200 実売:\3,360 最安販売先:ダイナ秋葉原トレードセンター、テレオン2号店 

マリンコはアメリカの総合電気部品メーカー。マリンコの320IECプラグは見た目に高級感がある。各種完成品ケーブルに多用されており、マリンコ5266Bとセットで用いられることが多い。ワッタゲイト350の元になったIECプラグとしても有名。IEC320と表記されることもある。マリンコ320IECはオーディオユニオンお茶の水アクセサリー館、ダイナ秋葉原トレード、キムラ、オヤイデ、テレオンなどで見かける。最安はテレオンとダイナの\3,360。ワッタゲート320(キムラ無線\3,980)というのもあるが、外見内容ともマリンコ320IECと全く同じ。ワッタゲート320はPSオーディオの日本進出にともない、輸入元が補修部品として輸入したものらしい。インレットへの挿入感は普通。320IECの特徴は見た目の高級感とケーブル取り付け作業のしやすさ。穴にケーブルを差し込んで、ネジで圧着するだけである。このIECプラグは低域の量感不足などが指摘され、音質的評価はあまり良く無い。雑誌の評価によると解像度が甘いらしい。しかし、みじんこが5266BLとペアで作成した自作ケーブルでは、歯切れよく明るい音調で音質的になんら問題はなかった。いずれにしても様々なケーブルメーカーで使用されている実績から、IECコネクターの重鎮的存在だ。

まりんこMARINCO320IEC。
MARINCO320IEC。
MARINCO320IEC。黒光りする外見が美しい。みじんこはインレットへの接合性を増すために、挿入部分に鉛の薄板を貼付けている。 MARINCO320IECの内部構造。メーカーでは車に踏まれても潰れないことを謳っているので、強度はある。ケーブル導体の圧着もやりやすい。
フルテック FI-15-G(絶版)
定価:\2,800(発売当事) 実売:\1,780(処分価格) 最安販売先:ダイナ秋葉原トレードセンター 

FI-15はオーディオ界で初のオーディオ専用IECコネクターである。長岡鉄男先生も自作電源ケーブルに愛用されていた。ケーブルメーカーの完成品ケーブルにも多用されている。電源プラグFI-15M-Gと対をなす。このIECコネクターは一体モールド成型で、上下外装ケースと電極保持部分の3ピース構成となっている。内部構造はFI-15M-Gと同じ。ケーブルの導体はプラスネジに巻き付けて締めつける方式。ネジに導体をきちんと巻いて締め上げないと導体が外れる危険性がある。音質はスタンダードな基調。可もなく不可もない普及点。なお、現在はアースジャンパーを搭載した後継機種FI-15E-G、FI-15E-Rが発売されている。つい2年ほど前にはIECコネクターの選択肢は少なかったので、FI-15の存在は貴重だった。しかし、現在はオヤイデ4781BSRという強敵が出現したので、FI-15Eの魅力が少なくなった。フルテックにはもっとがんばってもらいたい。

フルテックIECインレットプラグFI-15-G。ケーブルはφ15まで対応。 FI-15-Gの内部構造。マリンコほどではないが、作業はやりやすい。
フルテック FI-20-R(絶版)
定価:\7,800(発売当事) 実売:\5,980 最安販売先:オーディオユニオン新宿店

フルテックFI-20M-Rと対をなすIECプラグがこのFI-20-Rだ。FI-20-Rはすでに絶版になっており、後継機種のFI-25-Rに座を譲っている。このFI-20-R、オーディオ専用の高級品として様々な高音質化が図られている。まず、電極はロジウムメッキが施され、フルテックお得意のアースジャンパーも搭載されている。電源プラグFI-20M-Rとペアで用いた場合、繊細且つレスポンスの良い音質が魅力だった。しかしながら、ケーブル取付時に本体が変型するなどの構造的な問題点があった。発売半年も経たずに絶版になったのは、構造欠陥のクレームが相次いだためではないかと思われる。いずれにせよ、今春に後継機種FI-25-Rが発売されたので一安心だ。がんばれフルテック!そして、もう少し慎重に製品化してほしい。

フルテックFI-20-R。後継のFI-25-Rも外見はFI-20-Rをほぼ踏襲している。 導体固定ネジは六星型の特殊なもの。添付の専用レンチで締め上げるのだが、正直やりにくい。
ケース固定ネジからアース電極まで延びるアースジャンパーが確認できる。アースジャンパーとは金属の浮遊電位をグランドに落とす配線のこと。 ケーブルにはあらかじめ背面カバー、ゴムリング、外装ケースの順に通しておく必要がある。これはマリンコ系のプラグも同様だ。
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