オーディオみじんこ
わが愛しのオーディオアクセサリー
市販ケース使用自作電源ボックス
2005.9.15ページ分割

従来、電源ボックスでひとくるめにしていたものを、この市販ケース使用の自作電源ボックス、オリジナルケース使用自作電源ボックス/メーカー完成品電源ボックスの3項目に分割し、再編集いたしました。

電源&アクセサリー大全2004」によると、自作電源ボックスは電源ケーブル脱着式、電源タップはケーブル直出しのものを指すらしい。自作電源ボックスは、コンセントボックスやACボックスとも言われる。電源タップはテーブルタップ或いはACタップとも言われる。ただ、電源ケーブル脱着式タイプを電源タップと呼ぶ事も、往々にしてあり、この辺の呼び名は統一されていないのが現状だ。

ここでは市販ケースにコンセント類を組み込んだ自作電源ボックスをご紹介する。ただ単に市販の自作用ケースに部品類をネジ止めするだけの工作なので、これを自作電源ボックスと呼んでいいのかどうかは微妙だ。この市販ケース使用の自作電源ボックス製作はとても簡単なので、ドライバーとハンダコテさえあれば、どなたにでも製作出来る。メーカー完成品とは異なり、自分の好きなコンセントや配線を搭載出来るのが利点だ。コンセントのグレードにも依るが、完成品タイプより安上がりで同等のグレードのものが製作出来ると言う点もある。ただ、幾ら簡単とは言っても、入力コネクターのIECインレットへの内部配線はハンダ付けでおこなう必要があり、ハンダ付けくらいはできる技量は必要だ。ただし、この点もフルテックのネジ止め式インレットFI110-G/FI110-R、或はIeGOの5N銀ブレードIECインレットネジ接続タイプを使えば、ハンダ付け一切無しで組み立てる事も出来る。なお、電源ケーブル直出しの、俗に言う電源タップは別項 で紹介。

オヤイデ電気MT-US電源使用電源ボックス
2055.9.15追加公開

MT-USオヤイデ電気から8月に発売されたばかりのUL規格コンセント対応電源ボックスケース。価格は実売9,450。この仕様にしては安価だ。大きさはW70 H50 L385。縦長6個口電源ボックスとしては標準的な大きさだ。重量は1.3kg。筐体は2mm厚SUS304ステンレスで構成されている。SUS304は非磁性タイプのステンレス。ちなみに、SUS340は磁性タイプのステンレスだ。MT-USの構造は基本的に姉妹機にあたるMT-JSと一緒。MT-JSはシャーシ上部にJIS規格コンセントの切り抜きがされているが、MT-USはUL規格コンセントの切り抜きがされている。

上の写真はMT-USにレビトンの壁コンセント5362Rを取り付けた状態。銀色のケースには赤いコンセントが映える。うーん、このまま製品化できそうだな。

それはさておき、ULコンセントを3個内蔵出来る電源ボックスケース、つまり自作用6個口電源ボックスケースは数少ないのだ。MT-USのような、安価で作りのよいUL規格6個口電源ボックスケースの登場は、自作マニアにとって積年の願いだったかもしれない。少なくとも私はずーっと待ち望んでいた。私の知る限り、UL規格6個口電源ボックスケースの既存製品は、アコースティックリバイブのRCB-6、チクマのPS-2.3BOXくらいだった。ただし、この2種はオーディオ店でもほとんど在庫しておらず、入手は難しい。PS-2.3BOXはコンセント指示ポールが近接しすぎており、隣同士のコンセント金具がぶつかり合うという構造的欠陥がある。RCB-6はオヤイデ電気で入手可。アルミブロックの削り出しで、作りは素晴らしいことこの上ないのだが、35,000円と高額だ。UL規格6個口電源ボックスケースの裏技としては、コンセント3個搭載型塩ビケースにUL規格6個口コンセントプレートを被せると言う方法もある。これだと、数百円の塩ビケースに3,000円ほどのコンセントプレートで、安価な電源ボックスケースが構築出来る。ただ、UL規格6個口コンセントプレートは扱い店が少ないので、入手が困難。私が知る限りでは、ロビン企画、及びエンゼルポケット秋葉原店には置いてある。ヤフオクでも最近、ちらほら出品されているのを見かけるので探せば見つかるだろう。プレート以外にももう一つ問題がある。それは、塩ビケースのケーブル引き出し口が直出しを前提としている丸穴だということだ。そのままではIECインレットが固定できない。いさぎよく、電源ケーブル直出しに仕立ててしまうのが無難だ。どうしても電源ケーブル脱着式にしたい場合には、ケース側に何らかの改造を加える必要がある。おっと、ずいぶんと余談が過ぎた。話をMT-USに戻そう。

左上はオヤイデ電気店頭に置かれている見本。右上は私が購入したMT-US。このような段ボールケースに入っている。
これがMT-US。表面は鈍い銀色をしている。ステンレスの地肌そのままだ。片研磨ステンレス程度の表面光沢。これを完成品状態に仕立てたMTS-6という電源ボックスも同時期に発売されている。なお、MTB-6に使われているケースはMT-USではない。筐体素材とコンセントの固定方法が違うのだ。MTB-6に使われているケースは単売されていない。MTB-6のケースは真鍮製であるのに対し、MTS-6のケース=MT-USはステンレス製。素材としては真鍮の方が高価であるし、音質的にも有利かもしれない。MTB-6のケースが銀色に見えるのは、真鍮にニッケルメッキがなされているためだ。もう一点、MTB-6のケースは底面から延びる円柱状の棒にコンセントをネジ止めするのに対し、MTS-6のケース=MT-USではシャーシ本体へ直にネジ止めする仕様になっている。どちらが音質に有利か一概には言えないが、構造的にお金が掛かっているのはMTB-6のケースの方だ。そんなわけで、MT-USの安価な理由は、構造が単純であることと、メッキレス、シャーシ素材のコストが安いからであろう。
MT-USの底面。四隅にはオヤイデ電気オリジナルの小型スパイクインシュレーターが取り付けられている。3カ所固定にも変更出来る。ご覧の通り、インシュレーターの素材は真鍮だ。このスパイクはもともと、新型OCB-1のケースに適合するよう、新型OCB-1のオプション品として販売されていたもの。
同封されていた説明書。なぜか、姉妹品MT-JSの説明書が入っていた。仕様的にはコンセントの切り抜きがJISかULかの違い以外は差がないので、MT-JSの説明書で事足りるということか。
さて、コンセントの取り付けにかかろう。配線は私の自作電源ボックスSaturnianMoonsの製作時に余っていたものをそのまま流用した。コンセントはUL規格品を使う。手元にたまたまレビトンの5362Rが3個余っていたので、これを使う事にした。5362Rはレビトンらしいプラグの食い付きの良さ。色彩的にもMT-USにベストマッチだ。音質は中堅どころで過不足無し。私は5362Rをヤフオクで格安入手したが、オーディオアクセサリーのネットショップK'sLabでは常時取り扱っているはずだ。なお、5362という型番には色違いやアースの落とし方などで数種類に細分化されている。詳しく知りたい方は、レビトン社のホームページにある製品パンフレットのPDFファイルを探し、ダウンロードしてご確認いただきたい。
配線は東日京三のEM-EEF2.0。IECインレットはニコオンNC174-10N-A-F6.35。パーツ同士をただ単にネジ止めしていくだけなので、作業は30分ほどで終了。ま、配線を一からハンダ付けしていたらもっと時間がかかっているだろう。インレットから各コンセントへの配線は、音質的に有利な独立配線となっている。組み立てて順はまず、インレットをシャーシベースにネジ留め固定。次に、内部配線にコンセントを取り付ける。そして、上部ケースにコンセントをネジ止めし、最後にシャーシの上下をネジ止め結合させる。コンセントをシャーシに取り付けてから配線する事はできない。
組み立て終えたMT-US+Leviton5362R電源ボックスのアップ。いとも簡単に、念願のUL規格6個口電源ボックスが出来上がった。で、出来上がったこの電源ボックスは現在、液晶テレビやビデオデッキ、DVDレコーダーなど、みじんこオーディオシステムのサブ電源ボックスとして活躍中。ちょっともったいなっけど。

余談だが、5362に限らず、レビトンのコンセントはプラグ電極の食い付き強度が極めて強い。たぶん、コンセント中最強だろう。だから、壁コンセントなど垂直面へ使うととても具合が良い。壁コンセントへのケーブル差し込みは、ケーブルが重力で緩みがちになる。5362ならプラグをがっちり食わえ込むので、プラグのぐらつきが少ない。5362にレビトンのL型電源プラグ8215CATを組み合わせれば、壁コンセントからの電源分配の物理的安定度は抜群だ。

電源ボックスケース
シャークワイヤー P-4BX

これは2003年の秋頃、キムラ無線で\5,000で売られていたケース。型番は「P-4BX」とある。台湾のオーディオアクセサリーメーカー「シャークワイヤー」の製品らしい。安いので話のネタに買ってみた。50個限定とのこと。金属製ボックスとしては安価で、パッと見は悪くない。このケースにコンセントを組み込んだ完成品電源ボックスも遅れて発売されている。ただ、PSEの絡みで、完成品電源ボックスは店頭から姿を消している。このケースもすでに売り切れているので入手は不可能だ。私はこのケースにコンセントを仕込んでしばらく遊んだ後、ヤフオクにて売却した。

外型寸法は180×120×70。写真の映りが悪いので、黄色味がかってしまったが、実物は艶消しの黒だ。材質はアルミ合金ダイキャストとのこと。真ん中に台湾の国旗マークが印字されているのがかっこいいと思うか、カッコ悪いと思うか・・・。ケースを叩いた感じは乾いた感じ。やや響くので、もう少し厚みがあってもいいのではないか。蓋とベースの材質は微妙に変えているらしい。コンセントはヘソネジのみでケースに取付ける。この点が少々不満。

「SHARKWIRE P-4BX」という印字が見える。現在はすでに完売して、入手不可。艶消し黒でスプレー塗装されている。インレットもあらかじめ取り付けられている。

-電源ボックス・電源タップについて-

 電化製品は電気を使うからには、なんらかの電源供給を必要とする。それはオーディオ機器もしかり。ゼンマイ式の蓄音機やバッテリー駆動は別として、オーディオ機器は壁コンセントに電源ケーブルを差し込むことで電気を得ている。これら電気の通り道である電源ケーブルや壁コンセントは音質に多大な影響を与えるのだ。それはなぜか?オーディオ機器が電気の力で音を奏でている。つまり、ソフトから得られる微少な音楽信号を電気で増幅してスピーカーから発するのがオーディオ機器の役目であり、この電気の質によって音質が左右される。電気の質は、高周波ノイズの混入、交流波形の乱れ、導体抵抗など様々な要因で表現される。私は電気工学の専門では無いので、電気と音質の関係を完全に理解しているわけでは無い。また、現在のオーディオ界でもこれら電源の問題については多種多様な理論が唱えられているものの、完全には解明されていないし、当面解明されないだろう。よって、電気と音質の関係については専門書に席を譲るが、みじんこはこう考えている。電源の重要性は、飯炊きに例えられる。米を上手くいただくには、米の品質は無論のこと、水の質と炊き方が重要。どんなに美味しいお米でも都会の汚れた水で炊いては旨さを全て引き出せない。皆さんの家庭でもきれいな水を得るために浄水器を使ったりしているだろう。また、水加減、火加減を受け持つ炊飯器などでも炊きあがりは変化する。ここでいう米はソフト(CDやDVDレコードなど)に、水は電気、炊飯器はオーディオ装置に例えられる。そして、やや飛躍し過ぎかも知れないが、コンセントや電源ケーブル、電源ボックスは水道管や浄水器に当たるかもしれない。これらのパーツの性能いかんで、電気の質を良くも悪くもするのである。

 電源ボックスも当初、単に電源を各機器に分配するという目的で使用されていたのだが、やがてオーディオメーカーが音質に配慮した電源ボックスに取り組みはじめ、いまやオーディオ用電源ボックスは必需品と言えるまで充実してきた。というのも、近年のオーディオ界では、電源ボックスは単なる電気の分配器では無く、ノイズの除去を始めとした「電源の質を整える」という重要な装置であるという認識が高まっているためだ。そして、電源ボックスはここ数カ月これでもか!これでもか!という具合に新製品が登場する。みじんこも自宅で使ってみたい電源ボックスがいろいろあるのだが、金が無いので自作している。しかし、製作に懲り過ぎた結果、市販品を買った方が安かったのではないかと思うこともしばしばあるのだが、自作電源ボックスの製作には市販品にはない苦労と感動がある。

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