オーディオみじんこ
わが愛しのオーディオコンポーネント
レコードプレーヤー:ヤマハ GT-2000L改

発売:1982年 定価:\15.8万 購入年:2003年 購入額:\6万 購入先:オーディオユニオン吉祥寺店
2004.06.21 下の方に「直出し電源ケーブルの交換」を追加更新しました!
堂々とした風格のヤマハの名機GT-2000L。ラックの寸法(幅600mm,奥行450mm)にぴったり合うよう、板の継ぎ足しをおこなった。これによりルックス良し、剛性もGT-2000X並み。
 30代以上のオーディオマニアでヤマハGT-2000を知らない人はいないであろう。103mmもの分厚い積層合板キャビネット、そして大形のアルミ製ターンテーブルが特徴。兄弟機にGT-750やGT-1000が存在したが、GT-2000こそヤマハのトップエンドを名乗るに相応しい。初代GT-2000は黒いキャビネットで、オートリフターはオプションとなっていた。オートリフターを標準装備し、キャビネットを木目調に変更したのが、GT-2000Lだ。なお、GT-2000X(1985年\320,000)はキャビネットの増強をはじめとして細部を強化したモデル。GT-2000シリーズの詳細は、マニアサイトがたくさんあるのでそれらを参照していただくとして、ここではみじんことGT-2000Lの恋の行方をご紹介する。
 みじんこは昨年来KP-07MとKP-1100スケルトンを愛用していたのだが、いずれはもう一台レコードプレーヤーが欲しいなぁと思っていた。そんな時、恋は突然やってきたのだ!行きつけのオーディオユニオン吉祥寺店でGT-2000Lを6万で発見。GT-2000シリーズの中古販売はそんなに珍しいものではない。しかし、GT-2000シリーズはその優秀さからプレミアがついており、傷無しの良品であればヤフオクでの落札価格が定価を上回ることもしばしば。中古ショップでは初代GT-2000で11万前後。そんな中、GT-2000Lがこんなに安い理由とは、なんであろうか?良く見ると、カバーが割れており、キャビネットにも目立つ傷が有る。店員さんいわく「駆動系には問題ないです」とのこと。日本の中級レコードプレーヤーの名機「KP-1100」と「GT-2000」を2台とも所有するという贅沢!上を見ればきりがないので、みじんこの贅沢はささいなものだが。これはもう買うっきゃない!
 しかし、しかしである。こんなデカ物を買ったところでどこに置く?しかも、相場からすると安いとは言え、6万もの大金である。うーん、6万はきつい。それからというもの、オーディオユニオン吉祥寺店を訪れてはGT-2000Lの前で悩み、仕事中も出先からショップに電話を掛けて売れていないか確認する日々が続いた。4日ほど悩み抜いた末、腹を括って購入しようと思い立つ。買うと決めた以上、他の人間に買われてはまずい。一刻を争うのだ。商品を押さえてもらうために、急いでオーディオユニオンに電話をした。「えーっと、6万円のGT-2000Lですかー。残念ながら売れてしまいました。」ガビーーーーーン!な、なんということだ!!しまったー、見つけた時に商談中にしといてもらえば良かったー。自分の決断の遅さを悔やんで、みじんこは失恋の痛手のように暗く沈んでいた。
 二日ほど後悔の淵をさまよううちに「願いは叶う!あの傷だらけのGT-2000Lは俺のものになるはずなのだ!他人の手に渡るはずはない!」そんな気持ちになった。もはや、別れた相手とよりを戻そうとする男の心境である。しかし、みじんこにはあの傷だらけのGT-2000Lは自分のものになるという漠然とした確信があったのだ。これはホントのはなし。そして奇跡は起きた。いたたまれず訪れたオーディオユニオン吉祥寺店に、あの傷だらけのGT-2000Lが店鋪備品の「非売品」として置いてあるではないか。この当時、同吉祥寺店にはGT-2000Lが2台売られていたのだが、みじんこが目を付けていたGT-2000Lの傷の位置は全て把握している。まさしく、あの傷だらけのGT-2000Lが売られずに置いてあるではないか!店員さんに「売れたっておっしゃられてたけど、あるじゃないですか!」と詰め寄ると、「痛みが激しかったので、売るのは申し訳ないと思いまして、店の備品にすることにしたんですよ。」とのこと。そこでみじんこは「外見は悪くてもでもいいから、これ売って下さい!」と申し出、店の備品になるはずのGT-2000Lを半ば強引に6万円で買い取ったのだ。
 というわけで、紆余曲折の末、我が家にGT-2000Lがやってきた。みじんこはGT-2000Lをショップで見掛けた瞬間から、冒頭の写真にあるようなキャビネットの大改造をひらめいていた。つまり、板を継ぎ足してキャビネットの強化と見た目のカッコよさを向上させるのが目的。だから、GT-2000Lのキャビネットをカバーが割れていようが、キャビネットに傷があろうが、ノープロブレムだったのだ。というわけで、大改造実施!みじんこのラックの上にぴったりはまるように板を継ぎ足し、ラックと同じ塗装を施した。ついでに直出しトーンアームケーブル(フォノケーブル)もS/A LAB HLS4.8に交換。ただ、トーンアーム内配線はそのままにしてある。出来上がったGT-2000L改はまさに別物。我ながら見事な仕上がりである。ほとんど使わないチューナーST-S333ESAとCDレコーダーDR700をラックごと取り外し、そこにGT-2000L改を据え付けた。キャビネットの重量と安定性が増したので、オリジナルより音が明瞭になったと思う。これはアームコードの変更も効いているのだろう。まだ、細部の微調整が済んでいないのでGT-2000L改の真の力を出し切っていないのだが、これからゆっくりと愛情を注いでいこう。
1. GT-2000Lのトーンアームとターンテーブルを取り外した状態。このあと各種ボタン類も慎重に外した。ボタンから延びる配線はモジュラージャックで内部基盤へ接続されており、比較的簡単に取り外すことができる。
2. GT-2000L側面へ板を張り付けていく。釘は使わず木工用ボンドのみで接着。板を接着するごとに接着面を下にして、キャビネットの自重で圧着した。キャビネット自体が20ミリ厚パーチクルボード5枚重ねなので相当に重い。
3. 側面の板と取り付けたところ。奥行450mm 横幅60cmになるように、かなり綿密な板増しをおこなっている。オリジナルの横幅は446mmなので、446+(21+21+12+1)=600という板増し。
4. 裏面。オリジナル奥行きは395mm。395+(21+21+12+1+1)=450という板増しで奥行き450mmにした。底面も設置面積大幅アップ。内部回路カバーの部分は塞いでいない。
5. 上面に薄い木のシートを張り付ける。これは東急ハンズ木材コーナーで売られている寸法450×900×0.3のマホガニーシートだ。片面粘着式。ずれたり気泡が残らぬよう張り付けは慎重に。キャビネット上部の穴は全部塞がってしまうが、後で開けなおすから心配ない。
6. 木シートを張り付けたら、キャビネットの角を紙やすりで均す。そして、オーディオラックと同じ塗装を施す。ダークオーク色のオイルステイン(ワシン製)3回塗り。その後、艶消し黒のラッカースプレー(ハンズセレクト製)を要所要所に薄く吹き付ける。これが風合いをかもし出すコツ。
7. 塗装が乾いたら、キャビネット上部の穴をデザインナイフで切り抜く。木のシートは薄いので切り抜き作業は簡単だ。 8. トーンアーム、ターンテーブル、各種ボタンを元通り接続して完成!ご覧の通りGT-2000Lはオーディオシステムにしっくり馴染んでいる。
GT-2000Lのトーンアーム。GT-2000Lにはオートアームリフターが標準で搭載されている。黒い匡体にいぶし銀のアームが良く映える。 トーンアームケーブルはS/ALABのHLSに付け替え、シールドチューブを被服した。RCAプラグにはTMS6623Gをあてがった。
オートアームリフター。初代GT-2000はオプションだったが、GT-2000L、GT-2000LXでは標準搭載された。ノブを回す事でアームのリフトアップ位置を可変できる。 スピード表示ライト。このパーツは樹脂製。ソケット上になっており、取り外す事ができる。これを外してからでないと、ターンテーブルを外す事はできない。
2004.06.21追加更新!
GT-2000L直出し電源ケーブルの交換
改造実施年月:2004年3月

レコードプレーヤーの電源ケーブルを交換して何になるのか?正直、私もそう思う。レコードプレーヤーへの電源供給はモーターの回転系やアームのオートリフトアップに使われるのであって、カートリッジから送られる音楽信号の増幅などには直接関与してないはずである。よって、レコードプレーヤーの電源供給を強化したところで、音質が変化するとは考えにくい。ただ、実際には電源供給の強化によってモーターの回転が安定し、カートリッジの読み取り精度を向上させることが知られている。例えば、このGT-2000シリーズには強化電源YOP-1というものが別売されている。YOP-1から電源供給することにより音質向上が望めるらしい。ただ、当然ながらYOP-1は絶版であり、中古市場でも入手困難だ。ヤフオクでも5万円台と高値の花。というわけで、私は電源ケーブルの交換でお茶を濁す事にした。そういえば、音源出版のアナログレコード再生の本3でも電源ケーブル交換によって音質が向上するという記事が載っていたではないか。

左上は改造前の背面パネルで、右上は改造後の状態。強化電源YOP-1専用端子を外して、そこから新しい電源ケーブルを引き出すようにした。パネルの加工無しにケーブルが引き出せたのは、我ながらいいアイデア。
左上はGT-2000Lの底面で、右上は底面のパーチクルボード製カバーを外したところ。カバーを外すと、モーターの制御系基盤や電源トランスがあらわになる。
左上は背面パネルを外しているところ。この後、YOP-1入力端子及び配線を取り外す。右上は直出し電源ケーブルが基盤に接続されている部分。電源ケーブルは基盤にハンダ付けされている。
左上は電源ケーブルを取り外したところ。ハンダを慎重に融解し、基盤を壊さないよう丁寧に外す。電源周りの改造というのは最もやってはいけない行為なので、相応の覚悟が必要。基盤を壊すと全てが終わってしまう。絶版品なので代わりの基盤が入手できないし、メーカーは改造品の修理を受け付けないからだ。右上は新しい電源ケーブルをハンダ付けしたところ。電源ケーブルはS/ALABのHHSを使用した。露出部分にはケイグ赤にて参加防止処理を施した。ついでに、ヒューズを取り外して接点部分をポリマールで磨く。今思えば、もう少し軟らかめのケーブルにしておけばよかった。というのも、HHSは硬いので匡体内の取り回しがやりにくかったのだ。
左上は改造後のGT-2000L背面。HHSの長さは1.8m。内部の取り回しに50cmほど要しているので、外へ出ている長さは1.4mくらい。ケーブル引き出し部分には樹脂製のケーブルグランドを使用し、ケーブルが抜け落ちないよう締め付け固定している。電源プラグはたまたま手元に余っていたレビトン8215CATを使用。右上は、取り外したオリジナル電源ケーブルと強化電源YOP-1用配線。YOP-1用配線はコネクターを介して基盤に接続されていたため、取り外しは容易。さて、これにてGT-2000Lの電源ケーブル交換は無事終了。ここでは一連の行程を簡潔に紹介したが、現実の作業はもっと大変だった。さらにいうと、ケーブル交換による音質向上ははっきりと感じられなかった。気のせいかS/Nが向上したようにも思えるが、やはり気のせいかもしれない。YOP-1が出ているくらいだから、GT-2000の電源系には向上の余地があるのだろうが、トランスやコンデンサーの交換はリスクが大きすぎる。まぁ、オーディオは自己満足の世界だからここらへんで由としよう。ここで紹介した電源ケーブルの交換、他人へは勧められない。基盤から電源ケーブルを取り外す際に、ハンダコテの熱をかけ過ぎると基盤が壊れる恐れもあり、そんな危険を冒しても、得られる効果はあまりないからだ。見た目はカッコ良くなるけどね。
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