オーディオみじんこ
オーディオイベントレポート
AVフェスタ2004
アクセサリーコーナー
2004.10.2新規!
オーディオアクセサリーコーナーの各出展社をレポートする。これほど多くのオーディオアクセサリーメーカーが一同に会する展示会はAVフェスタしかない。何か新しいものはないだろうかと、わくわくしながら歩き回った。その軌跡をご覧あれ。
ナイコムのブースではMITのケーブルが展示されていた。新製品の展示はなく、既存のラインナップの展示のみだが、MIT最上級のオラクルは見るからに迫力がある。なお、PSEの絡みがあるので電源ケーブルの展示は差し控えられていた。
フルテックのブースでは、ピュアオーディオ用電源ボックスe-TP60やe-TP80、新型インターコネクトケーブル、電源ケーブルを陳列。また、今年度から参入したカーオーディオ関連の展示もおこなわれていた。見たことの無い同社製品がちらほら見受けられた。
フルテックのカーオーディオ用ケーブルは、ピュアオーディオ向け製品の耐熱性を高めたものになっているらしい。具体的に言うと、ケーブルジャケットなどに耐熱性の素材を使っているとのこと。左はフルテックのプラグやカーオーディオ用ヒューズ。接点には同社お得意のロジウムメッキ処理済み。右は新発売のXLRコネクター。プラグで定評のあるフルテックだけにターミナル関連の発売にも期待が持てる。
オーディオリファレンスインクのブース。同社はオーストラリアのアクセサリーメーカーアイクマンや米国のステレオボックスの輸入元。アイクマンのバレットプラグは樹脂ケースに点接点が特徴だが、今回はバナナプラグバージョンが初お目見え。今秋より小売店に並ぶらしい。ダイナ5555の1階で買えるらしいが、9月末時点ではまだ未入荷だった。アイクマンの電源ケーブルEXPRESSPOWERはPSE認証を取って復活するのか聞いてみたら、それは難しいだろうとのこと。
同じく、オーディオリファレンスインクが輸入するシャドウのXLRプラグ。シャドウは米国ステレオボックスの関連会社。このXLRプラグの品名はPrecisionXLRという。ケーブル大全2005のP214にも紹介されている。ケースはアルマイト処理アルミで、導体は金メッキ真鍮。よく見ると、導体との接合にはネジ留めを採用している。ピン部分のメッキは宝石のようにピカピカで、品質の高さが伺える。価格はフルテックのFPー601M(\6,000)/FPー602F(\7,000)を上回る\8,400/個に設定されている。たしかに最高品質のXLRプラグといえそうだが、これに見合う切り売りラインケーブルってあるだろうか。お気に入りの高級完成品ケーブルのプラグを取り外し、これに付け替えると言う荒技ならけっこういいかも。失敗したら大変だが。なお、PrecisionXLRプラグはダイナ新宿店地下階に置いてあるらしい。PrecisionXLRを搭載したステレオボックスのBAL-600(\498,750/ペア)はオーディオユニオンお茶の水店4階に陳列されているのを見掛けた。
クリプトンでは同社の新製品、チタン製インシュレーターなどを展示。同社の発売する吸音パネルにはミスティックホワイトが2層入っているらしい。ミステックホワイトを購入して自作したほうが安上がりか、それとも完成品を買ったほうがお得か・・・。
サウンドアティックスのブースでは、同社の既存取扱い品を陳列。また、近日発売予定の電源ボックスが展示されていた。見た目は不恰好な8個口電源ボックスだが、筐体内には、接続した機器のアース電位を整える特殊な回路を内臓しているらしい。PSE認証も取得済みとのことで、すでに予約受付中とのこと。
パシフィックオーディオのブース。パシフィックオーディオはオーディオユニオンの関連会社で、ZuCableやBDR、audienceなどのブランドを輸入している。パシフィックオーディオの輸入製品はオーディオユニオンで入手できる。パシフィックオーディオが昨年から扱い始めたこれらブランドのケーブルは外見上、細めのケーブルに黒いメッシュチューブを被したものが多い。私は個々のブランドの音色を聴き比べたことが無いから何ともいえないが、オーディオユニオン御茶ノ水店4階の試聴システムでZuCableを聴いた限りでは、精巧かつ解像度抜群、それでいて雰囲気を良く出すケーブルだと思った。外見は私の好みではないが。
パシフィックオーディオが輸入するBDR(ブラックダイヤモンドレーシング)の製品群。カーボンファイバーシートの積層を透明のポリカーボネイト樹脂で固めて作られている。樹脂から透けて見えるカーボンシートの網組み模様が美しい。以前、耳にしたことがあるが、J1からBDRに乗り換えるマニアが多いとか。右写真は今月から輸入開始されたASW(ACCURATE SOUND WAVE)のスピーカー。型番はGENIUS 100という。価格は\165,900/ペア。13cmウーハーと2.5cmツイーターの2wayバスレフ方式。防磁型。寸法は高さ340×幅145×奥行350。オーソドックスな造りで、フロントバッフルに貼り付けられた金属板が今風かな。前面から見るとずいぶんと小さなブックシェルフ型スピーカーに見えるが、奥行きは350mmと長い。真横から見るとほぼ正方形だ。このスピーカーはすでにオーディオユニオン各店に入荷しており、各店で試聴できる。私は御茶ノ水店で試聴したが、非常に素直でのびやかな再生を特徴とし、B&Wのノーチラス805に通ずるものを有していると感じた。なお、エンクロージュアのツキ板仕上げの配色は16通りから選択でき、ユニットのカバーの色も5パターンから選択できるようになっている。この値段でこの音が出れば文句は無いだろう。
おっ!と思わず走り寄ったブースはPhonon(フォノン)だ。Phononは今回AVフェスタ初展示。愛知県に居を構える新進気鋭のケーブルメーカーだ。ほとんど社長個人で経営されているようで、しかも社長が若い!20代後半のナイスガイだった。このメーカー、最近オーディオアクセサリー誌などでも絶賛されているので、ご存知の方も多いと思う。ケーブルは導通さえきちんとしていれば一応音が出るものだし、大掛かりな設備も必要ない。素材の入手と多少の工作さえできれば誰でもガレージメーカーを立ち上げることが出来る。ましてや、今はネット販売という販路があるので、なおさらだ。実際、ネット上では極小規模なケーブルのガレージメーカーを多々見受けることが出来る。Phononもネット販売オンリーなので、これら多くのガレージメーカーに埋もれてしまうのではないかと思いきや、いきなりハイエンドオーディオの仲間入りを果たしたのが凄い。それというのも、やはり目の付け所が一味違うからだ。他の個人がPhononのケーブルを真似しようにもちょっと出来そうにないくらい特殊な素材と技巧が使われている。また、デザインも極めて美しい。なぜか日本ならではの美意識を感じさせるデザインなのだ。
Phononケーブルの特徴は、導体にプラチナ単線を使っていること。比重が重いから採用したらしいのだが、他にプラチナ単線を導体に採用しているメーカーはない。プラチナ単線はφ0.3mmと極細。そんなに細くて大丈夫なのかと心配になるが、問題ないようである。なお、バランスケーブルのグランド線のみφ1.2の4N純銀線を使用している。次に、絶縁体と充填材を兼ねたタングステン粉末を採用している点。最新バージョンでは制振合金粉末も混ぜられているらしい。話題になっている素材をいち早く自社製品に反映させる。こういう点がアクセサリー業界の旬を読み取る同社らしい姿勢だ。

タングステンはフォステクスのインコネケーブルや防振シートとして一躍有名になった経緯がある。タングステンもプラチナと同様、高比重の元素だが、素材自体が高価だし、素材としての入手は難しいはずだ。この希少なタングステン粉末を導体の絶縁材、並びに充填材として使用している。制振合金の粉末は江川三郎先生が取り上げられてから、一部のマニアに愛用されている制振素材だ。

Phononのケーブル構造の説明を見ていて昔から疑問だったのが、導体の絶縁についてなんとも記述がなかったことだ。今回、同社の社長に質問して謎が解けた。プラチナ導体は裸線のまま、いきなりタングステン粉末を詰めているのだそう。タングステンは金属だから導通しそうなのもだが、実際は絶縁体らしい。だから、タングステンがプラチナ導体に接しても問題ないらしい。試聴上も、プラチナ導体に何らかの被服をしてタングステン粉末を充填するよりか、被服無しのプラチナ線をいきなりタングステン粉末で覆った方が良かったのだそうだ。構造的にはプラチナ単線を特殊なガラスチューブに通し、隙間をタングステンで充填。これをプラスマイナス(XLRの場合にはグランド線も)用意し、さらに太目のガラスチューブに通し、この隙間にもタングステン粉末を充填。ケーブル芯線は個々にタングステンを充填したガラスチューブで隔絶されているので、ケーブル内でショートすることはない。また、この特殊ガラスチューブは秋葉原で売られている一般的なものではないらしい。RCAケーブルは2層目の特殊ガラスチューブが外装ジャケットも兼ねているようだ。特殊ガラスチューブの色は黒なので、同社のケーブルラインナップでケーブルの色が黒いのはRCAだけなのは、このためだ。RCAケーブル、及びPhonoケーブルの出力側の端末にはWBT0108が装着されている。

バランスケーブルとSPケーブルには外装に銅編組チューブによるシールドが施されている。実物を見る限りでは一般的なニッケルメッキ銅編み組みチューブのようだ。バランスケーブルとPhonoケーブル、それにSPケーブルには最外装にシリコン入りメッシュチューブが施されている。やや白みがかった透明のメッシュチューブで、これがPhononのケーブルの外見上の美しさに一役買っている。こんなメッシュチューブは秋葉原でも見たことがない。SPケーブルの端末にはWBTの0645が装着されている。

バランスケーブルの両端、及びPhonoケーブルのアーム側端末にはJERCOのプラグが装着されている。これは珍しいプラグだ。JERCOのプラグは見るからに素晴らしい出来栄えなのだが、非常に高価なため採用しているケーブルメーカーはほとんど存在しない。よくぞ、JERCOのプラグを採用されたものだと感心してしまう。バランスケーブルは構造上太くなってしまうため、太いケーブルが差し込めるキャノンプラグを探していたらJERCOに落ち着いたのだそうだ。もちろん、ノイトリックなどの一般的なキャノンプラグに極太の配線を使用と思えば出来なくはないのだが、プラグの品質的な問題から却下したらしい。素材にこだわるPhononらしい選択だと思う。

Phononのケーブルは社長自らの手作りで生産しているらしい。最近は、注文が殺到して製造に大忙しとのこと。なぜ、会社を興してまでやろうと思ったのか尋ねたら、「自分自身がオーディオマニアで、好きだからやってきたんです」というあっさりした返答が返ってきた。うーん、もっともなお答えだが、1オーディオマニアを脱して会社として世に製品を送り出すのはすごいことだと思う。価格的にはできるだけ抑えようということで、ネットによる直販のみとされているから、オーディオ店での試聴などはできない。しかしながら、無料での貸し出し試聴サービスを実施しているから、興味のある方は同社のホームページで貸し出しの予約をするといいだろう。ネット直販、貸し出し試聴は小規模なメーカーにとって賢明なやり方だと思う。こういったケーブルメーカーも雑誌で取り上げられなかったら、ただのガレージメーカーに終始してしまいそうだが、Phononは営業面でも抜かりない。福田先生を始めとした絶賛の声が雑誌に載ったので、知名度的も急上昇したはずだ。もちろん、Phononの作り出すケーブルが優秀だから、ここまで登り詰められたのだろう。かくいう私は同社のケーブルを聴いたことはないし、AVフェスタのブースでは展示のみで試聴はできなかった。ただ、ここまで徹底した造りのケーブルなら、ぜひとも試聴してみたい。

今回、初のAVフェスタ出展であり、私自身初めて知ったのが株式会社エコテクノである。これは、千葉県船橋に居を構える環境関連の会社。社長のオーディオ好きが昂じてアンプを作られたのだそう。このシステムはEcoyoneというらしいが、ただの小型アンプではない。太陽電池パネルで発電した電気をバッテリーに蓄電し、その電力でアンプを駆動させると言うもの。アンプと、蓄電池、太陽電池パネルのセットでEcoyoneシステムというようだ。アンプの寸法は高さ95×幅100×奥行245。価格は24V仕様のEcoyone-01が\168,000で、12V仕様noEcoyone-02が\147,000。6時間の充電で11時間くらいは鳴らせるらしい。出力は6W/8Ω。家庭内で聴くなら十分な出力だ。B&Wのスピーカーを接続して鳴らしていたが、そこそこの音量は出ていた。会場はうるさいので音質的なものはなんとも掴みつらい。バッテリー駆動の良さは言うまでも無いが、その供給電力を太陽電池で賄うというのは、製品としては初めてではないか。これを見るにつけ、江川先生が興味を持たれそうですねと言ったら、すでに会社にこのアンプを聴きに来られたらしい。なお、このアンプはカラーが数パターンあり、いずれもアルマイト仕上げとなっている。
Ecoyoneのアンプは2系統の入力が切り替えできるようになっている。見た目はちょっと安っぽいので、デザイン面での改良の余地はありそうだ。ローカルメールオーダーの秋葉原直営店エンゼルポケットに実物が置いてあるそうだ。写真右はトザワ研究所。戸沢式吸音紙袋がぶらさがっていた。なんとも質素な展示だった。
スピーカーユニットのマグネシウム合金振動板を製造する日本金属という会社。展示のスピーカー群はなかなか歯切れ良い再生音を響かせていた。ユニットがメタリックでなかなかかっこいい。同社は写真に映っているスピーカーを製造販売しているのではなく、このスピーカーに取り付けられたユニットのマグネシウム振動板を製造する会社らしい。本業は産業向け金属部材の製造メーカー。主に、ユニットメーカー向け供給をやっているようで、一般向けのオーダーはやっていないようだ。昨年のAVフェスタには参加していなかったと思うので、今回が初出展だろう。ただ、私の知る限り、同社のマグネシウム振動板を採用したユニットは見たことが無い。これから販路を開拓するのかな。生産しているのは振動板のみで、振動板以外のユニットパーツは生産していないとのこと。メーカーからの指定に応じ、様々な口径のマグネシウム振動板を生産できる体制らしい。マグネシウムはアルミより軽い金属なので、振動板に最適なのだそうだ。同社の資料によると、アルミの比重は2.7、マグネシウムは1.74、同社のマグネシウム合金は1.78〜1.81、紙は0.5となっている。また、同社のマグネシウム合金は金属中最も振動吸収性に優れているらしい。音質の特徴は、音の分解力に優れ、高域の透明感が優れながらも、金属の固有音がしないというもの。なお、今回開発したのはフルレンジ用の振動板らしい。そういえば、TBの8cmフルレンジにマグネシウム振動板を採用したフルレンジユニットがあったが、ここの振動板なのだろうか。  

右写真はのMIRION(美理音)のバックロードホーンスピーカーZEN NE(禅音)。MIRIONはシージーネットワークという会社のブランド名。ご覧の通り長岡先生のスワンを基にしており、「カリスマのDNA」と名打たれている。昨年のAVフェスタで初お目見えしている。雑誌でも度々取り上げられたのでご存じの方も多いだろう。首の部分はFRP製。ユニットにはFOSTEXのFE108EΣ。真鍮アダプターリングP108も装着されている。寸法は高さ1050×幅370×奥行390。重量は25kg。価格はユニット付きで\220,000/ペア。エンクロジュアのみだと\202,000/ペア。ダイナミックオーディオ5555の5階で展示試聴できるらしい。今回AVフェスタに初展示されたのはZEN NEの隣りに置いてあるガラス製スピーカー。KU NE(空音)というらしい。内部構造が透けて見えるので、スパイラルホーンだというのが分かる。これも雑誌に紹介されていた。

ソリッドアコーステックでは、12面体無指向性スピーカーが展示されていた。雑誌でも良く見かけるので、御興味のある方も多いだろう。多面体多ユニット配置の点音源無指向性スピーカーは同社が初めてと言うわけではなく、古くはビクターなどが製品化していた。写真右は同社のデビュー作SIKKIMと、今夏の新製品ASSAM。SIKKIMは1.3mm厚のステンレス板を溶接しているらしい。継ぎ目は綺麗に仕上げられている。ピカピカに磨き上げられており、仕上げは文句無し。ステンレスだから十分な強度があるらしい。ASSAMはアルミ製で\50,000/本程度。
左の写真にある大形のスピーカーは755プロフェッショナルというモデル。アルテックの10cmユニットを12個使用。価格は\294,000/本。同社のスピーカーは天井釣り下げ用ブラケットも用意される。多面体ユニット配置の利点として、天井に設置しても音像が上方に引っ張られずに、ちゃんと耳の位置に音像が出来上がるらしい。
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