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PA-2改 最終バージョン 全体像
PA-2改最終バージョン リアバッフル
PA-2改 最終バージョン T825/T925搭載状態
質問返答と書籍記事抜粋
オーディオみじんこ
わが情熱のスピーカークラフト
自作スピーカー:長岡鉄男先生設計 PA-2
PA-2みじんこ仕様 最終バージョン ネットワークBOX最終状態
2006.4.3公開
ヤフーオークション出品に先立ち、PA-2改のネットワークボックスをご紹介します。
ネットワークボックスの蓋を開けた状態。ネットワークパーツが整然と配置されている。箱の手前左側にちらりと映っているコイルは、本来の回路構成とはなんら関係ない。以前、高域側回路に使っていて今は使っていないコイルを、そのまま箱の中に置きっぱなしにしていたのを忘れていて、撮影してしまったのだ。
左側のコイルはDIYAUDIOの銅箔コイル。コイルには高域信号をカットして、低域信号のみを送り出す作用がある。型番はFA-3821。容量は1.8mH。帯幅41mmの幅広銅箔タイプであり、DIYAUDIOの中でも最も高価なシリーズである。

高域側に用いたフィルムコンデンサーは、フォステクスのCSコンデンサー。容量は2.2μF/個。青い筒状のものがそれである。1個3千円弱もする高額なコンデンサー。これを2個パラで使用。フォステクスのユニットと同様、力感が凄く、やや硬質ながらフレッシュで勢いがある。

高域側にはコンデンサーの直列接続と平行して、コイルを並列接続している。このコイルはトリテックの空芯コイルECシリーズの1.8mHを使用。

手前に延びる配線は、ツイーターT825への信号線。+側配線の途中にはフォステクスのCSコンデンサー1.0μFを直列接続している。T825は8Ωなので、20kHzのカットオフ周波数となる。T825はFT600の高域側の能率低下を補うために用いている。FT600は15kHz以上が急降下しているので、T825によって15kHz以上を補ってやるのだ。そのためには1.0μFくらいでハイパスしてやるのが良い。

これがネットワーク回路の配線模式図。

低域側は0.3mHのコイルでハイカット。コイルのみの直列接続なので、減衰曲線は6dB/oct。PS300が2発なので、インピーダンスは4Ω。したがって、カットオフ周波数は2.1kHzとなる。

高域側は2.2μF×2個で4.4μFの、直列接続。さらに、1.8mHのコイルを並列接続し、12dB/octとしている。厳密に言うと、4.5kHzの6dB/octから始まり、1.8kHzにて12dB/octへ下降する2段階式のハイパスフィルターとなる。

スピーカーのネットワーク回路に詳しい人なら、この回路図を見て、おやっ?と思うかも知れない。そう、FT600へのハイパス回路は逆相接続となっているのだ。ただ、これは長岡鉄男先生がPA-2用に設計されたネットワーク回路そのもの。決して配線ミスではいないのだ。このスピーカーにおいては、FT600には逆送接続が向いているとご判断されたのだ。

逆相接続については、容易な説明がしにくいので省くが、2way以上のユニット構成の場合、考えなければならない事柄なのである。正相接続なら、IN+からOUT+へ、IN-からOUT-へ接続する。かたや、逆相接続の場合、IN+からOUT-、IN-からOUT+への接続となる。これにより位相が反転する。

ネットワークパーツは全て、ナットで締め付けている。ハンダ付けではないので、簡単に取り外し交換出来る。
TRITECのエポキシモールド空芯コイルECシリーズ。美しいコイルだ。容量1.8mH。導体はOFCで構成。ECシリーズはTRITECの最上級シリーズだ。コイズミ無線での実売価格は2,740円/個。電流通過による発振を抑え込むため、エポキシ樹脂で固められている。かなり凝った造りのコイルである。

実は、このECコイル、PA-2の初期状態で使用していたもの。ネットワークボックスの外付け化にともない、ECコイルからDIYAUDIO銅箔コイルFA-2516へ変更したのだ。しかしながら、その後、FA-2516のリード線を誤って根元から切断。FA-2516は使用不能に。そこで、ECシリーズに再度お出ましいただいたのだ。

DIYAUDIOコイルFA-3821。容量0.33mH。このコイルの特徴は銅箔コイルであること。銅箔コイルは銅単線コイルに比べて直流抵抗が低く、機械的振動に強いといった利点があり、音質的に優れている。ただ、値段も高い。ローパスフィルターの場合、コイルは直列接続されるため、コイルの品質がもろに影響する。FA-3821は現在、現実的な価格で入手可能なネットワーク用コイルの中で最も高音質な製品。コイズミ無線での実売価格は2,573円/個。
FOSTEXの最上級CSコンデンサー。ハイパス回路にシリーズ接続(直列)されている。2.2μFを2個パラレル使用(並列)で、4.4μFとしている。リード線にはテフロンチューブを使用。端末を輪っか状に加工し、表面をヤスリで少し平らに削り、ターミナル接触部との接触面積を増大。ターミナルへネジ留め固定している。これら端末加工の仕方は、PA-2専用外付けネットワークボックスその2ネットワーク回路の取り付けに詳しく紹介している。
低域側のマイナス側内部配線。S/ALABのハイエンドホース3.5の芯線を2本ツイストし、ジャンパー線としている。全体に就職チューブを掛けている。低域側のマイナス側には特にネットワークパーツは接続されないので、このような内部ジャンパー線で配線している。プラス側の配線も少し映っているが、こちらには0.3mHの銅箔コイルが直列接続されている。
PA-2はFT600ユニットの性格上、15kHz以上の高域/超高域が不足している。一般的なリスニングにはそれでも構わないが、ピュアオーディオとして突き詰めた場合、長岡先生曰く、PA-2にはスーパーツイーターを追加した方が良いと述べられている。その場合、FT96Hあたりに1.0μFをかましてやれば良いと述べられていた。私はその任に、贅沢にもプロ用ツイーターT825をあてがってみた。結果は大成功!T825の付加により、PA-2の高域不足は一挙に解消。オールマイティーな万能スピーカーへとバージョンアップした。なお、T825はすでに絶版なので、現在入手は難しい。これはFT600やT925にも言える事。T925は後継機T925Aが出ているから絶版になるのが通りだが、T825やFT600には代替機種が存在しない。極めて優秀なユニットなだけに残念な事だ。T925はコンシューマー向けにかなりの本数が流通したと見られ、中古市場にも頻繁に出る。ところがこのT825は主にプロ向けのツイーターだったため、流通本数は少ないようで、中古市場でもなかなかお目にかかれない。私はオーディオユニオンで見かけた中古品を購入した。私は自分が購入して以降、過去3年間、T825を中古オーディオ店で見かけた事は無い。ヤフオクではたまに見かけるが、だいたい3万円以上で取引されている。なお、これら絶版ユニットは、万が一故障してもフォステクスが修理してくれる。フォステクスの修理体制はかなり懇切丁寧なのだ。
T825にはフォステクスのCSコンデンサー1.0μFを仲介させ、20kHzの6dB/octのハイパス駆動としている。接続はとりあえず正相だ。場合によっては逆相接続がいいかもしれないが、双方をじっくり比較試聴して決めれば良い。T825のドライバー部はT925と寸法的に同じで、たぶん内部構造も同様だと思われる。ただ、ホーン部分が独特なラジアルホーンになっている点と、再生周波数帯域が20kHz止まりであることから、T925とは再生時の印象は少々異なる。T825はスーパーツイーターというよりツイーターであり、かなりガッツのあるサウンドでもある。T925もかなりビシバシくるけど。
背面端子の状態。このネットワークボックスは上蓋が10mm厚の鉛板で出来ており、その10kgあまりの重さで強力に重量付加を掛けている。この鉛板はTGメタルのもので、一般的にはオーディオ機器の天板に載せるスタビライザーとして利用される。私はたまたまこれを2枚所有していた。ネットワークボックスの製作を思い立った際、ネットーワクボックスの蓋にこの鉛板を使えまいかと思いついたわけ。んで、鉛板を蓋に適合するようノコギリでカットし、取っ手を付け、裏面には片面粘着式ブチルゴムシートを貼付け、全体を黒く塗装して蓋にしたのだ。
PA-2は30cmウーハー(PS300は規格上フルレンジだが)を2発も搭載しているので、大音量再生時に床を揺るがすほどのもの凄い振動が発生する。これを抑え込むには、本体側エンクロージュアを高剛性にし、板厚を十分確保することだ。これは、マキゾウクラフトのスーパーシナアピトン使用、フロント/リアバッフル面を原設計(21mm)の2倍増し(42mm)にすることで達成している。それに加え、天板に重しを置く事が有効であり、つまるところ、外付けネットワークボックスはPA-2の天板スタビライザーも兼ねているのだ。ネットワークボックスの総重量は20kg。蓋10kgにケース他パーツ類で10kgである。このネットワークボックスの上には、さらにスーパートゥイーターT925と専用鉛ベースが載る。T925+専用鉛ベースで4kg弱の重さがあるので、これらを合わせたPA-2本体天板へのスタビライザー重量は24kgに達する。PA-2の天板重量付加としては必要十分であろう。実際、このネットワークボックス追加にて、PA-2の再生音は飛躍的に向上。その一因として、天板への重量付加が寄与していると思われる。

ネットワークボックスの裏面、つまり、PA-2本体と接触する面には薄めのシートを貼付けている。このシート、名前は忘れたが、表面が毛羽立っており、裏面が粘着性になっている。東急ハンズで購入。PA-2本体からの振動伝達を減衰させる効果を狙っている。

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