オーディオみじんこ
わが情熱のスピーカークラフト
みじんこオーディオシステムの真打PA-2登場!
自作スピーカー:長岡鉄男先生設計 PA-2初期状態
2004.4.11公開
製作年:2002年 制作費:\30万弱 板材入手先:マキゾウ ユニット入手先:ヒノオーディオ他
〜月刊ステレオ1985年6月号 長岡鉄男先生のPA-2製作試聴記事から引用〜

「壮絶、圧倒的、メーカー製のシステムでは絶対に聴けないショッキングなサウンドだ。ものすごく音離れが良く、全域にわたってスピード感がある。音波は当然音速で伝わるのだが、このスピーカーの音は、超音速というよりは超光速で飛んでくる感じがある。到達時間ゼロ。アッと思った瞬間に音はリスナーを突き抜けてはるか彼方にいってしまっている。音圧の衝撃力も大変なものだ。直径1mのフライパンでガーンとひっぱたかれる。そんな感じである。なんといってもコーンの面積が大きい。1145平方cmある。40cmウーファーの面積が880cmだから、いかに大きいかわかるだろう。しかも非常に硬いコーンである。そこでガーンと1発。到達距離も大きく、浸透力も強い。」

みじんこのメインスピーカーにして痛快サウンドを奏でるPA-2改。PA-2は故長岡鉄男先生設計の大形スピーカー。ユニットにPA用大口径フルレンジを使用。大ホールでの大音量再生にも対応できる高耐入力設計。長岡先生設計SPの中でもかなり古い機種で、初出は月刊ステレオ1985年6月号。長岡先生はPA-2の製作記事の副題に「ジャズ、ロック、ディスコ向き超音速超高速スピーカー」と表している。電子音楽大好きのみじんこはこの副題に魅せられて、PA-2の製作を決意したのだった。どうせ作るなら徹底的にこだわろう、ということでオリジナルの設計より板厚を増強。PA-2のオリジナル寸法はW400×D360×H910だが、みじんこは前面背面バッフルを2枚重ねに増強したのでW400×D400×H910となっている。さらには、板材カットを自作スピーカーカット専門店「マキゾウ」に依頼。板材は贅沢にもシナアピトン合板を使用。シナアピトン材とは、柔らかいシナと硬いアピトンの積層合板。外見はシナ合板とそっくりだが、全くの別物。非常に硬くて、釘打ちに苦労するほどだ。音響特性が非常に優秀らしく、自作スピーカーの板材としては最高の材質と思われる。最近、フォステクスのカットサービスの板材として知られるようになったシナアピトン材だが、一般には入手困難。それだけにマキゾウの存在はありがたい。板カット代は板代(サブロク板3枚)込みで5万弱。シナアピトンにしては安い。マキゾウはスピーカーカット専門店を名乗るだけはあり、カット精度は抜群。依頼時の対応も良い。ウーハーはFOSTEXの業務用30cmフルレンジPS300。無骨な外見がかえって新鮮だ。同じくFOSTEXのホーン型ツイーターユニットFT600も異色のユニットだ。ユニット配置はバーツカルツイン。背面にスリット型ダクトを持つバスレフ方式。内容積90L。オリジナルPA-2は1本32kgらしいが、みじんこのPA-2改は45kg。奇しくもみじんこの体重と同じだ。ネットワークは長岡先生の指定通り。PS300とFT600の組み合わせはまさに抜群!はつらつとした爆裂サウンド。長岡先生のユニット選択の妙だ。見た目も無骨でかっこいい!艶消し黒基調の仕上げは正解だった。なお、PA-2は10kHz以上の高域レベ ルが落ち込むため、スーパーツィーターT925で補っている。完成後、エージングには半年ほど要した。今年の8月で丸1年経つが、今だエージングは進んでおり、音に艶が感じられるようになった。長岡先生設計のD-58やスワンはメジャーだが、はたしてPA-2を製作した人は全国に何人いるのだろう?

2004.7.7 PA-2改の板取り図公開!

ウーハーの役割を担うフォステクスPS300。PS300は30センチフルレンジの現行品。ダブルコーンが特徴の業務向けPA用ユニットで、高耐入力を目標に設計されている。フレーム外周部にリング状のゴムが取り付けられている。フレームはプレスなので、ダイキャスト成型のピュアオーディオ用ユニットと比べると貧弱。PS300は2〜3kHzの高域にやや暴れがあるものの、比較的フラットな周波数特性。非常にシャープな音色が特徴。フォステクスのユニットの中でもはみだしものの異才児。長岡鉄男先生もPS300には非常に可能性を感じられていたが、PS300の使用作例は以外と少ない。インピーダンス8Ω。出力音圧レベル98dB。再生周波数帯域58Hz〜18kHz。ローパスは0.3mHのトリテック製エポキシモールドのEC-0.33空芯コイルを使用。4.5kHz6dB/oct。 中央のツイーターはフォステクスのFT600というワイドレンジツイーター。ダイキャスト成型の大形のセクトラルホーン。ホーン部を叩いてみるとけっこう鳴きがある。再生周波数帯域は500Hz〜15kHzなのでスコーカーに分類するのが妥当だろう。FT600の特徴は切れの良い豪快な音色。FT600は残念ながら2年前に絶版。このFT600は絶版直後に秋葉原を捜しまわって入手した最後のペア。ヒノオーディオの展示処分品。中古ショップに並ぶことはまずない。ヤフオクではたまに見かけるので、欲しい人はヤフオクをチェックすべし。インピーダンス8Ω。出力音圧レベル104dB。推奨クロス1.2kHz。ハイパスは1.8mHのトリテック製エポキシモールドEC-1.80空芯コイルとアメリカシヅキ製2.2マイクロFコンデンサーを2ヶパラレル使用。1.8kHzの12dB/oct。
フロントバッフルは21mmの2枚重ね。隙間やズレに注意しながら接着する。釘も使用。 フロントバッフル裏面に補強梁を接着。シナアピトン合板は非常に硬いので釘打ちもひと苦労。
天板を取り付ける。天板にもあらかじめ補強梁を取り付けてある。PA-2は上下対称なので、この時点では上下の区別はない。 背面バッフル。背面バッフルもフロントバッフルと同じ21mmの2枚重ね。バスレフポートのスリット型ダクトの板も取り付けておく。
側板に釘打ちガイドを空ける。なお、側板の木口にはすでに木口シナテープを溶着処理している。 側板の取付をおこなう。接合面に木工ボンドを塗布。次に、側板を乗せ、釘を打って固定する。
片側の側板を取付けたところ。この後背面バッフルを接着する。右に製作中のラックが見える。 背面バッフルを接着したところ。残すは側板の固定。ここまでくるとかなり重い。
側板を接着し、エンクロージュアの箱組み完了。隙間や釘打痕に木工パテを盛る。パテの乾燥後、表面を念入りに研摩した。 水性ステインの黒を刷り込み、続けてダークオークのオイルステイン3回刷り込み。仕上げにラッカーの艶消し黒スプレーを薄く吹き付ける。
エンクロージュアが完成したところで、ユニットをはめ込んでみた。ユニットもエンクロージュアも艶消し黒で統一。よしよし、イメージ通りだ。 エンクロージュア内部に木炭粉末含有塗料を塗布。商品名は「炭の力」。東急ハンズで購入。
炭には電磁波吸収効果があるので使ってみた。
よかれと思って塗ってみた「炭の力」だが、音質に左右しているのかは不明。乾くとざらついた艶消しになる。「炭の力」の基材は水性アクリル。 ユニットに防磁対策を施すため、金属製防磁シートを加工。円形にカットしてマグネットを被う。カットには大形の円形カッターを使う。
防磁シートは木村無線で購入。PS300のマグネットにブチルゴムで張り付ける。FT600にも同様の加工を施す。ただし、この防磁処理でも磁束洩れは多少ある。エンクロージュア側面内部にも厚さ1ミリの鉄板を貼付けるなど防磁を徹底した。なお、キャンセルマグネットによる防磁は音の力感を弱めるのでおこなわなかった。 ネットワークとユニットを取り付けて完成。ネットワークは最短で配線し、ネットワーク配線全てに電磁波シールドを施している。SPケーブルは背面ポートから直出し。使用ケーブルは品川電線VCT3.5sq。実は、製作の途中で運悪くデジカメが故障。ネットワークの配線作業を撮影できなかった。見せ場だっただけに残念だ。
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