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わが愛しのオーディオアクセサリー
自作電源ケーブル05春コレクション
2005.07.20

ここでは2005年初頭から春頃までに製作した自作電源ケーブルをご紹介します。

No.82 Sirius

ACケーブル:AET SCR-AC ACプラグ:AET PSE-018HR IECコネクター:AET PSE-032HR

こちらはAETの切り売り電源ケーブルSCR-ACに、同じくAETのPSE-018HR/PSE-032HRを組み合わせた。長さは1m。SCR-ACには日本ジッパーチュービングのシールドメッシュを被覆した。なかなかスタイリッシュに仕上ったなぁ。このケーブルは私の8個口自作電源ボックスをお求めいただいた方から、依頼されて製作したもの。月刊ステレオ2005.7月号「工作人間大集合特集」49ページにも掲載していただいた。

SCR-ACにはアルミ箔とノイズビートテープによる厳重なシールドがなされているため、あえてメッシュチューブを被せる必要はない。けれども、この被服は依頼者と協議を重ねた末、かっこよさを追求するためにおこなったのだ。だから、このメッシュチューブにはシールド的な意味合いはないと思う。

製作後すぐに依頼者へお送りしたため、試聴はごく短時間だった。しかしながら、しょっぱなから素晴らしい音を奏でてくれた。全域にわたり非常に純粋で、滑らか。いままでのAETには見られなかった暖かみが感じられる。詰まったり濁ったりする感じが皆無。これはSCR-ACの性格と思われる。急激な音の立ち上がりにも反応性が良い。これはプラグ/コネクターの性格だろう。依頼を受けて製作したケーブルだが、これは自分用にも作ってみたい。

この電源ケーブルにはSiriusという名前を付けた。由来は白く輝く恒星シリウス。なんとなくこのケーブルのイメージに合いそうかなと。右は電源プラグPSE-018HR/電源コネクターPSE-032HR。AETの新作電源プラグ/コネクターだ。
電源プラグPSE-018HR/電源コネクターPSE-032HRともに、明工社が製造を請け負っている。PSE-018HRは明工社のME2591あるいはME2573をベースに改良されたもの。透明ケースはそのままで、ケーブル締め付け部材と電極固定部材が黒色に変更され、ME2591より外見上の見栄えが良くなっている。金属部品も非磁性体に変更されている。電極にはロジウムメッキがなされている。基本的には工作しやすいプラグといえる。品質にも問題はない。ただ、PSE-018HRを含め、明工社系/松下系プラグの弱点はケーブル差し込み口の締め付けパーツがぐらつく点にある。ケーブルの固定には、差し込み口に備えられている二つの樹脂パーツでケーブルを挿み、ネジを締め上げて締め付けるのだが、この樹脂パーツの形状に少々問題がある事と、樹脂パーツ同士を結合させるネジが少し細いのが原因のようだ。ま、少し気になる程度で、安全性に問題はない。

右はPSE-032HR。これは明工社の既製品には存在しない形状のコネクターなので、AET用に新規設計されたようだ。シューター4781と似ている形状だが、シューターの欠点を巧みに解決している。シューターはケース中心にあるネジ1本でケースを結合させているのだが、この本体中心に貫通するネジが邪魔になって、グランド電極へのケーブル配線がやりにくいのだ。だが、このPSE-032HRはケースの結合に2本のネジを使い、ネジが配線の邪魔にならないようケースの端に設けられている。ただし、PSE-032HRにも不満点はある。それはケーブル引き出し口径がかなり限定されるという事だ。引き出し口にあるパーツはゴム系なので、ある程度の伸縮性がある。しかし、ケーブルが細いとぶかぶかになるし、太すぎると通らない。だいたいφ11〜13のケーブル径だと具合が良い。では、引き出し口にあるパーツを外せばいいではないかということになるのだが、このパーツを外すと、開口部は四角の角を丸めた形状になっており、丸いケーブルだと四隅に隙間ができるのだ。まぁ、なんというか説明しにくいことなのだが、そういうことなのだ。ま、たいした問題ではないし、収縮チューブを被せてやるとこれらの問題は解消できる。

No.83 Antares

ACケーブル:S/A LAB HH3.5 ACプラグ:フルテック FI-11MG IECコネクター:フルテック FI-11G

このケーブルも前述のNo.82 Siriusの依頼者から依頼を受けて製作したケーブル。ACケーブルにS/A LABのハイエンドホース3.5。長さは1m。ACプラグにフルテックFI-11MG、IECコネクターにフルテック FI-11Gを使用。ハイエンドホース3.5はそのままでも黒光りしてかっこいいのだが、今回は依頼者の要請を受けてシャークワイヤーの赤メッシュを被せた。外見はご覧の通り渋めに仕上がっている。

例によって製作後すぐに依頼者へお送りしたために、試聴時間はごく短時間。エージング中の音になるのだが、細かい音を良く出しながらも、全体的に落ち着いた傾向。高域にシャリつくところもあるが、これはHH3.5の初期状態であり、エージングでかなり解消されるだろう。

このケーブルはNo.83 Antaresと名付けた。アンタレスとは赤色巨星の一種。ケーブルの色と音色を兼ねて名付けてみた。
右がフルテックのACプラグFI-11MG。頑丈な作りが特徴。ケーブル取り付け作業もしやすく、ケーブル締め付け部品が頑丈なので、ケーブルを強固に挿み込んでぐらつく事がない。ケーブル径φ15くらいまでは余裕で固定できる。φ18まではいけるかもしれない。

IECコネクターにはフルテック FI-11Gを使用。これもプラグと同様、頑丈で使いやすいコネクターだ。ケーブル締め付け部品を繋いでいる締め付けネジが大きく、ネジ溝が深いのも良い。大きなプラスドライバーできちんとネジが回せるからだ。ネジが小さいと作業性が悪いのだ。

No.76 Lucifer ||

ACケーブル:藤倉CV-S3.5 ACプラグ:AET PSE-018HR IECコネクター:AET PSE-032HR

こちらはステンレス電源ボックスをお求めいただいた方から、製作を依頼されたケーブル。長さは3.5mとかなり長い。ACケーブルにはハイCPな藤倉CV-S3.5を使用。電工ケーブルだが、オーディオ用としても十分通用する。CV-Sの鮮烈さをAETのロジウムで研ぎ澄ましてやろうという狙いがある。
ACプラグにはAET PSE-018HRを使用。IECコネクターにもAETのPSE-032HRを使用。ロジウムメッキながら、他社ロジウム製品に比べ安い。このケーブルに付けた名称の“Lucifer”は明けの明星を指すのだが、堕天使の名前でもある。CV-Sの表現力のストレートさ、或いは荒々しさを表現したかった。
依頼者の方にお送りする電源ボックスと電源ケーブル。うーん、なかなかいい仕上がりかな。音出しでの確認程度なので、参考になるかどうか分らないが、CV-SとAETの組み合わせもほぼ狙いとおりになったかと思う。一見不釣り合いなCV-SとAETだが、まぁこういうのもあっていいんじゃないかと思う。ガッツでやんちゃなCV-Sに、AETの澄んだ煌めきが加味され、熱さの中にクールさが合間った再生音を奏でてくれた。
No.81 Spiendor

ACケーブル:ディーバス14-4CT ACプラグ:AET PSE-018HG IECコネクター:AET PSE-032HR

これも私の自作電源ボックスの購入者から、それにマッチするケーブルを、という依頼で製作したACケーブル。個人的には、ディーバスとAETプラグの組み合わせはかなり気に入っている。ディーバス14-4CTは藤倉CV-Sと並んで私の昔から好きなケーブル。細身に似合わず、熱気のある、それでいて繊細な表現も得意とする優秀なケーブルだ。高域の切れの良さもなかなか聴きどころ。このページではやたらAETのプラグ/コネクターを多用しているが、これは発売直後であったのもあり、私自身が興味のある製品だったからである。プラグコネクターとしては後発的な存在であるAETの製品だが、価格的に使いやすいという魅力もある。ケーブル製作依頼を兼ねながら、AETのプラグコネクターとケーブルとの相性を探るため、色々な組み合わせを試させていただいているわけだ。
このケーブルの制作過程を写真で残してあるので、ちょっとご紹介。電源プラグPSE-018HGと電源ケーブル14-4CTとの接合には圧着スリーブを用いる。このスリーブはクライオオーディオテクノロジー社のスーパークライオピュア圧着端子を使用する。同社のクライオスリーブは3種類あるが、ここで使ったのはSC-R5。4個入りで実売\840。OFCと思われる純銅に金メッキをかけ、極低温処理したスリーブである。
このスリーブを14-4CTの端末にハンダ付けする。14-4CTは4芯スターカッド構造。青/赤各2本の芯線をそれぞれ選り分けてから、スリーブの穴に差し込んでやる。ハンダにはゴールドニッカスハンダというものを使用。金が少し混ざった松ヤニペースト入りの無鉛ハンダだ。実はこのスリーブ、このままではPSE-018HGにはかっちりはまらない。写真には撮っていないので、文章で説明するが、プラグの取り付け箇所の凹みよりスリーブの幅の方が若干大きい。やすりで削ってスリーブの幅を2mmほど狭めてやると、PSE-018HGの側面にあるスリーブ取り付け箇所にきちんとはまる。いま思えば、同じクライオ圧着端子でも幅が狭いタイプもあったので、そちらを購入すればよかったかも。
PSE-018HGの金具をケーブル差し込み方向から眺める。PSE-018シリーズは明工社のME2591/ME2573を元にして、オーディオ向けに改良されたものと思われる。しかし、ME2591/ME2573には側面への圧着円形スリーブを取り付ける箇所は設けられていない。この丸形スリーブへの対応はPSE-018のみの仕様のようだ。もちろん、スリーブを使わずにケーブル導体をプラグのケーブル導体差し込み穴に差し込んで締め上げるという方法でも一向にかまわないのだが、ディーバス14-4CTのようにケーブル導体径が太いものに関しては、プラグの穴に入りきらない事がある。その場合、こういったスリーブを用いた固定手段があるととても助かるのである。AETの完成品ケーブルSCR-AC/SIN-ACにおいてもこの円形スリーブによる固定手段を採用している。このような仲介物を挿み込むのは音質劣化の原因になると言って嫌う人もいる。その点については一理あるのだが、ケーブル導体を不安定な状態で無理に固定してしまうより、スリーブを仲介して確実に固定してやる方が、音質的にも有利になるのではないか。

右上はIECインレット側のケーブル端末処理状態。この棒形スリーブはAETのインレットに付属のもの。スリーブを使わなくても固定できなくはないのだが、14-4CTは意外と導体径が太い、たぶん5スケア相当はあるのではないかと思われるので、スリーブを咬ましてやった方が、安心確実に固定できる。

中途半端な製作過程の紹介になってしまったが、そういう感じで完成したのがこれ。ケーブルにはシャークワイヤーの青メッシュの細いやつを被せている。シャークワイヤーのカラーメッシュは秋葉原のタイガー無線で常時入手できる。日本橋の河口無線にもシャークのメッシュは置いてあるのだが、細いタイプのカラーメッシュは扱ってないはずだ。作品名は“spiendor”。ラテン語で「高貴」という意味だったかな。
左はIECコネクターPSE-032HR、右は電源プラグPSE-018HG。14-4CTをPSE-032HRに差し込むと、ケーブル径が細いため、コネクターのゴム受け口との間に隙間が出来て具合が悪い。この場合、14-4CTに収縮チューブを数回被覆し、ケーブル径を太くしてからコネクターに差し込むと隙間なく固定できる。接合部分にはさらに収縮チューブをかけて、安定度を増している。

IECをロジウムメッキにしてプラグを金メッキ仕様にしているのは、月刊ステレオでの田中伊佐資氏のレポートをそのまま真似てみたのだ。 ロジウムと金メッキの性格がちょうど良い具合に混じり合うらしい。さて、肝心の音質だが、完成度のかなり高い組み合わせと言えるだろう。14-4CTの透明ではじけるような傾向に、プラグコネクター双方の性格が混ざり合って、より芳醇な脚色を付け加えたようになった気がする。色気とでもいうのか。女性ボーカルなどではただ単にはつらつと聴かせるだけでなく、しっとりしなやかな印象も垣間見せてくれる。ただし、エージングがまったくなされていない状態での感想。完成後すぐに依頼者へお送りしなければならないため、導通確認を兼ねたごく短時間の試聴であったことをお断りしておく。

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