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電源ケーブルエージングアダプター
2005.08.22公開

このページでは電源ケーブルのエージング器具の自作過程をご紹介する。わざわざ専用ページを割いてまで紹介するほどのものでもないのだが、似たような悩みを持つ人への福音となれば幸い。

これがエージング用の自作アダプター。 エージングは英語で“aging”つまり「老化」のこと。オーディオでいうところのエージングとは、機器やアクセサリー類を使い込む事によって、機器本来の性能を発揮させるための“慣らし”作業の事。エージングによって音質はがらりと変化するので、そのケーブルの能力をきちんと評価するには一定時間のエージングは不可欠なのだ。エージングは右上写真の通り、エアコンの駆動時におこなうようにした。夏場はエアコンがフル稼働であるし、消費電力も大きいので、エージング用にはうってつけだ。

 私は自作電源ケーブルをたくさん自作するので、その度毎にエージングの必要性に迫られていた。エージングするにはオーディオ機器に繋げて数時間〜数十時間使い続ければいい。ただ、現実問題として、音楽を聴きながらエージングを待っていては、時間が掛かりすぎる。第一、私は平日は仕事に出ているので、オーディオ機器は週末の数時間しか鳴らさない。これでは、エージングするために音楽を鳴らしてしまう事になり、音楽を楽しむのもままならない。ケーブルの本来の性能が発揮されてないのではないかと思いながら音楽を聴くのは、精神衛生上よろしくない。さらに、私は作るとなると電源ケーブルを一度に何本も製作し、同一条件化で一斉比較試聴することがしばしばある。作ったケーブルを取っ替え引っ替えオーディオ装置に繋げてエージングしていては、いつまでたっても比較試聴できない。それに、オーディオシステムの背面に回り込んで、ケーブルを頻繁に交換するのはけっこうな重労働なのだ。であれば、日常使う電化製品の電源供給ケーブルに中継させてやれば、エージングが効率的に行えるのではないか。そういうわけで、上の写真のようなアダプターを考案した。これは片側がIEC320規格の3Pインレットになっており、オーディオ用電源ケーブルを接続出来るようになっている。もう片側は普通の日本型15アンペア2Pコネクターになっており、ここに電化製品側の電源ケーブルのプラグを差し込むのだ。つまりは、通常の電化製品の電源ケーブルと壁コンセントの間に自作電源ケーブルを中継させてやることによって、エージングを迅速におこなおうというのである。

これが中継アダプターに使うコネクターたち。メーカー不明。秋葉原ラジオセンター内のパーツ店で購入。オーディオ用のパーツではない。2Pメス型は一般的な中継ケーブル用のコネクターとして売られており、200円ほど。3Pオス型はパソコン用電源ケーブルの中継コネクターなどの用途として需要があるらしく、ラジオストアーのパーツ店でよく見かける。様々なメーカーのものがあったが、値段の一番安いものを購入。500円ほどだった。
IEC規格オス型コネクターの内部。開けてみて思ったが、作りは雑だ。ケーブル導体はネジ止め仕様になっている。しかしながら、使おうとしているケーブル(アクロリンク6N-P4020||)では太すぎて、うまくネジ止めできない。どうやら、丸形圧着スリーブを仲介させてケーブルを固定する事を前提としているようなのだが、スリーブを買うためにいちいち秋葉原にまで出向くのも面倒だ。そこで、ケーブル導体とコネクター側電極を直接ハンダで接合してやる事にした。
コネクター電極とケーブルをハンダ付けし、コネクターケースに収まるようにヤスリで整形してやった状態。この後、コネクターのケースに電極を戻す。さらに、ケースにあるケーブル固定具を締め、ケーブルが外れないようにしてやる。
これは2Pコネクター側のケーブル端末処理。こちらも導体をネジ止め固定出来るようになっているのだが、太いケーブル導体を固定するには心もと無い。そこで、手持ちで余っていたYラグスリーブを仲介してネジ止め固定してやることにした。こんな簡単な工作一つとっても、難局難問が次々と出てくる。ま、それをうまく解決するのもオーディオ工作の醍醐味。
ケーブルの両側にコネクターが付いた状態。このままでも使えるのだが、重い電源ケーブルを接続するので、構造を強化することにした。ケーブル部分に自己溶着テープを巻く。さらに、アダプター全体にニシチューブを被せ、熱収縮させた。
これが完成したACケーブルエージングアダプター。このアダプターの3P側に自作電源ケーブルのIECコネクターを挿し、もう片側にはエアコン室内機の電源ケーブルを接続。なお、エアコン用の壁コンセントは元々3P対応だったので、電源ケーブルをそのまま差し込む事が出来た。私の自宅ではエアコンは一日のうち10時間以上稼働している。しかも室内機の消費電力は1kW弱。けっこう電力消費が多いので、エージング効果が十分期待出来る。家電製品で消費電力の多いものとしては、ヒーターやコタツ、電子レンジや冷蔵庫などがある。ヒーターやコタツなどの電熱器は電力消費が大きいので、エージングを短時間に済ますにはうってつけ。けど、暑い夏に電熱器はしゃれにならん。ドライヤーや電子レンジは電力消費がでかいものの、一日に何時間も使うものではない。冷蔵庫は常に動いているが、冷蔵庫の裏側に電源ケーブルを這わせるのは面倒だ。そこでエアコンの室内機に目を付けたのだ。ここなら、床から高い位置なので、子供の手が届かないというメリットもある。

 そんなわけで、このアダプターは大活躍している。このアダプターとエアコンのおかげでエージングが苦にならなくなった。10時間ほどエアコンを回していればケーブル1本のエージングは完了する。1週間あれば7本のケーブルのエージングが済む。エアコンは室内機といえども消費電力が大きいので、エージング効果も抜群である。エージング前/エージング後ではケーブルのパフォーマンスはがらりと変化する。粗さや低域の引っ込みが解消される。ケーブルにもよるのだが、高域表現の情報量や、ボーカル帯域の艶やかさはエージングによって劇的に向上することがある。

 最後に、エージングについて二言三言。エージングが顕著に表れるオーディオ装置としては、スピーカーが挙げられる。新品のスピーカーはすぐには良い音は出ないことが多い。鳴らし始め数時間〜数十時間は、エンクロージュアが鳴いたり、高域が耳についたり、ガサガサした再生音だったりするものだ。使い込むうちに、様々な箇所が“熟れてきて”そのスピーカー本来の音が出るようになるのである。これはユニットのダンパーが熟れて動きやすくなることが、一因と考えられる。また、信号線への導通で、信号が流れやすくなると言うことも考えられる。なお、エージングには駆動させることで進行する動的なエージングと、ただ時間が経過するだけでエージングが進む静的なエージングもある。静的なエージングとしては、スピーカーエンクロージュアの歪みなどが時間経過とともに消化されてくることが挙げられる。

 アンプやCDプレーヤーなどの機器類においてもエージングは存在する。このページでの主題の通り、エージング効果はケーブル類においても存在する。ケーブルにも動的なエージングと静的なエージングがあり、製作して数日ほったらかしにしておけば、それだけでエージング効果が現れる事があると言われている。ただ、ケーブルの場合には、やはり電気を流してエージングしてやったほうが良い。ケーブルを使い込む(エージング)となぜ音質向上するのか?どのような理屈なのか?これは謎である。たぶん、電気を通す事によって、ケーブル導体とプラグ電極の接点での電子の流れが良くなるとか、導体自体の電子の通りが良くなるなど、ナノレベルでの変化があるのかもしれない。

 エージング効果を否定する意見も多々ある。エージングエージングというけれど、電気を流す前と何時間も流した後でケーブルの特性が数値的に変わるのか?電気が流れる事で、電気の通りが良くなるのか?そういった疑問が生じても仕方ない。エージングによる音質向上のメカニズムついては、まだ解明されていないのが実情なのだ。推測での話は私にもできるのだが、データで実証された明確な理論を聞いた事が無い。それに、エージングに効果ありなしというのも、聴く人の主観で判断されることなので、きわめて曖昧なのだ。信ずるもののみ救われるの世界なのかもしれない。そもそも、オーディオは化学や物理はもとより、不思議系、オカルト、自我自賛、自己満足、誹謗中傷が横行する世界なので、エージング効果が実在するのかどうか、そんなものを議論していても結論が出るわけは無い。ただ、私自身はエージング効果を幾度も体験しているので、鳴らし込み、使い込みによる音質向上効果はたしかに存在すると考えている。電源ケーブルの場合には3〜60時間は電気を流す必要があるようだ。

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