|
|||
2004.6.8公開!
オーディオみじんこ |
|||
21世紀に入り、壁コンセントを3Pタイプのホスピタルグレードのものに交換するのは常識になった。これは音質面で有利なのはもちろんのこと、3Pタイプのオーディオ用電源ケーブルを使用する場合、壁コンセントを3Pのホスピタルグレードタイプにしておく必要があるためだ。 壁コンセントの交換が浸透したところで、次に注目されたのはその周辺のアクセサリー類である。例えば、コンセントプレート(カバー)や壁コンセントベースと言われるアクセサリーであり、これらは比較的歴史が浅い。コンセントプレート自体はコンセントの付属的要素でしかなかったのだが、音質を考慮したオーディオ用コンセントプレートというのはここ3~4年あまりに登場している。コンセントベースに至っては、2002年頃のオーディオ各誌で山本巨匠の自作コンセントベースが話題になって以降、メーカー数社が相次いで製品化。アコースティックリバイブのCB-1(A2017ジェラルミン)、オルトフォンのCBB-1000(天然オーク)、チクマの75WCP-301(A7075ジェラルミン)、オーディオリプラスのSCB-2SZ(高純度銅合金)、同SCB-4SZが店頭を賑わしている。 |
|||
オーディオアクセサリー業界というのはあるオーディオアクセサリーの新しい分野が開拓された時に、雪崩のように新発売が相次ぐというのが通例であり、この壁コンセントベースというのもまさしく格好の新ジャンルであったわけだ。コンセントベースの効果は、ずばり解像度の向上、反応性の全体的な底上げだろう。コンセントベースがこれほど急速に浸透したのは、その効果が顕著であったからに他ならないのだが、その牽引役になったのがオーディオ評論家の福田雅光先生である。コンセントベースはその構造の単純さからいって自作が容易で、私も木の板をくり貫いた自作コンセントベースを愛用している。コンセントベースというのは、壁コンセントを安定的に取り付けるためにコンセントと壁との間に挟み込む仲介部品であり、たしかに音質的効果、及び精神的満足度はある。この場合の精神的満足度というのは、壁コンセントががっちりと固定されているという安心感と、見た目のかっこよさである。一般家屋の壁の材質というのは、石膏ボードや漆喰などの柔らかい材質で出来ていることが多く、壁コンセントを取り付ける母体としては極めて安定性に欠けるのだ。この欠点を補ってくれるのがコンセントベースである。さて、長々と書き綴ったが、ここからは実際のコンセントベースをご覧いただくことにしよう。なお、壁コンセントの交換は、第一種電気工事師免許を取得している人間以外はやってはいけない個所である。コンセントベースの装着にもコンセントの取り外しが必然なため、やはり免許がないとやってはいけない。私も公のホームページ上では「免許を持ってないけど自分でできますよ」と明言するわけにはいかないし「電気工事師の免許を持っている知人なり電気工事業者なりに依頼しましょう」としか言えない。ここらへんは、オーディオショップ店員によって様々な応答をされており、「必ず電気屋さんに頼んでください」という真面目な忠告から、「本来は免許がないとできませんが、皆さん自分で交換していますよ」といったものまで、私は何度かそういう場面を見かけたことがある。やはり壁コンセント交換は素人がやってはいけないというのは皆さん知っておられるわけで、ただ、作業自体は比較的簡単なもので、ブレーカーを落としてから作業をする、ホットとコールド線をコンセントへ確実に結線する、漏電或いはショートしないよう確実に絶縁する、といった要点を心がければ良い。
|
|||
タモ材自作コンセントベース
壁コンセントベースは楽しい。何が楽しいって?下の写真をご覧あれ。壁コンセントがなんとも頼もしい状態になるのだ。見ているだけで嬉しくなってくる。私のオーディオルームの壁コンセントはテレビアンテナコネクターと隣り合わせに配置されているので、コンセントベースはコンセント2連対応でないと収まりが悪い。ただ、このコンセントベース、市販品はそれなりの値段がする。コンセント1個対応は1万円未だが、コンセント2連対応のコンセントベースは高価なのだ。アコリバのCB-2で\15,000ほど、リプラスのSCB-4SZともなると3万円を突破する。そこで、私はコンセントベースを自作する事にした。仕上がりもまずまず。自作の楽しさも相まって満足度は高い。音の変化は極端では無いが、心持ちレスポンスが速くなったようだ。電源周りがしっかりすることはいいことだ。 |
|||
タモの木で作った壁コンセントベース。プラグを挿した時の挿入感が違う!カチンと挿さるのだ。材料費約\500と格安。私は加工のしやすさから木製にしたが、コーリアンも面白そうだ。アルミや真鍮で自作した方が音質的変化が顕著と思われるが、金属は加工しずらい。お金に余裕のある人はメーカーの市販品を買った方が無難だ。 | タモ材の150mm×150mm飾り台。厚みは15mm。価格は\470。東急ハンズ木材コーナーでちょうど良い大きさの板がタモ材だった。この板は、ディスプレイ用の飾り台として販売されているもので、エッジがアール処理されている。上のサイズ以外にも様々な寸法が売られている。他にアガチス材やチーク材(渋谷店のみ)もある。 | ||
タモの飾り台をくり抜く。くり抜き寸法は95mm×75mm。鉛筆で描いた下図を元に、電動糸ノコで切り抜いていく。カットの手順は、まず四隅にドリルで穴を開ける。その穴に糸ノコ刃を通し、糸ノコ刃を固定してから切断を開始する。タモ材は硬いが、多孔質なので密度は低く、すんなりとカットできる。 | コンセントとテレビアンテナコネクターを仮置きし、固定ネジのネジ込み位置をけがく。写真では、オイルステインを1回塗りした状態。この後、オイルステインを2回塗りし、艶消し黒のラッカーをスプレー。塗装をするかしないかは人それぞれ。無塗装でも構わないが、私は、自分のシステムに合わせて黒く仕上げたかったのだ。 | ||
コンセントの固定用のネジ穴をドリルで開ける。コンセントベースと壁との固定ネジを通す凹みも開けておく。ネジ穴は必ず現物合わせをおこない、精度良く慎重に開ける事。穴がずれてしまうとコンセントプレート固定の際に、コンセントのプラグ差し込み部分とコンセントプレートの切り抜き位置が合わなくなってしまう。 | 出来上がったコンセントベースを壁に取り付けて、屋内配線をコンセントに接続。さらにコンセントをベースに固定し、プレートを被せると完成!使用したコンセントプレートはオヤイデの異型コンセントプレート。アンテナコネクターとUL規格コンセントを同居できるのだ。アルミ削り出しでアルマイト処理されている。 | ||
その他の壁コンセントベース
|
|||
先に紹介した自作コンセントベースを使用するまではこんな状況だった。コンセントプレートはアコースティックリバイブが発売するトルマリン入り樹脂製のJAC-1。コンセントベースはチクマの75WCP-301。チクマの75WCP-301は高剛性で、コンセントをがっちり固定出来きる。それは音色にもはっきり現れる。音像の周りが引き締まるのだ。ただ、テレビアンテナコネクターがむき出しになってしまい、なんとも見てくれが悪い。 | |||
寝室の壁コンセント交換
|
|||
これは寝室の壁コンセント。これをUL規格コンセントに交換してみよう。 | コンセントカバーを外すと、コンセントとテレビアンテナコネクターがむき出しに。 | ||
コンセントを外すと屋内配線とテレビアンテナ配線が現れる。ここの壁コンセントは屋内配線が2組接続されている。1組はブレーカーからの屋内配線、もう1組はコンセントを中継し別のコンセントに電流を送りだす屋内配線である。 | オヤイデの異型コンセントプレートを装着。コンセントはPADのCRYO-L2。屋内配線の端末は金属磨き布ポリマールなどで研摩しておこう。マンションの建築以来、20年間も外されたことがないはずで、屋内配線の端末は相当汚れていた。 | ||
各種コンセントプレート
ここでは私が所有するコンセントプレートをご紹介。これらはコンセント購入時に付属されてきたもの、プレートのみ小売りされているもの、自作したものなど。正直、厳密な聴き比べをしたわけではないので、音質傾向は述べていない。ここに紹介した以外にも、真鍮、銅、樹脂など様々なコンセントプレートが発売されている。コンセントプレートの品揃えが豊富なのはキムラ無線。 |
|||
ステンレス製の2連コンセントプレート。オヤイデ電気で購入。\520。金属製UL規格2連プレートの中で最安。神保電気製。大きさ125mm×125mm。JAMOという文字が刻印されている。厚みは薄いが、ステンレスなので頑丈。光沢もあり美しい。写真上右の電源ボックスに使用。 | |||
上述の作例でも登場したオヤイデ電気の異型コンセントプレート。\4,000。プレート表面にはアルマイト処理されているので、酸化されにくい。コンセントとテレビアンテナコネクターが共用されている場合には、この異型コンセントプレートは必須アイテムだ。アルミ削り出しの頑丈なプレートだ。写真のUL+アンテナコネクター2連タイプの他にも、用途に合わせ2種類ある。オヤイデ電気とダイナミックオーディオ秋葉原中古トレードセンターで販売中。 | |||
左上はキムラ無線で単売されている樹脂製ULコンセントプレート。レビトン製。\700。鮮やかなオレンジ色がなんとも美しい。他にも、赤、青、クリーム色などが販売されていたが、限定販売だったので、すでに売り切れていたと思う。
右上はレビトン5362IGに付いてきた樹脂製ULコンセントプレート。レビトン製。光沢のある白色。樹脂製は音質への悪影響が少なく、金属製プレートより優れているとの見解もある。実際、FIM880にも樹脂製プレートが付属していたなぁ。 |
|||
左上はアコースティックリバイブのトルマリン入り樹脂製ULコンセントプレートJAC-1。J1プロジェクトのコンポジット素材を用いた樹脂プレートだ。定価\4,800、実売\4,000もするのに、見た目は安っぽい。アバックにて\2,000で中古購入。艶消しの黒色をしたJ1コンポジット樹脂でできている。樹脂に混入されているトルマリン(電気石)粉末がマイナスイオンを発生し、電磁波を打ち消すという理論らしい。福田雅光先生はJAC-1を「副作用が少なくて音の良くなるコンセントプレート」と評価されていた。JIS規格のJAC-2も発売されている。最近、同社からは J1C15ULという極厚プレートも発売された。
右上はPADのCRYO-L2に付属してきたULコンセントプレート。ヘアライン入りの鈍い銀色。オーディオ用のコンセントプレートは通常、磁性体の悪影響を避けるため非磁性体で作るものなのだが、このコンセントプレートはあえて磁性体金属で出来ている。その理論とは、コンセントを通過するノイズ成分をこの磁性体プレートを介して空中に逃がしてやるというもの。だから、この付属プレートを使わないとCRYO-L2の真価は発揮できないらしい。PAD主宰ジムオッドの似顔絵入りプレートが付属のCRYO-L2が限定発売された事もあった。 |
|||
左上はフルテックFP-2Rに付属しているステンレス製ULコンセントプレート。と大きめ。かなり硬いので、強度は十分。FURUTECHと刻印されている。福田先生いわく「高S/N比、明快、繊細、解像度も高い」と評されていた。このコンセントプレートは\300ほどで単売もされており、キムラ無線などで購入できるはず。
右上は4mm厚ステンレスをレーザー加工でくり抜いた自作コンセントプレート!私が言うのもなんだが、これに対抗できるコンセントプレートはそうはあるまい。コンセントは3連装できる。ステンレスなので硬度は抜群。このプレートの導入で、私の電源環境はかなり向上した。このプレートについてはいずれ詳しく紹介するつもりである。 |
|||
|