オーディオみじんこ
オーディオイベントレポート
「第10回真空管オーディオフェア」
2004.9.29新規!
開催時期:2004年9月25日〜26日 開催場所:損保会館(秋葉原)
2004年9月25日26日の2日間、秋葉原の損保会館にて第10回真空管オーディオフェアが開催された。主催はクラフトオーディオ協会。参加企業は31社。重複した日程で2004東京インターナショナルオーディオショウ、ハイエンドオーディオショウ、AVフェスタがも催されていたので、4箇所の会場周りに大忙しだった。2階の大ホールには国内外の真空管アンプメーカーが十数社出展。5階には試聴会場とオーディオパーツの即売会場が設置されていた。同時期に開催されている各オーディオ展示会に比べると規模ははるかに小さいが、入場者はそれなりに多い。私は足早に会場を見て回ったので、じっくりと製品試聴などはおこなっていない。したがって、音質うんぬんのコメントは書けないのだが、写真を見て会場の雰囲気を味わっていただければと思う。では、2階の大ホールからレポートしていこう。
アムトランスのブースでは同社のオリジナル配線やコンデンサーなどを展示していた。目を引いたのは新製品の4Nの金メッキOFC単線。φ0.7mmとφ0.9mmが4mで定価¥1,800と¥1,900。これはすでに秋葉原の海神無線で販売している。一緒にラックスマンの新型真空管アンプMU‐88が底板を外した状態で飾られていた。同機の配線にこの金メッキOFC単線が採用されているためだ。たしかに、MQ‐88の配線に金色の線が確認できた。これは良さそうだ。この後、5階の即売会場を訪れた際、アムトランスのブースで金メッキOFC単線が¥1,600で特価販売されていた。私はφ0.7mmを購入。この単線、一見裸の素線に見えるが、実はテフロンが薄く被覆されている。だから、絶縁処理無しでこのまま使えるのだ。もちろん、端末の被服は剥がしてやらねばならないが。このOFC線は自作アンプの屋内配線に使うのが順当なのだろうが、RCAケーブルに使ったり、SPケーブルに使ったりしても良さそうだ。見た目が金色で綺麗なので、露出する部位にわざと使うのも面白そうだ。私はスーパーツイーターT925の配線材を探していたので、この金メッキOFC線をあてがってみよう。
ハットオーディオラボのブース。茨城県土浦市にある真空管アンプメーカーだ。自作アンプのためのオリジナルトランスも豊富に揃えてあるようだ。試聴スピーカーとして故長岡鉄男先生設計のD37が設置されていたのだが、鳴っていなくて残念。右の写真はPA-833AとPA250というモノラルパワーアンプ。PA-833Aの巨大な真空管が異様だ。
ご存知サンバレーの展示ブース。ザ・キット屋というブランド名で呼ばれている。サンバレーは国内の真空管オーディオの牽引役といった感じのメーカーだ。同社は製品数が多く、ずらりと並んだ真空管アンプを眺めるだけで圧巻。人気のメーカーだけあって人だかりが出来ていた。大橋さんが各機の配線を切り替えて音出しをされていた。もっとも、他のブースに迷惑が掛からない程度の小音量で再生されていた。
サンバレーの展示品について。左はSV-2ver2003。KT88と845を使っている。キット価格は\128,000。私がいいなと思っているステレオパワーアンプSV-63は今回も眺めるだけ。右の写真のやつだ。キット価格は\198,000。SV-63は同社のアンプの中では最も重く、重量が35kgもある。6C33CBを使い、出力40Wを誇る。SV-63はカバーを取り除いた状態で高さ21cmある。これなら私の内高22cmのラックにぎりぎり収まりそうなものだが、それは厳禁らしい。当たり前と言えば当たり前なのだが、トランスと真空管からの発熱が尋常ではないらしく、上部には30cmくらいの空間を設けて欲しいとのこと。放熱のためには、天井方向だけでなく、左右にも十分な空間を設けたほうがいいらしい。
イーディオのブースには人口大理石のスピーカーが置いてあった。イーディオは東京新宿区にあるオーディオ輸入商社。このスピーカーはnOrh Mini9.0というらしい。\126,000/本。大理石のエンクロジュアはタイのnOrh社。ユニットはスキャンピークを採用。ペア37万円。米国Atma-Sphere社のM60Mk2.2というOTLアンプでドライブされていた。モノラルペアで70万円。なかなか歯切れの良い音。好感が持てる。このスピーカー、側面から眺めるとロートのような形をしている。B&Wノーチラス800シリーズのミッドレンジエンクロージュアの後ろ半分という感じでもある。
長谷弘工業のバックロードホーンスピーカー。MDF合板を重ねて作る、同社オリジナルのスピーカー製作キットだ。秋葉原ではコイズミ無線などに陳列してある。ボンドや釘を使わずに、板を重ねてボルトで固定するだけで作れてしまうのが売り。同社は最近、備前焼きのインシュレーターに力を入れており、今回は新作のレコードスタビライザーを展示していた。イオンデューサーという名。これ、窪みに水を入れて使うらしい。うーん、これは新しい発想だ。個人的には、ジルコンサンドを詰めたりすると良さそうだと思った。ただ、砂にしろ水にしろ、レコードスタビライザーからこぼれだしてしまったら大変なことになりそうだが。それと、ちょっと値段が高いような。
メガ テック オーディオ。845を使っていた。詳しいことはわからないが、日本のメーカーではなさそうだ。中国系のメーカーと思われる。
2階にはここに紹介した以外にも何社か展示されていたのだが、割愛させていただく。さて、お次は5階の即売会場だ。即売会場は真空管やビンテージもののパーツ、スピーカーユニット、書籍などが所狭しと並んでいる。皆さん、コンデンサーやなんやらをまとめ買いされていた。
六本木工学研究所もブースを構えており、まだ小売店に並んでいない新製品も陳列販売されていた。同社はTang Band(略してTB)というユニットメーカーを精力的に扱っている。TBは次から次へと新製品が投入される頼もしいブランドだ。TBは台湾のメーカーだが、生産は中国でやっているらしい。TBの最近の目玉は5cmユニット。ご覧の通り極小ながらも個性的なユニット達だ。これでフルレンジなのだそう。3種とも防磁型なので、磁束洩れも心配ない。この大きさでピュアオーディオ向けの単体販売ユニットは今まで無かった。左写真のW2-800SFとW2-802SBは、すでにキムラ無線やコイズミ無線やヒノオーディオで販売されている。ただ、このユニットはバッフル口径が51mmと極小なので、既存の箱には取り付かない。箱を新規に作るしかないので、どこの店でもいまだ試聴はできない。どんな音がするのか興味あるなぁ。右の黒い5cmユニットは小売店未入荷の新作W2-852SEだ。社員さんの話によると、この新作ユニットがTBの5cmユニットの中で最も高音質とのこと。コーンは艶消し黒のコーン紙で、センターコーンが鈍角に尖がっているのが特徴。なかなか渋い外見にピクピクそそられる。インピーダンスは4Ωとのこと。個人的には、複数個縦に並べたトーンゾイレにしたら面白そうかなと思う。六本木工学研究所の社長さんの話によると、現時点でもTBの製品ラインナップの10%くらいしか輸入していない。従って、今後も続々と日本初上陸のユニットが拝めそうだ。
山本音響工芸では黒檀やテフロンの端材を販売していた。テフロンの端材は同社のパーツの製造過程で出てきた切れ端。私はテフロンのブロックを購入した。¥100/袋。端材なので大きさは様々だ。何に使うか思い浮かばないのだが、なにかに使えるだろう。テフロンは制振性が高いのでインシュレーターあたりが適当かな。和光テクニカルでは同社の銀ハンダやフラックス、銀ハンダコテを販売。この銀ハンダコテは私も愛用している。無縁銀ハンダを使いこなすには必須のアイテムだ。
そんなこんなで、ちょこっと買い物をしてわずかな物欲を満たしつつ、即売会場を後にした。5階には即売会場の他に、今話題の原田製作所の真空管アンプの試聴部屋があった。とても興味があったのだが、出入り口が混雑していたので遠目から眺めるだけにした。超オルソンアンプと名打った新製品も並んでおり、皆さん熱心に聴き入っていた。即売会場の外の廊下には、これから始まる試聴会場への長蛇の列が出来ていた。私も参加したかったが、時間が無いのでこれにて退散。まずまず楽しい真空管オーディオフェアであった。
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