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富士電線VCT5.5キャブタイヤケーブル使用スピーカーケーブルの製作

2004.6.27新規更新!

友人に頼まれてVCT5.5スケアを使用したスピーカーケーブルを製作したので、ここにご紹介しよう。富士電線VCT5.5といえば、故長岡鉄男先生がスピーカーケーブルに愛用されていた。VCTは業務用電力ケーブルなので値段が安いのが特徴。エージング後の音質はメーカー製高級スピーカーケーブルを凌駕する。今回のスピーカーケーブル制作費は\5,000ほど。VCTそのままだと見た目がかっこわるいので、高級ケーブル並みの仕上げにしてみた。パッと見は数万円の高級ケーブルのような仕上がりだ。このスピーカーケーブルは当初、簡単に製作できるものとタカを括っていた。しかし、バナナプラグ取り付けにおいて思わぬ難問が発生。それでもなんとか完成にこぎつけたのだった。それでは、富士電線VCT5.5使用スピーカーケーブル製作の一抹をご覧あれ!

オヤイデ電気で富士電線VCT5.5スケアを5m買込んできた。\450/m×5m=\2,250なり。
外装ジャケットの拡大。なんの変哲も無いグレーのジャケットだ。<PS>E表示が確認できる。
ケーブル外径はφ13.5mm。芯線は2本で、芯線の外径はφ5mm。導体は1芯あたりφ0.32の70本撚り。絶縁体は外装芯線ともにPVC。
今回の製作用に買込んだ素材たち。写真左はスミチューブFで、赤と黒を用意。スミチューブB2やSFチューブも購入。占めて\5,100なり。
SFチューブは5m用意。これを2.5mに切断し、同じく2.5mに切断したVCTケーブルに被せる。SFチューブは径が広がると全長が約2割短くなるので、VCTの両端合わせ50cmほどはSFチューブ未被覆になる。ケーブル両端から25cmのところまでSFチューブが被覆されるよう揃えてから、テフロンテープで固定する。SFチューブは制振効果とケーブルの保護、さらには見た目の高級感アップのために使用するのだ。
この端末をバナナプラグを取り付けるべく処理していく。まず、端末から20cmくらいのところにカッターをあてがい、外装ジャケットのみをカット。芯線の絶縁被服まで切断しないよう、慎重に作業を進める。うまく切るコツは、まずケーブル外周に深さ1mmほどの切れ込みを入れる。そして、切れ込みが広がるようにケーブルを手で湾曲させ、ぱっかり開いた切れ込みにカッターを軽く接触させ、切れ込みを広げていくのだ。
うまくやると左上の写真のように外装ジャケットのみ切断できる。芯線の絶縁材は全く切れていない。次に、両端の外装ジャケットを手で引っこ抜いてやる。VCTの芯線絶縁材表面には白い粉が塗布されているので、ジャケットの剥離は容易。意外と簡単にスッポリ抜き取る事ができるのだ。右上の写真は外装ジャケットを取り除いたところ。白と黒の芯線がむき出しになった。
左上の写真のように芯線にスミチューブFを被せ、ヒートガンで熱収縮させる。右上写真は収縮処理後の端末。この被服処理で芯線の外径は+1mmでφ6mmになった。わざわざ芯線を太くするためだけにスミチューブ処理を施したのだが、その理由はいずれわかる。
今回のスピーカーケーブルに装着するTMSのバナナプラグ6016G。計8ヶ。\750なので、8ケだと\6,000。小沼電気で販売している。これは友人が以前まとめ買いしていたのだが、ほとんど使わずに保存していたもの。今回のケーブルに装着すべく、私宛てに送ってきたのだった。このプラグへのケーブル固定は2本の留めネジ留めでおこなえるようになっているのだが、留めネジの長さが短いため、留めネジはプラグ内径の半分までしか届かない。このプラグの内径はφ8mm。よって、導体直径φ4mm以上のケーブルでないと留めネジで固定できないのだ。こういう場合、留めネジに頼らず、ハンダで接着してしまうほうがはるかに楽だ。しかし、友人の要望により、今回はネジ留めでいくことにした。
芯線の絶縁被服を先端から2cmほど剥ぎ、導体がばらけないようハンダを盛る。導体の径はφ4mmと太く、これなら大形のバナナプラグにもきちんとネジ留めできるはずだ。そう、そのはずだった。しかーし!いざバナナプラグに導体を差し込んでネジ留め固定しようとすると、あとわずかのところでネジが導体に接触しない。つまり、ケーブル導体の太さが足りなくて、留めネジで圧着できないのだ。5.5スケアもの太い導体だったらさすがにネジ留めできるだろうとタカを括っていたのだが、そうは問屋はおろさなかった。導体直径4mmでは足りなかった。5mmなら固定出来たはずだ。ここからが大変だったのだ。バナナプラグにどうやってケーブルをネジ留めするか?
そう、私は単純にケーブル端末を新たに剥き出し、剥き出した導体を途中で折り曲げる事によって、導体端末を見掛け上太くしようと考えついた。左上の写真は導体を剥き直した状態で、端末から5cmほどの被服を剥いである。これを右上の写真のように折り曲げて、ばらけないようハンダで固める。そしてプラグに挿入するのだが、さすがに今度は太すぎた!導体はがっちり固定できるのだが、ケーブル導体直径が5〜7mmになり、留めネジがプラグ表面から1〜2mmほど突出した状態で固定されてしまうのだ。こうなると、留めネジの突出が邪魔になり、バナナプラグのチャックカバーが嵌らなくなってしまう。それでも、なんとかねじ込んだのだが、今思えばもう少し良い方法があったのではないかと悔やまれる。この事を文章で伝えるのは何とも難しいのだが、要はそういうことなのだ。
バナナプラグ固定前には左上写真のように、バナナプラグのカバーとφ12mmのスミチューブをあらかじめ芯線に通しておく。スミチューブはバナナプラグに被さるようにして収縮させる。これにより、ケーブルとバナナプラグが一体化され、プラグの抜け防止になる。また、収縮チューブにより芯線外径は+1mmのφ7mmになる。この状態で今度は右上の写真のように、2本の芯線の根元にφ18mmのスミチューブを数センチ被覆し、分岐部分の強度を増してやる。
最後にスミチューブB2を被覆する。B2は1/3収縮タイプなので極端に外径が変化する部分の被服にもってこいなのだ。使ったのはφ36mmのものなので、最大収縮はφ12mmとなる。芯線には収縮チューブを2回被覆しているのでφ7mm。φ7mm2芯分の被服に要する外周は2×3.14×3.5×1/2×2+7×2=約36mmになる。つまりφ12mm(2×3.14×6=外周36mm)の真円と同等の外周になるので、B2φ36mmの1/3収縮によりきちんと固定できるのだ。複雑な話で申し訳ない。
全ての処理を終え、VCT5.5スケアスピーカーケーブルが見事完成!なかなか綺麗な仕上がりでしょ。太いケーブルなのでそれなりに重かったが、様々なパーツが加わったことでずっしりとした重みになった。重量は量り忘れた。作業は3日間で、作業時間は述べ9時間ほど。プラグの取付とそれにともなう導体端末処理のやり直しに相当の時間を費やされてしまった。実はバナナプラグのネジ締め固定の際に手が滑り、右手に握っていたドライバーが左手に突き刺さってしまった。当然、手は血まみれになったのだが、こういうトラブルは慣れっこなのでどうということはない。それより大変だったのは、ヒートガンが途中でオーバーヒートしてしまい動かなくなったこと。仕方なく、スミチューブの収縮作業はキッチンコンロの火で行なった。しかし、ヒートガンより作業性は悪い。ヒートガンは完全に壊れてしまったと諦めていたが、数日後にはウイッチオンしてみるとちゃんと動いてくれた。一安心だ。
左上の写真はバナナプラグTMS 6016Gのアップ。このプラグはチャック式になっている。ターミナルへの挿入後、プラグのカバーを回せば先端のピックが開くのだ。これにより、ターミナルとプラグの密着度が増し、導通が良くなるのだ。右上はケーブル端末のアップ。何重にもスミチューブを重ねた結果、チューブのだぶつきもなく綺麗に仕上がっている。さて、このスピーカーケーブル、友人から提供されたバナナプラグの値段も合わせると材料費は\11,000ほど。音出しは私のところではおこなっていない。私の現用スピーカーPA-2はケーブル直出しだから、他のケーブルを使う事ができないのだ。これを受け取った友人によると「オルトフォンSPK-3100から交換してみたら、音量が増したように聴こえたよ。」とのこと。細かい試聴まではできていないそうだが、詳しいレポートが届いたらまたご紹介しよう。ま、少なくとも見た目には満足していただけたはず。
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