オーディオみじんこ
わが愛しのオーディオコンポーネント
レコードプレーヤー:ケンウッドKP-1100スケルトン

2004.7.25 このページの下の方に画像とコメントを大幅追加!
発売:1985年 定価:\9.98万 購入年:2002年 購入額:\4万 購入先:ヤフーオークション
ケンウッドKP-1100は高剛性なX字フレームシャーシを持ち、カバーを外してもご覧の通りちゃんと使用できる。KP-1100のキャビネット外しはマニア間で「KP-1100スケルトン」と呼ばれている。KP-990、KP-9010、KP-7010などの兄弟機も同様のX字フレームなのでスケルトン化できる。インシュレーターはTAOC TITE-47R。そのままでは取り付けられないので、ねじ切り加工の上、ステンレスネジで固定している。スイッチ類はむき出しの状態。KP-1100の下にはオーディオムカイで通販購入した黒御影石(450×600×20)を敷いている。
2001年にKP-07Mを入手してから、私のレコード熱が始まった。次なるレコードプレーヤーを物色していたら、故長岡鉄男先生の記事に「ケンウッドのKP-1100はX字をしたフレームに全てのパーツが取り付けられているので、キャビネット無しで使える」とあった。有名サイト「オーディオ懐古録」を見るとKP-1100のX字フレームの美しい写真(商品パンフレットの写真抜粋)が掲載されていた。その甘美な姿を見た瞬間、KP-1100をキャビネット無しの状態で使用したい衝動に駆られた。もちろんKP-1100が優秀なレコードプレーヤーらしいと言うこともあるのだが。さらにネットで調べていくと、すでにKP-1100をスケルトン化して使っておられる方を発見!あ、この人はカメラマンでオーディオマニアの山本耕司さんではないか。(山本耕司さんはオーディオ雑誌にも良く記事を執筆されておられ、そのチャレンジ精神旺盛な記事内容がとても面白いのだ。)さすが、本業。とても綺麗な写真付きでKP-1100スケルトン化のいきさつを述べておられた。その他にも、KP-シリーズのスケルトンを何例か見つけた。マニアたるもの目の付けどころは一緒かー、と思った。んなわけで、スケルトン化を前提に、みじんこのKP-1100或いは探しが始まる。なお、後継機のKP-9010は相場が高い(\6〜7万)ので狙いから外した。
  ヤフオクでの長きに渉る戦いの末、ようやく4万でKP-1100を入手!外見は予想より痛んでいたが、キャビネットは破壊してしまうので傷や汚れは関係ないのだ。まずは、動作確認をおこなう。明らかにKP-07Mよりいい音だ。当たり前か。KP-07Mはみじんこ初のレコードプレーヤーで、そのスタイルの良さに惚れてヤフオク購入したのだ。今回はKP-1100のおかげで確実にグレードアップできそうだ。

 さて、慎重を要したスケルトン化だが、幾多の苦難の末になんとか成功!詳しくは以下の写真をご覧頂きたい。スケルトン化による音質変化はあまり感じられない。むしろ、ハウリングにやや弱くなったかもしれない。キャビネットがない分、振動がシャーシに直接伝わるのだろうか。みじんこのオーディオルームは床が柔いので、振動が伝わりやすいのだ。TITE-47R装着によるハウリングの変化はなかった。ただ、TITE-47Rには音の冴えをよくする効果はあった。標準の金属スプリング付きインシュレーターの方がハウリングに効果的だったようだ。ジプロックに入れたジルコンサンドをインシュレーターの底に敷いてやるとハウリングマージンがかなりとれるようになった。しかし、見た目が悪いので今は使っていない。また、KP-1100兄弟のターンテーブルやモーター収納パネルは鳴きやすいので、ダンプしたほうがよさそうだ。

ともあれ、KP-1100スケルトンから奏でられる音に大満足。ジョージウインストンのピアノソロの軽やかな演奏は、広大な草原を駆け抜ける風を思わせて清々しい。「切れのKP-1100」「厚みのGT-2000L改」といった感じ。どちらも素敵だが、見た目が音にも表れている。なお、KP-1100の方がトーンアームの微調整がしやすい。愛すべきKP-1100よ、これからも元気で回り続けてくれい!

KP-1100のスケルトン化作業過程
底板の薄板を外し、キャビネット下から覗く。キャビネットはパーチクル合板製だ。X型フレームの構造が良く分かる。基盤がむき出しになるので、以後の作業は慎重におこなう。 トーンアームを外さないとキャビネットの完全分離は無理。しかし、トーンアームを外すのはリスクを伴う。よって、キャビネットを切断して、ようやくX字フレームとの分離に成功。この頃使っていたデジカメはあまり性能が良くなかったので、写真がぼけているなぁ。
左上はキャビネットを外し終わったところ。それにしても奇妙かつ優美な形状だ。KP-1100のスケルトン化って音質に関係あるかは疑問。見た目がメカっぽくてかっこいいのがスケルトン仕様最大の恩恵。 右上はKP-1100のトランスの配線部分。電源ケーブルからトランスまで2芯、トランスからメイン基盤まで3芯で配線去れている。これらの結束を綺麗に切り離して、トランスをキャビネットから取り外す。
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トランスがぴったり納まるステンレスケースを探してきた。ケースが青く見えるのは保護シールを貼ったままのため。ステンレスケースの購入は秋葉原のエスエス無線で、ケースはタカチ電気工業製のMBS-90。サイズは90×60×125。 MBSシリーズは電磁波低減に効果的らしい。手前にあるのはタカチ製のメタルシールドケーブルグランドEKG-11というステンレス製コネクター。電源ケーブルを通す穴に装着するのだ。 ステンレスケースの加工にはかなり手こずった。ステンレスはかなり硬度が高いので、ステンレス専用ドリル刃やビットを使わないといけない。右上は本体の基盤への接続状況。元々は電源ケーブルがハンダ付けしていたのだが、綺麗に取り外した。そして、秋葉原ラジオストアーで適当なコネクターを探してきて、それをハンダで固定。脱着式にした。さらに接合部周辺を収縮チューブで絶縁被覆を強化している。このプレーヤーはスケルトン化の結果、このように基盤がむき出しになっているため、配線を傷めないよう細心の注意が必要だ。
完成した電源トランスケース。ケースに穴を開ける際、手が滑ってリュータービットで表面に傷を付けてしまったが、それ以外はおおむね美しい仕上がりとなった。左のコネクターから延びるケーブル末端には明工社ME2573を使用。トランスの出力側はコネクター式にし、ケーブルを脱着できるようにした。
KP-1100スケルトンにともない、トーンアームケーブル(フォノケーブル)を脱着できるように改造。左上はノーマルの状態。写真では分かりにくいが、ケーブルは同軸構造だ。レコードプレーヤーから出力される信号は非常に微弱で、外来ノイズに極めて弱い。よって、安価でノイズに強い同軸構造をとっているのだろう。トーンアームから延びるアーム内配線は当然ながら極細だ。アーム内配線は細くないとトーンアームの動作に支障をきたすのである。アーム内配線の交換にはトーンアームの分解が必要。危険が大きいので、今回はやめておこう。右上はノーマルのケーブルを外し、オヤイデ製アニール処理済み4N純銀単線φ0.8に交換した状態。絶縁はテフロンチューブを使用。純銀単線は下の写真にあるようにシャーシを貫通してWBTのコネクターにつながっている。端子板からWBTコネクターまでは、ほんの15センチ。端子板中央から延びるのはアース線で、銅編みシールドチューブに交換した。音元出版「アナログレコード再生の本2」の記事で、銅編みシールドチューブがアース用ケーブルに向いていると書いてあったのだ。その後、このアース線もテフロン被服の銀単線に変更している。
トーンアームケーブルを脱着式にするには、RCAコネクターをプレーヤー本体へ固定しなければならない。検討を重ねた末、トーンアームの裏側のシャーシにコネクターを取り付けることとした。ケーブルを通すためシャーシに穴を開けた。RCAコネクターはWRT-0234 RCAコアキシャルソケットを用いることにした。こんな特殊な横向きコネクターを在庫している店はどこにもない。結局、木村無線で取り寄せてもらったのだ。写真ではホット側に銀単線をハンダ付けしたところ。
ケースを取り付け無事完成!ケースはコクタンの板を箱型に組んだもの。工作難易度は高かったが、苦労した甲斐あって、きれいに仕上がった。コクタンケースは簡単に取り外せる。コネクターを固定するベースもコクタン。本体とコクタンベースはブチルゴムを介しネジ止めしてある。
左は純正のインシュレーター。φ8ほど。銀色の部分はプラスティック。中にゴムが仕込んであるので、ソフト系のインシュレーターである。レコードプレーヤーのハウリング防止には役立つ。インシュレーターを回すと高さの微調整ができるようになっている。この純正インシュレーターはよくも悪くも付属品だし、見た目も安っぽい。スケルトンにするとインシュレーターもむき出しになるので、それなりの見栄えにしたい。もちろん、音質向上を兼ねつつである。そこで、私はTAOCの右上のTITE-47Rを使用する事にした。ただし、これはそのままでは取り付かないのだ。KP-1100のフレームへのインシュレーター取り付けネジはφ6ミリネジであるのに対し、TITE-47Rの中心に貫通する穴はφ5なのだ。だから、TITE-47Rの穴をφ7に拡張してやった。拡張にはボール盤を使用。これでTITE-47Rにφ6ミリネジを通て、KP-1100に固定させることができる。
TITE-47Rを取り付けた状態。なかなかぴったりハマっている。脚の剛性が増したため、付属品のインシュレーターに比べて細かい音までよく拾うようになった。ただ、ハウリング低減には効果がない。ハウリング対策には薄いクロロプレンゴムシートやJ1のシートをTITE-47Rの下に敷いてやると効果があった。右上は、試行錯誤の末ようやく完成したKP-1100スケルトン。うーん、メカメカしくって美しいなぁ。改造前と改造後の音質は極端な変化はないが、インシュレーターや配線の変更等によってやや情報量が増加したと思う。ま、私はたいしたレコードを持っていないので、手持ちの限られたアコーステック系ソースでの試聴なのだが。
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