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レコードプレーヤー:ヤマハ GT-2000L改
YAMAHA GT-2000L改 トーンアームYA-39
YAMAHA GT-2000L改 全体像
YAMAHA GT-2000L改 内部構造
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わが愛しのオーディオコンポーネント
YAMAHA GT-2000L
トーンアームYA-39内部配線交換
2006.03.18公開!
長年の懸案をついに実施した。GT-2000LトーンアームYA-39の内部配線交換だ。改造実施年月は2004年4月。改造からは2年も経っているのだが、今頃になっての公開である。このアーム内部配線の交換をもって、みじんこGT-2000L改最終バージョンとした。

トーンアーム内部配線交換は下手をするとアームお釈迦にする危険性大であり、相当の覚悟を持っておこなわなければならない改造だ。難易度が高い作業なのでお勧めはできない。実は、この改造、初回の改造によってアーム先端に不具合が生じた。ハンダの熱を掛けすぎて、アーム接点ピンのバネ機構がおかしくなってしまったのだ。その後、アーム先端パーツを探し、やり直している。2度目の改造はうまく行き、現在はすこぶる快調である。

改造のやり直しはあったものの、内部配線の交換は相当効果がある。GT-2000Lオリジナルでも優秀なプレーヤーだったが、YA-39の内配線交換で2レベルはアップした感じだ。

改造に際し、GT-2000Lを改めて観察してみた。キャビネットは重厚な積層合板で構成され、極めて強固。同機の総重量は28kg。キャビネット部分で20kg弱を有している。積層合板による重厚なキャビネットはヤマハのお家芸。さすがは、家具なども生産するメーカーだと感心する。ただ、アームのベース部分の構成パーツはプラスチック製。ベース部分も、アームパイプと同様、銀色に塗られているため、外見では分りにくい。アームを外してみるとプラスチックだと分る。プラスチックが悪いと断定するのも焦燥だが、ここをもう少し剛性のあるもの、例えばアルミや真鍮で構成すれば、GT-2000の音質はさらに向上するのではないかと思われた。実際、GT-2000のカスタムパーツ製造で有名なY31projectでは、以前、GT-2000トーンアームの砲金製ベースを受注製造していたことがある。

それはさておき、このページでは、私が執り行ったトーンアーム内部配線の交換をご紹介する。

GT-2000LのトーンアームYA-39。キャビネットとは太いネジ2本で取り付けられている。六角レンチがあれば簡単に外せる。ネジを抜いた後、キャビネット内部の回路基板から延びているコネクター式の配線があるので、これを慎重に取り外す。この配線はGT-2000Lのオートアームリフターへの電源供給配線と思われるが、詳細不明。

右はアームの先端パーツを外しかけたところ。内部配線が垣間見える。赤/緑/白/青の4本が確認出来る。赤=Rch+/緑=Rch-/白=Lch+/青Lch-である。

アーム直出しフォノケーブルが接続されている台座部分。アームから延びる内部配線が、フォノケーブルに接続されている。なお、フォノケーブルはこの改造のさらに前に、私がS/ALABのHLPに交換している。よって、この写真はオリジナル状態ではない。

右はアームから延びるアース配線。黒くて細い線がそれ。このひょろひょろとした線はアームなどの金属部分のアースを落とすための配線である。この線はケーブル取り付け台座に組み込まれている金属パーツにハンダ付けされている。この金属パーツからは、さらに太いアース線が延びている。

アームから出ている極細アース線が切れてしまうと、レコードの再生音はノイズだらけになってしまう。実際、今回の改造後、レコードを再生してみると、ノイズだらけに。原因を調べてみると、アース線が断線していたのだ。アームパイプなどの金属パーツから発生する静電誘導ノイズが逃げ場所を失って信号伝送線に飛び移ってきたのだ。アース線をきちんとハンダ付けし直すと、ばっちり。ノイズが消えた。金属の電位を一定に保つ事の効能、その影響力の凄さを思い知った次第である。ミリボルト単位の微弱な電圧を扱うレコードプレーヤーの場合、金属パーツのアース線は極めて重要である。MMよりMCの方がさらに過敏だというのも、自分でやってみて実感した。MMとMCでは出力電圧が一桁違うので、当たり前と言えば当たり前だが。

アーム先端パーツ。右はさらに分解した図。ワッシャーが2枚介されている。この写真では分り図らいかもしれないが、ワッシャーに制振シートfoQを貼付けてみた。左のワッシャーに奇麗に貼付けているがお分りいただけるだろうか。ベージュ色のがそれである。フォックは少量で絶大な効果を発揮する制振シートである。
これがGT-2000Lのオリジナル内部配線。ウレタン状のコアに4本の内部配線が編み組状に巻き付けられている。そうそう、この内部配線、実は途中で極細線が継ぎ足されているのだ。その部分の拡大写真が右上。よーく見てみると分るが、アーム先端から延びた線の先に、極細線が6cmほど継ぎ足されている。なぜこんなことをしているのか。そう、これはアーム外へ露出する箇所の配線を細くする事で、アームの動きを妨げないようにするための対策だ。アームから外部に露出する配線が太すぎると、それがアームのフレキシビリティを妨げることになり、アームのトレース能力に支障がでるのだろう。
さて、これが内部配線に用いる配線材。φ0.3mmオーグライン単線である。オーグラインとは、武藤製作所が製造するオーディオ用高音質配線材。純銀に少量の純金を配合し、テフロン被服済みなので、扱いがとても楽。800円/mと良心的な価格。どれほどの細さかは、マッチ棒の頭との比較写真でお分りいただけると思う。この細さなら、アーム内部配線に使えるのではないかと考えた。オーグライン単線は武藤製作所のホームページでも通販できるようだが、秋葉原では、海神無線で入手できる。テレオンサウンド110の3階でも、かつては扱っていたが、現在も継続販売しているかは不明。
トーンアーム内部配線に、極細とは言え、単線を用いるのは前代未聞である。ただ、だからこそチャレンジしてみようではないか。今回の内部配線には多種類の候補があったのだが、定評のあるオーグライン単線が最も確実な音質向上効果があると考えた。結論からいうと、アーム配線にオーグライン単線を使っても、アームのフレキシビリティに影響はなかった。
オーグ単線の両端のテフロン被服を剥き、端子を取り付ける。端子にはリード線用の端子を流用。オヤイデ電気で売られている。端子を介さなくても構わないのだが、確実な接続を望むなら端子を介した方が無難かな。次いでオーグラインをバネ状に曲げる。鉛筆などの棒に巻き付けていけば簡単だ。

右は絹の綿。真綿と呼ばれるものだ。何匹の蚕さんが犠牲になったのだろうか。正確に言うと、これは帽子真綿と呼ばれるものだ。手でほぐしていけばふわふわとした綿状になる。オーディオ界では、アコリバのピュアシルクアブソーバーPSA-100が有名だが、それと同じものだ。重量単価的にはアコリバの1/5ほどだったと記憶している。銀座の手芸店で購入。なお、今月、コイズミ無線でも真綿を扱い始めた。ベージュ色でシート状の真綿である。袋真綿という名称で売られている。コイズミ無線で扱う真綿はスピーカーエンクロージュアの吸音材用途だが、その他にも様々な利用価値がある。シート状になっているが、ほぐせばPSA-100のように綿状になる。

真綿をコアにして、オーグラインを巻き付ける。シルクには、強力な吸音効果とともに、電磁波の吸収効果がある。私が思うに、シルクには単なる吸音とか電磁波吸収では片付けられない、理論的に未解明な音質向上効果があるのではないかとも感じている。とにもかくにも、シルクはオーディオにとって、非常に良い素材なのである。オーディオシステムの要所に天然素材を用いると、音質向上に極めて有効である事は、一部のマニアで知られている事実である。人工的な響きやもやつきが減少し、音楽に生々しさが加味されるのだ。今回は、それをアーム内部に応用してみようと言うわけ。

右上はアームパイプに内部配線を挿入しているところ。YA-39トーンアーム本体からアームパイプを取り外して作業している。

あらかじめ、アームパイプをアーム本体から外しておくと、作業がやりやすい。アームパイプはマイナスネジ2本で固定されているので、小型のマイナスドライバーがあれば分解出来る。なお、写真には写していないが、アーム先端パーツの接点ピンとオーグライン単線も、ハンダ付けにて接続。
トーンアームから延びるオーグラインをHLPの導体にハンダ付けする。ハンダ付け後、接合部を収縮チューブにて絶縁被服する。収縮チューブはφ1.5。ハンダ付けしてからでは、収縮チューブを被服できない。よって、オーグとRCAケーブルのハンダ付け前に、あらかじめオーグ線に通しておく必要がある。

右は配線処理後にカバーを装着した状態。これにて内部配線の交換作業は終了!

実は、この配線行程において、少々トラブった。当初は、オーグ先端に端子を仲介した状態で、RCAケーブルにハンダ付けした。しかしながら、この端子を仲介させると、接合部がコブ状になり、カバーがうまく収まらないことが発覚。よって、端子を取り外して、オーグ単線とRCAケーブルの導体を直接ハンダ付けしなおした。

なお、これら一連の作業において、オーグラインの端末が度々折れた。被服除去のためにカッターで切れ目を入れるのだが、その際、オーグ導体に傷が付き、それが原因で折れてしまうのだ。私の技術の未熟なのだが、極細線のテフロン被服除去は難しい。なんせ、φ0.3mmの極細単線である。ちょっと力を入れすぎただけでポロリと折れる。それと、テフロン被服は頑丈なので、PVC被服を除去するようにはいかないのだ。このくらいの極細線だと、適合するワイヤーストリッパーも見当たらない。最終的には、カッターで端末被服を軽くなぞる程度にして、さらにライターの火で軽くあぶる。熱で被服を柔らかくしてから、丁寧かつ素早く被服を手で引っこ抜く。こんな手法を編み出した。細い配線材の被服除去は慎重にね。

ここからは、完成後のGT-2000L改をご覧いただこう。まずは、トーンアーム背面。直出しフォノケーブルは前述の通り、S/AラボのHLPに交換している。
内部配線の露出箇所。φ0.3オーグライン単線の外径はφ0.7。これが4本も延びているので、アームの動きに悪影響がでるのではないかと懸念された。万が一、影響が出れば、配線材を練り直す必要が生じる。

ただし、この改造例を真似て失敗しても、私は保証できない。下手をするとアーム自体を壊しかねないので、あまりお勧めは出来ないのだ。現行品のアームなら、壊してもメーカー修理してくれるかもしれない。しかし、単体トーンアームやレコードプレーヤーの多くは、絶版品である。壊してしまったら、代替パーツの入手は極めて困難。実際、この改造例でも、ハンダの熱でアーム接点に不具合が生じ、その代替パーツの入手には相当な時間と労力を費やした。

どうしてもやりたい場合、撚り線のほうが無難だ。作業性を鑑みてのことである。アーム内部配線向きの極細撚線はオヤイデ電気で揃う。モガミ27062706 UL 758 STYLE 1571 AWG362重絹巻純銀線 7/0.1潤工社純銀ポーラス線 14/0.05潤工社純銀ポーラス線 27/0.1がある。

おそるおそるレコード再生してみると、ちゃんとレコード盤の最後まで問題なく再生出来た。アームのトレースに影響はないようである。トーンアーム内部配線の交換によって、GT-2000L改のレコード再生は一挙にレベルアップした。私のもう一台の愛機KP-1100に比して、GT-2000Lはピラミッドバランスであり、低域は厚く、聴きやすさや安定感では勝っている。しかしながら、切れがいまいちで、音の角が甘口だった。フォノケーブルのHLP化によってある程度の改善が得られたが、内部配線のオーグライン化によって、音の粒立ちが増し、シャープで切れが良くなった。KP-1100の苦労の甲斐があったというものだ。

なお、私はレコード盤に関して、マニア受けする高音質盤を有しているわけではない。チックコリアなどのアコースティック系ジャズ、フュージョン、エレクトロニカに偏ったリスニングなのだ。趣味だから、自分が好きな音楽に傾倒するのは当たり前である。こういうサイトをやっている以上は、もう少しソフト面を充実させたいと、常々思っているのだが。

GT-2000Lトーンアームに元々付いていた直付けフォノケーブルは、片チャンネルあたりφ5。フォノケーブルの取り付け台座に対し、大幅な加工を施さずにケーブル交換するには、同じ口径のものがベスト。もちろん、オリジナルのRCAケーブルをわざわざ交換する目的は、音質向上を目的としてである。φ5程度で高音質の切り売りラインケーブルとなると、以外と種類が少ない。ラインケーブルの多くはφ8であることが多いからだ。φ5クラスの切り売りラインケーブルというと、S/AラボHLP、カルダスのワインレッド(名称忘れ)の線が候補に挙がった。口径からすると、ベルデン1506Aも該当するのだが、もう少し上を狙いたいので、候補から外した。HLPをRCAケーブルに仕立てたところ、なかなか秀作だったので、フォノケーブルにもHLPを使用することにした。
GT-2000L改の背面。直出しフォノケーブルと直出し電源ケーブル。両方ともにオリジナルから変更している。電源ケーブルに関しては、オリジナルのケーブルを基盤から取り外し、S/AラボのHHSにそっくり交換している。
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