オーディオみじんこ
わが愛しのオーディオコンポーネント
プリメインアンプ:ラックスマンL-570

発売:1989年 定価:\35万 購入年:2002年 購入額:\8.5万 購入先:オーディオユニオン新宿店
外形寸法:W438×H176×D467 重量:29.1kg 出力:50W+50W(8ΩA級動作) 消費電力:270W
S/N比:LINE108dB MM86dB MC74dB 周波数特性: LINE 10Hz〜100kHz MM/MC 20Hz〜20kHz
  

ラックスマンL-570は言わずと知れたバブル末期の名機。ラックスの威信をかけて開発された世界初の純A級プリメインアンプ。その高性能と独特のデザインが人気を博した。L-570用に専用開発された巨大な32接点ロータリーアッテネーターを搭載する。金メッキされたガラス基盤に抵抗を手作業で取り付けたもの。通常のボリュームの100倍コストが掛けられている。このアッテネーターノブを回すとカチンカチンと心地よい操作感が得られる。このアッテネーターについて「音の次元が違う。解像度がまるで違う」と当事の雑誌では批評されている。さらには非常に凝った無共振ボトムシャーシを搭載し、振動対策も万全。パワーアンプ部のクオリティも抜群。L-570の音の厚みと切れの良さは現代のさらさらした音質の最新国産アンプでは得られない。なお、L-570は1991年に後継機L570X'sへバージョンアップ。配線を改良した上級機L-570Z'sも存在した。中古オーディオ店ではたまに見かける。入手はタイミング次第。

さて、みじんこはL-570の独特のボタン配置に惚れて欲しくなった。ヤフオクに出品される度に入札していたのだが、根強い需要があるらしくなかなか落札できなかった。そんなこんなしているうち、ついにオーディオショップでL-570を発見!8万円弱と激安だ。2日ほど悩んだ末に購入。購入したL-570は「傷あり」とのこと。よーく見れば木製ラックの塗装にうっすらとひび割れがあるが、少し離れれば全く分からない。美品と言えるだろう。なお、L-570の中古価格はヤフオク、中古ショップともに8〜12万円。後継のL-570X'sは\11〜15万、上位機のL-570Z'sは\16万前後が相場。

さて、念願のL-570を使いはじめたはいいものの、購入当初はかなり発熱した。(異常発熱は修理後に治まった)音はとてもSNが良く艶があり透明な音調。刺激的なピークがないのはAX-900と対照的。レファレンス的な鳴り方だ。ただ、年式が古いためか細部の再現性に甘い感じが感じられる。音質にはかなり高い評価を与えたいところだが、こんなに熱くなるとはびっくらたまげた。A級アンプとはこんなに発熱するのか?L-570の開発陣が試作品の発する灼熱部屋で開発したという逸話が理解できる。というわけでL-570の設置にはラックとの隙間は5センチ以上は必要だろう。できれば15センチとれれば理想。

駆動1週間目でついに恐れていたことが現実になった。スイッチオンでパイロットランプは点灯するものの音が出ないのだ。異蒸発熱に不安を感じていたのだ。やがて、スイッチまで入らなくなった。しかし、しかしである!まだ、使って数日、オーディオユニオンの中古保証期限内だ!早速、L-570をショップに持っていき保証修理してもらった。どうやらスチコン不良が原因だったようだ。問題箇所の修理に加え、劣化コンデンサーも交換してくれたので得した気分だ。交換箇所はLchパワートランジスター、ドライバー用トランジスター、スチコン、ヒューズ。さらには、経年劣化によるハンダクラックなどの劣化部を全面修復。接点クリーニング及び全体的な再調整までおこなってくれたようだ。修理代金は\26,800だったが、全額オーディオユニオンが負担してくれた。壊れたおかげでメーカー修理で内部が一新された。10年選手だが、これであと10年近くは問題なく動くだろう。

修理から戻ってきてまず驚いたのは、購入当初の異常発熱が治まっていることだった。普通のアンプよりやや熱めかな、という程度。さらには購入当初より音質がずいぶんと良くなった。再現性の甘さも見事に払拭されている。ボーカルものは伸びやかに歌い上げ、シンバルは部屋全体を包み込むよう広がる。やっとL-570本来の性能を発揮してくれたようだ。さすがラックスの名作アンプといったところ。ここで、故長岡先生のダイナミックテストにおけるL-570批評をご紹介しておこう。「うまく鳴らした時の音は繊細で美しく透明でシャープ、弦やボーカルがリアルにポンと浮き出して雰囲気も抜群、気配を良く再生する。50Wとは思えぬ力強さもある。いわゆるA級というと、どこかウォームでおっとりした感じの音をイメージするが、570はそういう意味ではA級らしくない。むしろ上質のMOS-FETアンプのようなクリアで繊細でパワフルな通人向きの音、540はいわゆるA級らしさがあり、バランスがよく、ソースを選ばぬ万人向きの音となっている。」みじんこも長岡先生の批評に全面賛同する。

その後も、L-570は快調に動作。なお、発熱による部品劣化を防ぐため分厚い木製のボンネットを取り外して使用。こうすると、側面天板がオープンになるので、ほとんど熱がこもらない。少々ラックとの隙間が狭くても問題ない。

2003年7月上旬にB-2103と主役交代。現在は予備役になっている。

追記:ヤフオクにて売却。今は新しい所有者の元で、元気に動いていることだろう。

L-570を斜上から望む。木製カバーが上品。この木製カバーはコの字型をしており、側面までカバーしている。カバー内面には電磁波対策のために銅板が貼られている。重量は30kg近くあるので設置には一苦労。 L-570は月刊ステレオ「工作人間大集合」の訪問取材時にもPA-2を朗々と奏でてくれた。ラックとの隙間は5センチ。木製カバーを外しているので放熱は良好。L-570は写真写りで銀色に見えることもあるが、実際はシャンパンゴールド。
L-570背面ライン端子群。削り出しではないがしっかりした端子が付いている。入力も過不足ない数だ。フォノはMMとMCが各1系統ある。これは非常にありがたい。入力切り替えは前面ボタンでおこなえる。内臓イコライザーはMCとMMが独立した高品位なもの。切れよく倍音成分豊かなレコード再生が特徴。バランス入力も1系統ある。 L-570スピーカーターミナル。L-540は2系統あるが、L-570は1系統に注力している。大きなターミナルで、スピーカーケーブルを強力に固定できる。残念ながらYラグとバナナには対応していない。また、ACアウトレットが3系統あり、2系統はスイッチ連動。ACコードは直出し。ACアウトレット上部にあるランプで極性確認できる。
L-570内部構造。骨格構造は全て銅材。黒い防磁カバーに被われた巨大なトランスが鎮座する。串状の物体はラックスA級アンプ特有の冷却用ヒートパイプ。液体の熱交換材が流動して効率的な排熱をおこなう。 電源ケーブルが繋がる基盤。ヒューズはスローブローの10Aと思われる。高品質のヒューズに交換すると音質改善が期待出来そう。やる気があれば電源ケーブルの交換も有効だろう。
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