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D棟
オーディオみじんこ
オーディオイベントレポート
「2004東京インターナショナルオーディオショウ」
東京国際フォーラムD棟
(アイシン高丘/アクシス/スキャンテック販売/ユキム)

2005.11.30公開

開催日:2005年10月7日8日9日 開催場所:東京国際フォーラム

ここでは2005東京インターナショナルオーディオショウのD棟の各商社のブースを紹介する。D棟には6社がブースを構えていたのだが、ここでは4社を紹介する。
D401はアイシン高丘の展示。同社のオーディオブランドであるTAOCの展示をおこなっていた。左上は試聴システム。今秋の新製品FC4000が据え置かれていた。価格は252,000円/台。
右上はFC4000のクロスオーバーネットワーク。コンデンサーが4つとコイルが3つ、抵抗が2つ確認出来る。クロスオーバー1,200Hz、12dB/octのネットワーク構成らしい。
アイシン高丘は主に自動車の鋳造部品を製造している。その鋳鉄技術をオーディオ分野に応用したのがTAOCブランドの始まり。オーディオラックインシュレータースピーカースタンドでロングセラーを続けている。1990年代の後半、突如としてスピーカー分野に進出。大型フロア型スピーカーFC7000を皮切りに、ラインナップを拡充しつつある。
同社のスピーカーシステムは、ハイレゾリューションシリーズと名打たれている。各機ともスキャンピーク社のウーハーユニット、ディナウディオ社製ツイーターユニットを使用。ハイカーボン鋳鉄が随所に加えられていることも特徴。
FCシリーズに用いられているオリジナルダクト。波状に成形する事により、ダクト内での不要振動を排除する働きがあるらしい。
右上はTAOCのインシュレーター。タオックといえば、従来よりインシュレーターやオーディオラックで定評があった。オーディオマニアなら一度は同社製品にお世話になったことがあるのではないか。私も同社のハイカーボンインシュレーターTITEシリーズを複数所有している。値段も手頃で効果もはっきりしており、外見もオーソドックスなところが気に入っている。
TITE-26R/TITE-27R/TITE-47Rはハイカーボン鋳鉄を使用、TITE-25PIN/TITE-46PINはグラデーション鋳鉄を使用。今年発売されたタオックの最高峰員シュレーターTITE-35Sは、スパイク部にハイカーボン鋳鉄、スパイク受け部にアドバンスドハイカーボン鋳鉄と呼ばれる非常に硬度の高い素材を使用。4 対で24,000円。現在のインシュレーター市場からすると中堅どころの価格だ。TAOCがスーパーインシュレーターと謳うほどの出来映えらしいので、機会があれば一度試してみたいと思っている。
D502号室はスキャンテック販売の展示室。取り扱いブランドは10ブランド以上あるが、マイナーなブランドが多い。比較的知名度のあるブランドとしては日本のLYRAがある。
左上はLYRAのAMPHIONシリーズ。横幅360mm、高さ100mm以下の薄型コンパクトデザイン。洗練されたデザインに好感が持てる。最上段のCDプレーヤーAmphionCDは参考出品。トップローディング方式だ。2段目はライン入力専用プリアンプ
AmphionLineで、入力はRCA入力6系統。3段目はステレオパワーアンプAmphionBasicPower。4段目はプリメインアンプAmphionBasicIntegratedで、入力はRCA入力6系統。最下段はステレオパワーアンプAmphionPower。写真には映っていないが、フォノイコライザーAmphionPhonoもある。
SONICS社のスピーカー。Allegraと呼ばれるフロア型スピーカーと、ブックシェルフスピーカーAnima。
EMMLABのSACDトランスポートとDSDプロセッサーが置いてあった。ソースの再生用に用いられていたが、EMMLABSはスキャンテックの扱いブランドではなく、今井商事がデベロッパーになっている。
右上は、LYRA CONNOISSEURのプリアンプ5-0L。2004年発売のライン入力専用アンプ。入力はXLRが2系統、RCAが3系統。電源は別筐体となっている。
コニサーは元々米国のオーディオメーカーだった。コニサー2.0と呼ばれるフォノイコライザーは、配線の最短化を狙って職人技の空中配線を採用。非常に高音質なフォノイコだというので話題になった。90年代前半にライラに買収されたものの、コニサーブランドは存続。プリアンプ3.0やフォノイコ4.0を製品化。一昨年、ついにライラコニサーとブランド名を変更。新名称に衣替えしてから初めての製品が、このプリアンプ5-0Lとなる。コニサー独特のウッドケースには目を見張る。下段にはフォノイコライザーのコニサー4.0。これを超えるフォノイコはないと言われる。マニア垂涎の高音質フォノイコだ。ただ、100万円超の製品であるため、おいそれと手を出せるものではない。
D503号室はユキムのブース。オーディオシステムをこれほど美しくレイアウトできるのは、ユキムだからこそなせる技。ユキムは見た目で取扱商品を選んでいるのではないかと思われるほど、デザイン性に優れたブランドを輸入している。例えば、ELACのメタリックコーンスピーカー、ORACLEのターンテーブルやCDP、アンプ、BirdlandAudioのDAC・・・などなど。ブランドは違えど、何か共通したデザインセンスを有している。
ELACの新型スピーカーFS602X-JET。定価はペア798,000円。奥のフロア型スピーカーはFS607X-JET。定価はペア1,155,000円。エラックの新シリーズ600LINEのブックシェルフ型スピーカーだ。600LINEにはNEWX-JETCOAXと呼ばれる新型同軸ユニットが搭載されている。リボン型ツイーターのように見えるのがそれで、一見ただのリボンツイーターのように見受けられるが、ツイーターの周囲にリング状アルミハニカム振動板を配し、これをミッドレンジとしている。マグネットは今流行のネオジウムを採用。よって、このスピーカーは2wayではなく、3wayスピーカーである。エンクロージュア形式はバスレフ。アルミ押し出し材とMDFによるハイブリッドで、このエンクロージュア成形技術はクロスフレームハイブリッドテクノロジーという長たらしい名称。180mm径ウーハーコーンはアルミとパルプのハイブリッド。
システム自体のトータルでの音質なのかもしれないが、このスピーカーはかなり良い音だった。昨年のユキムの音とはツーランク向上。たぶん、このELACの新型スピーカーのおかげだろう。
FS602X-JETのスピーカー配線にはQRDのGENESISが使われていた。ユキムらしいセレクトだな。
600LINEシリーズの単体スーパーツイーター4PI PLUS.2。ペア3,150,000円。スーパーツイーターとしては高額な製品である。独特のキノコ型形状をしている。お察しの通り、これは360度無指向性ツイーター。0.006mmの極薄リボン振動板とネオジウムマグネットで構成されている。再生周波数帯域の上限は53kHz。そこまで延ばす必要があるのかどうなのかは知らんが、そういうスペックらしい。背面にはクロスオーバー切り替えスイッチが搭載されており、10/12/15kHzの3段階切り替えが出来る。+4dB/+2dB/0/-2dB/-4dBのゲイン調整スイッチも搭載。
ORACLEのターンテーブルDELPHI MKV25thAnniversary。アクリルベースにアルミ筐体を組み合わせたとても美しいプレーヤーだ。価格は1,102,500円。この展示会では、呆れるほど高額のオーディオ機器をたくさん見てきたから、100万円ほどの価格と知ってもさほど驚くことはない。もちろん、こんな高額製品、私とは無縁の存在である。
右上はBirdlandAudioのパワーアンプPLEYEL-AG。バードランドの製品は、製品ラインナップこそ尾決して多くはないが、どれも個性的で魅力的だ。まず、超小型である事。PLEYEL-AGを例にとってみると、寸法はH40 W225 D180。重量はたったの2kg。出力は15W+15W。ブリッジ接続にも対応し、65Wのモノラルアンプとしても動作できる。価格は336,000円。写真には映っていないが、バードランドオーディオの主力製品としてODEON-AGがある。同社のデビュー作ODEON-LITEに続く同社2作目のDACだ。ODEON-AGはDACにも関わらず、ボリューム/セレクター機能が付いている。ODEON-AGは現在でも同社の売れ筋商品で、日本国内でも相当数流通していると推測される。価格は定価273,000円。小さなボディにプリとDACの両機能が凝縮され、しかも高音質で評判上々、デザインも格好良く、価格も高過ぎず安過ぎない、マニア心をくすぐる要素満載のDACだ。
hallD5はアクシスの展示室。部屋というよりここはホールだ。24の参加企業の中で、もっとも大きな展示試聴ブースを割り当てられている。アクシスが扱うブランドは有名どころばかり。どれも世界に名だたるハイエンドブランドばかりだ。
右上はlumenwhitewhiteflame。ルーメンホワイトのデビュー作whitelightの小型版だ。価格は1,950,000円/本。一般的なリスニング空間では、ホワイトライトよりこのホワイトフレームで十分らしい。ルーメンホワイトの中では最も安価な製品ではあるが、高額なスピーカーであることに違いはない。ルーメンホワイトは今秋、DiamondLightというトップエンドモデルを発売予定。価格はなんと12,500,000円/ペア。私の年収何年分だろう。
Wadiaの新製品がずらりと並んでいた。従来のワディア製品とは四隅の形状がずいぶんと変わった。
左上はモノラルDACWadia921。フロントパネルには通電確認用のLEDのみ。1,500,000円/台。モノラルDAコンバーターなので、ステレオで使うなら2台必要。
右上はWaida931という型番の新製品。デジタルレシーバーという名称が与えられている。Wadia921と組み合わせることを前提として造られており、どうやらプリアンプ的な機能を有する機器らしい。価格は1,600,000円。
ワディアはDSPによるD/A変換技術を引っさげてデビュー。CDプレーヤーとD/Aコンバーターの専業メーカーだ。デコーディングコンピューターと名付けられたWadia2000でセンセーショナルなデビューを果たし、それ以降も魅力的な製品を継続的に開発し、記憶に残るヒット作も多い。順風満帆に思えるワディアだが、数年前には経営難に陥り、存続が危ぶまれた。その後、どこかの企業の資本が入ったらしく、会社を立て直して現在に至る。
TRANSPARENTの展示。トランスペアレントは米国のケーブルブランド。1万円弱の比較的手頃な製品から、400万円超の超高額ケーブルOPUSMMシリーズまで幅広い商品バリエーションを有する。
右上はアナログバランスケーブルのトップモデルOPUS BOMM2。2,400,000円/2mペア。
トランスペアレントのケーブルにはノイズ除去を目的としたネットワークが搭載されている。ケーブルの中間に設けられたコブのようなものがそれである。
AcousticPlanと呼ばれる新ブランド。プリメインアンプで、名称はSitar。電源を別筐体に納めている。参考出品。
FM ACOUSTICSの製品群。FMアコーステックはスイスのハイエンドオーディオメーカー。アンプ専業メーカーと言ってもいい。独特のいぶし金色をしたフロントパネルが特徴。右上はモノラルパワーアンプFM111。W240 H170 D365とコンパクトサイズ。シンプルでかわいらしいのだが、価格は1,500,000円/台。
FMアコーステックのフォノイコライザーFM122Mk2。W245 H62 D290。重量2.2kg。筐体の剛性も高い。価格は1,050,000円。
右はプリアンプFM155。人気の高いプリアンプだ。W245 H62 D290。重量2.2kg。フォノイコと同寸法だ。非常にコンパクトなプリ。価格は970,000円。
あとがき

展示されていた全てのオーディオ機器を掲載出来なかったが、おおよそ6割がたは紹介できたのでは無いかと思う。オーディオ雑誌などでも同展示会のレポートが掲載されたりしているので、それらと合わせて読むと、欠落した部分が補完し合えるのではないかと思う。

今回、音質的に印象に残ったのはユキムとオルトフォンの2社。オルトフォンは大音量再生してくれたのが気持ちよかった。ビンテージスピーカーだったけどね。ユキムはたぶん、機器の性能もさることながら、ブース自体が空いていたので雑音も少なく、ゆっくり試聴できたことも印象に残った一因だ。インターナショナルオーディオショウは、最先端でハイエンドな製品の音を聴ける貴重な展示会なのだが、来場者の雑音が邪魔をしてじっくり試聴することができなかったりする。人気のブランドであればあるだけ人だかりがすごい。まともに聴くのは至難の業だ。それに、電源環境については、決して良い状態とは言えないはずだ。また、こういう展示会においては各企業は限られた時間内で設営をしなければならないはず。大急ぎでセッティングした機器たちがはたしてどこまで本領を発揮出来ているのか。これは企業の責任ではなく、展示会の宿命だ。

実際、びっくりするほど良い音で鳴っている展示室は少なかった。同展示会を訪れた方の中には異論もおありだろうが、私はそう感じた。ま、撮影に翻弄されて、ゆっくり聴こうと言う気概ではなかったこともある。来場者が多すぎて、ベストポジションでの試聴がしずらかったという事もある。

オーディオというのは趣味趣向の分野なので、こういうものの判定には好き嫌いが絡んでくる。音楽という目に見えないもの相手だとなおさらである。善し悪しを論じるのは難しいなぁと常々思う。だから、私が良くないと思った展示ブースを、他の人は凄いと感じるかもしれないし、その逆もまた大いに有りうる事なのである。実際、同展示会では、私の行きつけのオーディオ店やオーディオメーカーの方々とも鉢合わせし、音の良かったブースはどこだったかなどを話し合ったが、個々人皆それぞれ感じるところが違うのである。

いずれにしても、インターナショナルオーディオショウに足を運ばれていない方が、このレポート読んで、会場の雰囲気を少しでも感じていただければ幸いである。

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