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AVフェスタ2005レポート
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AVフェスタ2005レポート
ピュアオーディオエリアその2
2005.10.08公開

A&Vフェスタ2005のピュアオーディオエリアは2部屋に分かれていて、こちらはもう一方の部屋。見慣れたメーカーから見慣れぬメーカーまで色々だった。さぁ、どんどんレポートしていきまっせ。

二つ目の部屋に入ると、まずはトザワ研究所のブースがあった。目についたのはこの無指向性スピーカー。吸音紙箱を充填した円筒形スピーカーだ。左写真の背の高い人が戸沢さん。
SDサウンドは同社おなじみのOTLアンプ等を展示。新製品らしきものは特になさそうだ。
高島電機サービス。まったく聞いた事の無い会社だ。同社の方によると、高島電機サービスは「OVER」というアンプブランドと「Sound Art」というアクセサリーブランドの取り扱い代理店らしい。いずれのブランドも私は初耳なのだが、それもそのはず、どちらもここ最近設立された新規参入ブランドらしい。OVERは砲金製員シュレーターを開発。現在、まだ秋葉原等では扱い店が無いようで、これから取扱店を開拓していくらしい。精巧に作られたインシュレーターだったが、はたしてどこまで知名度を上げる事が出来るか。砲金にしろ、スパイク型インシュレーターにしろ、特に目新しいものではない。この世界は淘汰が激しい世界である。有名無名のアクセサリーメーカーがあれやこれやとインシュレーターを発売するものの、数年にわたり市場に並び続けるのはわずか。雑誌でべた褒めされるか、オカルトでも工学的でもなんでもいいから独自の理論付けがなされているか、CP比が高いか、本当に効果のあるインシュレーターとしてマニアの間で話題になるか、デザイン性に優れているか、入手のしやすさなどなど、よほどのインパクトが無い限り、長年にわたり存続していくのは難しい。ま、新進気鋭の新規参入ブランドが生まれる事は大いに歓迎したい。ぜひがんばってほしいものだ。
トライオードのブース。この真空管アンプは同社の新製品TRV-35SE。詳しくは同社のホームページをご覧ください。
対面にはアムトランスのブースがあった。アムトランスは地味なメーカーながら、真空管を数多く揃える秋葉原のショップとして、コアなマニアにはありがたいお店だ。
おっと驚いたのがこのアンプ。私は真空管アンプについて詳しくないので、KRというメーカーも、KRONGILLAというアンプも初耳。それにしてもこの巨大な真空管、T-1610というらしいが、姿だけでびっくりたまげるわい。
こちらアムトランスのアッテネーター。固定抵抗式とロータリー式がある。右はアムトランスのオリジナル配線材金メッキテフロン絶縁OFC単線。φ0.5(400円/m)、φ0.7(450円/m)、φ0.9(470円/m)の3種類。ただ、通常は1メーター毎の切り売りはしておらず、4mでのパック販売だ。これは昨年登場した線材。OFC銅に金メッキがされており、絶縁材はテフロン。金色に輝く美しい配線材だ。仕様的にもあるようでなかった配線材で、つぼを押さえた造りだ。これは私もスーパーツイーターへの配線材に使っており、なかなか良い品だと感じている。ラックスの真空管アンプにも、この線材が使われている。価格も5mで2,000円程度と安価。質はもとより、この金メッキの美しさが魅力ですなぁ。この配線材は、秋葉原の海神無線コイズミ無線アムトランス試聴屋などで購入出来る。
クリプトンのブース。同社のチタンインシュレーターや電源ボックス、新型スピーカーなどが展示されていた。
これはクリプトンが今夏発売した2way密閉型スピーカーKX-3。愛称はVigoreという。すでにオーディオアクセサリー誌などで同機の特集記事が掲載されたりしているので、ご存知の方も多いだろう。「型番がビクターの名機SX-3を連想させますね」と同社の方に問いかけたら「そうなんです。SX-3の設計者が最近我が社に入社しまして、その方の設計によるものです。」とのこと。このスピーカーの売りはなんといってもこのスピーカーユニットらしい。マグネットはアルニコで、全くの新規設計らしい。既存のユニットを使ったのでは、そのユニットの音に左右されてしまい、設計者の意図するものが出来にくい。だから、納得のいくユニットを新規で設計製作したのだという。その他、コーン紙にはドイツのクルトミュラー社製を採用するなど、こだわりのスピーカーに仕上がっている。外見はごくごく地味だけどね。このスピーカーはすでに秋葉原のテレオン第2店などに入荷している。気になる人は聴きに行ってみると良いだろう。
こちらは有限会社トークシステムのブース。アナログマニアの中にはご存知の方もいるだろう。レコード超音波洗浄機や、クランパー式のレコード洗浄器具を展示していた。このクランパー式の器具は、水による手洗いでレコードを洗浄出来るようにするレーベルカバー。ガラスで出来たクランパーの周辺にゴムリングが付けられており、これでレコードのレーベル面を挿み込むことで、水洗い時の水からレーベル紙を守る役目を果たす。このレーベルカバーなるもの、ヤフーオークションにも出品されていたような気がする。そして、私の記憶が正しければ、このメーカーは昨年の真空管オーディオフェアにも出品していたような。
さぁ、このフロアの見所はここフライングモールのブースだ。同社の製品は小型高性能デジタルアンプ。同社初のデビュー作DAD-M1がオーディオ業界、ならびにオーディオマニアに与えた衝撃は大きかったと思う。小型/高性能/低消費電力と三拍子揃ったD級アンプDAD-M1の登場は、今後のアンプの一つの方向性を示したと言えよう。フライングモールの概要については、数々のオーディオ雑誌に特集されているので、私が改めて話す事も無いだろう。一応簡単にご紹介しておくと、同社は元ヤマハの技術者が立ち上げたオーディオメーカーで、浜松市の田舎にある。スイッチング電源、AD変換、増幅段、DA変換など、全ての回路をオーディオ専用に新規設計し、モジュール化しているのが特徴。小型の基盤上にこれら各ICを整然と配置。同社の増幅回路は特に変換効率が高く、発熱が少ない。よって、放熱スリットや放熱フィンが必要ないのだ。変換効率が高いというのは、簡単に言うなれば、消費される電力を音声信号の増幅に無駄なく使う事が出来るということかな。消費電力と出力の観点から考えると、デジタルアンプの対極にあるのはA級アンプかもしれない。余談が過ぎたが、右上は同社の試聴システム。JBLのユニットをエンクロージュアに組み込んだ、同社の自作スピーカーとのこと。ウーハーは38cmあり「フライングモールのデジタルアンプは、姿形は小さくてもこんな大きなスピーカーを立派に鳴らす事が出来るんだぞ」というところを実感してもらうためにこのスピーカーを用意したのだそうな。小音量での再生だったのだが、けっこう快活に鳴っていた。音源はiPodであった。これも世の流れか。
こちらフライングモールの新製品CA-S3。卓上でちょこっとしたニアフィールドリスニングに使えそうだ。デモンストレーションでは、iPodを音源に同社の自作大型スピーカーを楽々鳴らしていた。出力は8Ω負荷時に20W足らずだが、そんな小出力を感じさせない見事な鳴りっぷりだった。デモではiPodをソース源にしていたため、ピュアオーディオ再生と呼べるかどうかは微妙だったが、これはこれで新しいオーディオファン層を取り込むのに有効なアプローチだと思う。このアンプ、デザインは私好みではないが、一般人には比較的受け入れられやすいだろう。きちんとしたソース機器を繋げば、それだけもっと大きなパフォーマンスを示す可能性がある。なお、CA-S3は入力1系統。このアンプはスピーカーターミナルなどにも独自の構造を有している。詳しくは同社のホームページをご覧あられたい。
こちらは入力3系統を備えたPA-S1。ただし、モックアップの参考出品。こちらの方が飾りっけの無いシンプルなデザインで好ましい。
フライングモール社の製品ラインナップ。手前より、新製品のCA-S3、DAD-M1、DAD-M300pro、DAD-M100proBB、DAD-M100proHT。右は同社proシリーズ。通称「黒モグラ」と呼ばれているデジタルパワーアンプだ。一応、業務用のアンプらしいのだが、オーディオマニアが愛用しているのをよく見かける。個人的にも1組欲しいアンプだ。これが発売された時、なんじゃこの素っ気ないデザインは、と思ったものだが、じっくり見るとこの無骨さが妙に格好良く思えてくるのだ。DADプロシリーズには、一応、おまけ程度にボリュームが搭載されているが、ボリュームツマミは小さい。また、ボリュームを最小に絞っても、けっこう音が出てしまう。よって、内蔵ボリュームはあくまでおまけと考え、別途、プリかパッシブプリをかませる方が良い。
同社のデジタルアンプ基盤。企業向けに出荷しているもので、個人への小売りはしていない。それにしても、この十数センチ四方の基盤上に、スイッチング電源、A/D変換、増幅段、D/A変換の全てが盛り込まれているとは、フライングモール恐るべしである。なぜ、これだけ小さくできるかというと、アンプに必要な機能をそれぞれ完全自社設計のICチップにし、回路構成を最小にしているからである。
こちらはテイクティのブース。超高域再生の時流に乗って、急速に勃興してきたメーカーだ。同社の高分子圧電ハイル型スーパートゥイーターBATシリーズを展示していた。スピーカーの上に乗っている灰色の四角いものがそれだ。同社のスーパーツイーターはたしかに効果があり、もう少しデザインが良ければ、私も1組欲しい。ただ、このデザインには同社社長のこだわりがあるらしい。どうしてもコウモリのようなデザインにしたかったらしい。なお、同社のハイル型ヘッドホンのデモもおこなっていた。今年度末に発売予定とのこと。ハイル型振動板についての詳細は同社ホームページをご覧いただきたい。
サウンドデザインのブース。聞き慣れないメーカーだ。それもそのはず、サウンドデザインは最近立ち上げたブランドらしい。同社のホームページを拝見すると、代表者は元ソニーのエンジニアだったらしく、トップローディングCDプレーヤーCDP-MS1やフルデジタルアンプのヒット作TA-DR1の設計者であるという。TA-DR1の設計を終え、ソニーを退社。起業されたようだ。この度、同社オリジナルのフルデジタルアンプが完成に至り、AVフェスタでお披露目となったらしい。
これが同社のフルデジタルアンプ第1作目SD05。なんというシンプルな外見だろう。背面パネルもシンプルそのもの。入力はアナログRCA2系統、デジタルBNC入力2系統、デジタルRCA入力2系統。必要にして十分な入力系だ。厚みのあるアルミ板を筐体に、極めてシンプルに作られたデザインには、非常に好感が持てる。試聴させてもらったが、このデザインに相応しく極めてピュアで濁りの無い音を奏でていた。個人的にはぜひ発展してほしいブランドであると感じた。そして、色々なバリエーションを展開してほしいものだ。なお、SD05は完全受注生産で、一台一台手作りで製作されているようだ。なお、同社のホームページには、このアンプの設計製作過程が事細かく紹介されている。さすがはプロのアンプ設計者だけあって、非常に綿密な解説となっている。なにより、設計者の生真面目さが伺え、とても好感が持てるのだ。自作アンプファンにもとても参考になるんじゃないかな。

さて、お次は AVフェスタ2005レポート次世代オーディオエリアです。

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