オーディオみじんこ
わが愛しのオーディオアクセサリー
電源ボックスSaturnian Moonsの製作
その7:IEC320インレットの比較試聴

【リファレンス電源ボックスの試聴】

まずは私がリファレンス電源ボックスに使っている強化木電源ボックスを聴いてみる。見ての通り、私の自作品だ。

この電源ボックスのケースは強化木という特殊な木材で出来ている。その他にも、内部配線は純銀線、ネジは全て制振合金、コンセントはSWO-DX×2個、プレートレスのスケルトン仕様、底板の四隅には真鍮製スパイクを搭載している。この電源ボックス自体は固有音が全くといっていいほど無く、コンセントの素性をありのままにさらけ出す性質がある。私の耳に馴染んでいる電源ボックスということもあり、比較試聴のリファレンス機にしているのである。ソフィーの声の通り伸びやか。さよならサックス伸びやか。抑圧感なく開放的。パーカション歯切れ良し。オコラは音像がやや奥に引き気味。弱腰に聴こえる。

【IEC320インレットの一斉比較試聴】

IECインレットの比較試聴をおこなう。前のページに載せた表の関連項目を改めて掲載しておこう。

IEC320規格インレット7種類
メーカー
型番
特徴
ニコオン NC174-10N-C ニッケルメッキ
ニコオン NC174-10N-A-F6.35 ファストンタイプニッケルメッキ
オヤイデ電気 IEC 320INLET ニコオンNC174のロジウムメッキバージョン
平河ヒューテック CM-11 ニッケルメッキ
平河ヒューテック CM-11金メッキ 金メッキ
フルテック INLET-G 金メッキ
フルテック INLET-R ロジウムメッキ

実はこれらIECインレット7製品の比較試聴も含めて、今回おこなった全ての比較試聴は2ローテーションしている。つまり、全ての電源ボックスを聴き終わった後、もう一度同じことを繰り返している。1回目試聴と2回目試聴が同じ傾向であれば、それはある程度信用に値する評価だと思う。よって、以下に列挙する評価は2回おこなった試聴の総合評価としている。評価方法を表組にして、点数方式にしたほうが分かりやすいかとも思ったが、良し悪しでは割り切れない部分もあるので、試聴での感想をそのまま記述することにした。なお、IECインレット比較試聴用電源ボックス全てにはサーモウールによるケース内こもり対策、コンセントへの制振合金単線を挿入している。

これが比較試聴の様子。3個のコンセントそれぞれからCDプレーヤー/パワーアンプ×2台へ給電する。以下、その結果を

ニコオン NC174-10N-C
オヤイデロジウムの原型モデル。ニッケルメッキ。
「ソフィー」の声通り良し。倍音の広がりも綺麗。パーカッションも綺麗で、細かい音を良く出す。芯がありつつ、程よく締まる。高域が若干カサつく気もする。エージングで改善するか。
「さよなら」の表現力は強化木と同等。表現力豊かで、エネルギー感も十分。後述のオヤイデロジウムより低音寄り。奥行き感が良い。楽器毎の分離も水準的で問題なし。オコラのボーカルは強化木よりバランスが良いが、わずかにマイルドに聴こえる。これはコンセントの性格かも。
これはその後No.60 Iapetusと命名。

ニコオン NC174-10N-A-F6.35
NC174の内部電極を幅広にしたもの。ニッケルメッキ。
「ソフィー」の声に広がりを感じるのはNC174と同等。声の肉付きが増したようだ。ボーカルに厚みがある。腰が据わっているとでも言うべきか。シンバルが強く響き、音のエッジが立つ。ただ、音像の輪郭がやや緩いか。
「さよなら」は自然な延びが強化木より上。低音に厚み、若しくは重量感のある音。ドラムに凄みを感じる。エネルギッシュ。
「オコラ」は声に芯があってしっかりする。
この機体はNo.61 Prometheusと命名。

オヤイデ電気 IEC320INLET
NC174-10N-Cにロジウムメッキしたインレット。
「ソフィー」のパーカッションが明らかに際立つ。倍音が多く賑やかで、表現力の懐が深い。低音も強く張りがある。ただ、ロジウムの音とでも言うべきか、冷たい感触もある。
「さよなら」は透明感が増し、背景が静か。サックスやドラムの歯切れも水準以上。音が上方に抜ける。パーカッションの実在感が増すものの、ソフィーと同様、クールな印象。
「オコラ」はNC174と変わりなし。やや透明感が増すか。気のせいの範囲かもしれないが、S/N感が若干良いかも。
これは後にNo.65 Panと命名。

平河ヒューテック CM-11
ニッケルメッキ。
「ソフィー」は透明感を保ちながら、ふわっと柔らかい。聴いていて気持ち良い。低音の締りが良い。
「さよなら」はサックスに広がりがある。キツさが皆無で、落ち着ける音。透明感も良し。
「オコラ」は少年の声が優しい。舌の動き、口の動きが良く分かる。問題なし。
これは後にNo.66 Tethysと命名。

平河ヒューテック CM-11金メッキ
CM-11の金メッキタイプ。
「ソフィー」のパーカッションが綺麗で厚みが増し、存在感がある。標準的な音調。
「さよなら」はやや低音よりの傾向。シンセの広がりが印象的。サックスに艶がつく。
「オコラ」は特に変化なし。NC174と変わりなし。
これは後にNo.67 Rheaと命名。

フルテック INLET-G
同社金メッキのハンダ付けタイプ。
「ソフィー」は声が幾分か明瞭。ギターの響きが美しい。やや淡白かも。
「さよなら」はサックスの延びが他より良いような気もするが、気のせいかもしれない。
「オコラ」は標準的。問題なし。
これは後にNo.68 Calypsoと命名。

フルテック INLET-R
同社ロジウムメッキのハンダ付けタイプ。
「ソフィー」はパーカッションも声も柔らかい。
「さよなら」はどちらかというと滑らかで綺麗という印象がある。優美な雰囲気。同じロジウムメッキのオヤイデインレットとは表現を異にする。これはフルテックとオヤイデのロジウムメッキコンセントにも共通して言えること。新たな発見だ。
「オコラ」はなめらかで心地よい。
これは後にNo.69 Heleneと命名。

以上でIECインレットの比較試聴は終了。正直、差があるようでないようで。いや、確かに違いはあるのだが、かなり微妙な差だ。一瞬聴いただけではIECインレット毎の変化は良く分からないが、よーく聴いてみると違いがあるという感じだ。

その中でも鳴らした瞬間に個性を感じたのはオヤイデロジウムだ。不思議というか、当然というか、同社のSWO-DXと同様の傾向を示したことだ。好き嫌いが分かれると思う。元モデルになったNC174はオヤイデロジウムの派手さをフラットにした感じ。NC174幅広電極はNC174に低域の力感を追加した感じで好ましい。電極が大きいため導通が良くなるのだろうか。この3種はいずれも本体部分がまったく同じで、電極のみが違う兄弟だ。オヤイデロジウムはいかつい個性派、NC174は全てのことをそつなくこなす奴、NC174幅広は力自慢の肉体派か。

平河ヒューテックCM-11ニッケルメッキとCM-11金メッキタイプはいずれも女性的と言える。例えるなら、癒し系の女性だ。不思議ちゃん系とも言えるか。普段は慎ましやかに振舞っているが、いざというとき正しい美音系に導いてくれるという感じ。こういうの好きな人は多いと思う。私は好み。

フルテックはINLET-G/INLET-Rともに美人系だ。INLET-Gは街中で見かける普段着の美人。INLET-Rは色気漂う魅惑の女性。

以上で、IECインレットの比較試聴は終了。これらの感想はかなり大袈裟かな〜と自分でも思うのだが、例えに直した方が分かりやすいのであえてそうしてみた。実際には、IECインレットの選択でオーディオの再生音が激変するほどの極端な差異があるわけではないことが分かった。ま、他にも色々なメーカーのインレットがあるから、そんな中には飛び抜けたものがあるかも知れない。それはまたの機会と言うことで。さて、お次のページではM2052単線による制振対策とサーモウールのこもり対策、内部配線方法の検証結果をご覧いただこう。

その7
IECインレットの比較試聴
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