オーディオみじんこ
わが愛しのオーディオアクセサリー
電源ボックスSaturnian Moonsの製作
その9:命名とエンブレム製作

幾つかの変更を経てようやく電源ボックスが完成した。最後にこれら電源ボックスに愛称を与えることにしよう。作品に名前を付けるのには様々な意味合いがあるのだが、説明が長くなるので割愛。端的に言うと、私にとってのオーディオ自作とは、工作というより創作でありたいと思っているからだ。だから、自作品一つ一つに相応しい愛称を与えて、命を吹き込んでやりたい。そしてそれぞれの電源ボックスにはエンブレムをつけてやろう。

【命名の由来】

さて、12台の電源ボックスはいわば12つ子。12個以上の関連した名前を有し、それぞれに由来や意味を持つもの。しかも何か今後の作品製作にも関連付けられる一連の名称はないか。神話、古代文明、宗教、古代文字、伝説、歴史、天文学、生物学、物理学・・・。興味の対象は沢山ある。こういうことを考えるのはとても楽しい。あれこれ考えているうちに、はっと閃いたのが衛星の名称だ。衛星の数が多い惑星には、木星と土星、それに天王星がある。いずれも10個以上の衛星を抱える。今回は土星の衛星を与えることにした。土星は18個の衛星を抱えており、この電源ボックスシリーズに与える数としてちょうど良い。18から12を引くと6個の衛星の名前が余ることになるが、これにも理由がある。ま、それはさておき、土星の衛星にはそれぞれギリシャ神話に登場する巨神族の名称が付けられている。このページの題名にもなっている「Saturnian Moons」とは土星の衛星群の事、つまりこれら12台の電源ボックスを指している。それぞれの電源ボックスに割り振られた衛星名は下表の通り。

作品No
作品名
IECインレット
内部配線材
60
Iapetus
ニコオンNC174-10N-C 東日京三EM-EEF2.0
61
Prometheus
ニコオンNC174-10N-A-F6.35 東日京三EM-EEF2.0
62
Epimetheus
ニコオンNC174-10N-A-F6.35 東日京三EM-EEF2.0
63
Atras
ニコオンNC174-10N-A-F6.35 東日京三EM-EEF2.0
64
Hyperion
ニコオンNC174-10N-A-F6.35 東日京三EM-EEF2.0
65
Pan
オヤイデIEC320INLET 東日京三EM-EEF2.0
66
Tethys
平河CM-11 東日京三EM-EEF2.0
67
Rhea
平河CM-11金メッキ 東日京三EM-EEF2.0
68
Calypso
フルテックINLET-G 東日京三EM-EEF2.0
69
Helene
フルテックINLET-R 東日京三EM-EEF2.0
70
Enceladus
ニコオンNC174-10N-C-F6.35 品川電線VVF2.0
71
Pandora
ニコオンNC174-10N-C-F6.35 古川電工 PCOCC1.6

それぞれの作品には、音質傾向に相応しい衛星名(巨神の名)を振り分けている。興味のある人はギリシャ神話に登場する神々を調べてみて欲しい。作品Noが60番から始まっているのは、今までの自作オーディオ全作品数において60番目の作品ということ。なお、前のページで試聴した内部分岐直列タイプの機体は内部分岐並列配線に改修し、No.64の Hyperionとして生まれ変わっている。

【エンブレムの製作】

エンブレムの製作は今だベストな方法は見つかっていない。エンブレムには本物の金属板を使いたい。金属の持つ質感を損なうことなく刻印したい。シルクプリントができればいいが、私は趣味の領域でやっているだけだし、外注に出してまでエンブレムを製作するつもりはない。第一、そこまでお金は掛けられない。レーザーカット外注での文字の打ち抜きはお金も掛かるし、小さな文字は無理だ。エッチングは以前試したこともあるのだが、手間が掛かり過ぎるので却下。レタリングは気が遠くなりそうなので却下。見栄えの良いエンブレムをどうやったら自前で簡単に作れるか。そうなると、やはりパソコンを活用したいところ。パソコンで図柄を作成すれば、図柄のレイアウトや変更も楽だ。そうなると、パソコンで作成した図柄をなんらかの方法で金属板に転写する方法を確立しないといけない。試行錯誤を繰り返し、ようやくベターな方法を編み出したので以下に紹介する。金属の質感を生かしつつ、大きさも自在、耐久性、耐水性に優れ、安価で手軽に出来る手法である。なお、もっと良い方法知ってるよ、という方がいればぜひ御伝授いただきたい。

まず、材料の紹介。これはポリエステルタックフィルムの透明クリアタイプ。パルコというメーカーのもの。東急ハンズで購入。A4サイズ5枚入りで実売\787。文具店などでも入手できると思う。ポリエステルタックフィルムはOHPシートのような透明のシートで、インクジェットプリンターを使ってプリントできる。片面が粘着式になっていり関係上、右上写真のように白い保護シートが張り付けられている。
これはステンレスシート。これに前述のポリエステルタックフィルムを貼りつける。厚みが0.1mmほどなのでハサミで切れる。片面が粘着式になっている。東急ハンズで購入。300×920で\1,000ほどだったと思う。同じようなものはホームセンターでも売られているだろう。Saturnian Moonsのステンレスプレートと統一感をだすために今回はステンレスシートを使うことにしたが、銅シート、真鍮シートなどでも同じことができる。
透明の保護シートかインクジェット用の保護スプレーを探していたら、東急ハンズの店員さんに文庫本用の透明コートフィルムあらありますよと案内された。それがこのピッチンという本の表紙を保護するための透明シート。ピッチンはポリプロピレンの透明シートで、片面が粘着式になっている。俗にブックコートフィルムというものらしく、ピッチン以外にも似たようなものは沢山あるようだ。
さぁ、ここからがエンブレム製作の行程だ。まず、パソコンで図柄を作成する。私はクラリスワークスという総合ソフトを使い慣れているので、これのドロー機能を使い図柄を打ち込んでいく。操作が極めて簡単なソフトで、決して高機能ではないが、こういったロゴ程度なら必要十分だ。クラリスと聞いてお気付きの方もいるだろうが、私のパソコンはMacだ。しかも今や隅に追いやられつつあるOS9だ。クラリス並みの使いやすいソフトがウインドウズにもあれば良いのだが。クラリスワークスはすでに絶版しているが、これの発展ソフトはアップル社のアップルワークスとして今も生き残っている。アドビのイラストレーターなどを使えばもっと綺麗にできるだろうが、単に文字を並べるだけなのでそれほどの機能は必要無い。作図が出来たらインクジェットプリンターで出力する。文字が綺麗に印字できれば良いので、それほど高画質なプリンターでなくても良い。私はブラザーのMFC-410CNを使っている。ご覧の通りとても高さ138mmのとてもスリムな複合機。他者製品でここまでスリムな複合機があるだろうか。前面給排紙なので、奥まったスペースに置けるのも助かる。こんなにコンパクトなのにプリンター/FAX/スキャナー/コピーとしてちゃんと機能している。いざとなれば、LAN経由のプリンターとしても使えるスグレモノだ。スキャナーのドライバーソフトは細かい調節が出来ないので不満があるが、プリント速度はエプソンより速いし、インクは4色ながらまぁまぁ満足できる画質なので、とても良いプリンターだと思う。CMはダサイながらもがんばってるし。悲しいのは、パソコン店での扱われ方だ。プリンターやスキャナーのフロアではなく、パソコンとは関係ない電話やFAXのフロアに陳列されていたりすることが多い。また、お店に製品が置いてあっても補充インクは売ってなかったりと、ひどい扱いを受けている。エプソンやキャノンやHPなどのメジャーブランドと肩を並べられるよう、がんばってくれブラザー!そして、PowerBookG3との相性不具合修正パッチを早く作ってくれ。
プリンターで出力したポリエステルタックフィルムにピッチンを貼っていく。空気が入らないよう手でしごきながら貼る。これで、防水や耐久性は完璧。ポリエステルタックフィルムをステンレスシートに貼付けた後にピッチンを貼ってもよさそうに思えるが、これは実際には上手くいかない。ポリエステルタックフィルムをステンレスに貼りつける際、気泡が入らないようフィルムを手で擦りながら貼付けるのだが、下手をすると図柄が剥がれてしまうことがあるのだ。だから、ピッチンを貼って表面を保護してからステンレスシートに貼付けた方が良い。
ピッチンを貼ったポリエステルタックフィルムをステンレスシートに貼りつける。空気が入らぬよう慎重に、しかも貼付けを途中で中断せずに手早く貼付ける。
必要な大きさにハサミでカットする。クラフトチョキのような工作用のハサミが良いだろう。
裏面の粘着保護紙を剥がし、電源ボックスに貼りつければ完成!なかなか良い感じに仕上がった。エンブレムを装着すると電源ボックスにも高級感が出るな〜。これにてSaturnian Moons電源ボックスの製作工程は全て完了!ほんと、長い道のりだった。
その9
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