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オーディオみじんこ
オーディオ聖地巡礼記2006年3月下旬
2006.03.20
3月中旬オーディオ店でものはつもの

こんばんは、みじんこです。ページが長くなり過ぎるので、3月の巡礼記は2ページに分けました。前半はこちら。今日は3月上旬から中旬にかけての、オーディオ店最新動向をお知らせします。今回は、オーディオユニオン吉祥寺店/お茶の水店/ハイファイ堂/ダイナミックオーディオHiブランド買取りセンターの4店舗です。

オーディオユニオン吉祥寺店。3月4日の試聴イベントシステム。パイオニアの新型スピーカー2種。2wayブックシェルフ型がS-2EX。両脇の3wayトールボーイ型がS-1EX。ベリリウムトゥイーターとアラミドカーボン複合シェル振動板採用18cmウーファーを採用しているのが特徴。

S-2EXについて正確を記すと、白いユニットは3.5cmツイーターと14cmスコーカーの同軸ユニットとなっている。つまり、同軸2way+18cmウーハー=3way構成となっているのだ。S-2EXは315,000円/本。

S-1EXは525,000円/本。使用ユニットや技術的特徴はS-2EXと同じ。S-2EXにウーハーをもう1個付け足して、トールボーイ型に仕立て上げたものだ。

非常に重厚なキャビネットを有しており、よく練り上げられた名スピーカーだと思う。私はイベントが始まる少し前に、短時間だが独りで試聴させてもらった。使用機器は写真中央に写っている通り。試聴ディスクは店でたまたま掛けていたモノで、詳細不明。女性ボーカルものだった。バランスがよく、滴るような歌声にしばし聴き惚れた。どちらかというと、積極的に分解力を追い求めるというよりは、滑らかさや雰囲気といったものを無理なく表現するのに長けていると思った。搭載されている同軸ユニットが非常に優秀のようで、音像の定位感は抜群。私は自作派なので、完成品スピーカーにあまり興味は無い。けど、これから完成品スピーカーを買い替えようと考えている人には、この2機種は購入候補に挙げても良いんじゃないかな。デザイン上、なんら奇抜なことはないのだが、造りが良く、音も納得。私的には、S-2EXで十分だと思った。

吉祥寺店に最近掲げられた大型のポスター。アキュフェーズの歴史と名機の数々を時系列で表している。アキュフェーズファンならば、リスニングルームにでも貼っておきたいところだろう。アキュの好敵手LUXMANも最近、自社の名機を列挙したポスターを製作している。この2006年というのは、両社にとって節目のような時期なのだろうか。
ソニーのマルチチャンネルアンプのフラッグシップ機TA-DA9000ES。一昨年発売されたのだが、すでに生産終了している。たった1年の現行期間だった。TA-DA9000ESを私が最初に見かけたのは、2004年のAVフェスタ。その時、寸法的な制限を取り払って、徹底的に作り上げるとこんな風になるのかと、びっくりしたものだ。価格は60万だから、国産一体型AVアンプとしても最高峰。ただ、このTA-DA9000ESについて、最近ちょっと気にかかる事がある。今年に入ってからというものの、中古オーディオ店でやたら見かけるようになったのだ。店頭中古品に頻繁に並ぶということは、それだけ売れていたということにもなるのだが、それにしても良く見かける。今月に入ってから6台くらいは見かけた。雑誌の高評価に乗せられて大枚叩いて買ったは良いものの、思いのほか音が悪かったとか?なんでかなーと思って調べたら、おおよその理由判明。後継機TA-DA9100ESが2005年12月に新発売されてるじゃないか。推定では、後継機TA-DA9100ESへの買い換えで、TA-DA9000ESが下取りに出され、それが一斉に中古市場に登場したのだろう。

一部のオーディオマニアは、車好きの人と似ているところがある。自分が乗っている車種のニューモデルが出る度に、乗り換える癖のある人種のことである。愛車を下取りに出して、下取り額に少しお金を上積みして、ニューモデルに乗り換えるのだ。どのジャンルの趣味にも一定数いるのだが、新しモノ好きという人種である。

私から言わせると、そんなに頻繁に乗り換えてどうする。愛車なり愛機なりを飽きるまで愛で尽くしてから、よほど他の機種に心奪われた時にこそ、手放せばいいんじゃないかと。ま、私も頻繁に買い替える方なんで、えらそうなことは言えんが。

ただ、どうせ買い替えるなら今までの愛機とは傾向の違うものに買い替えた方が面白いんじゃないかなとも思う。けど、同じブランドのニューモデルに乗り換え続ける人には、確固たる見解なりこだわりがあるはずだ。・・・俺はこのブランドのこのクラスの製品に惚れているんだ。だから、好きなブランドが威信を掛けて発売したニューモデルを見過ごすわけにはいかないんだ・・・と。

こういう考えに及んでいる人は、ある意味うらやましい。そこまで惚れ込んでいるブランドなり、シリーズなりに出会えているのだから。そして、ニューモデルが出る度に乗り換えられるということは、そのメーカーが堅調であることの証でもある。

浮き沈みの激しいオーディオブランドの中にあって、安定した利益を生み出し、長きにわたりブランドを維持し、多くの愛好家を虜にし、製品の改良を怠らず、定期的に新製品を投入しつづけること・・・これは並大抵の事ではない。

新しモノ好きであり、買い換え癖があり、そこそこ金持ちのオーディオマニアがいてくれるからこそ、私のような中古機器狙いのオーディオマニアが生息できるのだ。金持ちオーディオマニア万歳!どんどん買い替えて、どんどん下取りに出し、貧乏オーディオマニアに恩恵を与えたまえ。

新製品投入による買い換えの需要があり、オーディオ店も中古の需要を見越して中古品を円滑に買取りし、それら中古品を買うマニアがいる・・・こうしてオーディオ業界は成り立っている。このサイクルを断ち切るようなPSE法は、長い目で見ると、メーカーを含めた業界全体を衰退させてしまう。ささやかながら、私もPSE法是正署名に署名した。

耐久消費財にとって、中古市場は必須なのだ。私がオーディオ店で見聞きしたことから類推するに、全国のオーディオ製品流通における中古流通の割合は、小売り額換算で約2割。PSE法施行まであとわずか。大騒ぎのおかげで、動向は日々変化しているが、うまい具合に落ち着いてくれる事を願っている。おっと、ずいぶんと話が逸れてしまった。

オーディオユニオン吉祥寺店に並んでいるPASSのX2.5。先月から並んでおり、一旦は売約済みとなったものの、キャンセルされたものと見られ、現在も店頭に並んでいる。私に資金的余裕があれば、速攻で購入するのだが。あぁ、憧れのX2.5。いつかは手中にしたいものだ。
ソニーのSACD/DVDプレーヤーDVP-S9000ES。お買い得39,800円。発売年は2000-2002年。定価20万。現行当時、ハイCPプレーヤーとして人気が高かった。同機の中古平均価格は5-7万程度。発売年はPSE施行の2001年に重なっている期間もあるのだが、大幅値下げからすると、この機体は2001年3月以前の生産ロットなのかもしれない。ま、裏面のPSE刻印の有無を見れば分るのだが。

右はフルテックの新型電源ケーブル。G314Ag-18P。実売9,980円。切り売りタイプのFP-314Agに、電源プラグFI-15MEG、IECコネクターFI-15EGを装着した完成品ケーブルだ。個々のパーツを組んでも値段的には同じ。工作が面倒な人は完成品を買うのが楽。

オーディオユニオン吉祥寺店の中古品陳列棚。PSE法施行が差し迫っているということで、先月半ば頃から未認証機器、特に名機と呼ばれるものが矢継ぎ早に売れている。おかげで、陳列棚の空きが目立ってきた。この棚には従来、オーディオ機器類が所狭しと積み上げられていたのだが、現在は小型スピーカーを並べて空き棚を埋めている。

PSE施行前に未認証機器を買わねばという消費動向は、今月に入ってからさらに加速している。私が肌身で感じるに、中古オーディオ店は普段より来客数が多い。皮肉な事に、PSEの影響で中古オーディオ店は賑わいを増しているのだ。オーディオマニア自体の来店者数も増えているように思うが、それ以外にも、PSE騒動を見聞きした一般人が、野次馬根性でオーディオ店に来店している。

こちらオーディオユニオンお茶の水店。2階中古高級オーディオフロア。stabi(スタービ)のstabi reference。梨地の黒塗装がなんとも美しい。こんなの手に入れた日にゃー一生もんだな。

スタービ レファレンスは1994年製。アームレス定価68万。先月入荷。付属トーンアームはオルトフォンPMG212i。定価16万。stabi reference+PMG212iで計84万円の製品だ。入荷当時478,000円の中古価格だったが、今月に入り、一挙に値下げ。特価298,000円。これははっきりいってめっちゃお買い得だと思う。写真に写っているレコードスタビライザーも標準装備品。

私の手持ちの資料で、同機に関する記述を探してみた。ステレオサウンド113号に、同機に関する資料を複数発見。前述と記載がダブるが、発売年は1994年。定価68万円(アームレス)。外径寸法はW500×H200×D400。総重量40kg。電源は20WクラスA級アンプ内蔵の独立電源部。AC100V。駆動方式はベルトドライブ。回転数は33 1/3と45rpmの2種。ターンテーブルはアルミとアクリルの3層構造。ターンテーブルの重量は8kg。扱いはオルトフォンジャパン。キャビネットは2層構造。下段のメインシャーシは3点支持で床面に接地。メインシャーシの重量は16kg。上段のサブシャーシとは4本のサスペンションで結合。総重量から、メインシャーシとターンテーブルの重量を引くと、サブシャーシは16kgと推定される。各シャーシはターンテーブルと同様、アルミとアクリルによる3層構造。当時の評価には「明るくヌケのよい音。低音域の雄大さが印象的」と記されている。SS誌113号のコンポーネンツオブザイヤー94-95のアナログプレーヤー部門では5位。

オーディオユニオンお茶の水店の2階中古高級オーディオフロアには国内外のハイエンド中古オーディオ機器が頻繁に入荷する。PSEによる値下げは基本的に無し。ただ、決算セールという事で、安くなっている製品も幾つかある。同店におけるPSE騒動の影響をちょこっと紹介しよう。マークレビンソンなどの名機に関しては、下取りに出るや否や、店頭に並ぶ前に買い手が付くなど、高級機器の需要が増している。4月以降は入手出来なくなるのではないかという、ユーザーのあせりがあるのだ。おかげで、店頭展示品は普段の2割減。店頭在庫は非常に流動的になっている。まるで、3月期の賃貸不動産物件みたいな状況だ。ま、オーディオユニオンに関しては、自社PSE認証検査をおこなうことに決めたので、実際には4月以降もこれらの機器を継続販売できるのだが。
オーディオユニオンお茶の水店4階に、タオックのオーディオラックCS-5が入荷。重厚な造り、オーソドックスな外観。そそられるなぁ。価格は不明。

右はデンテックのノイズ除去トランスIPT-1500。数週間前から置いてあるものの、一向に値付けがなされない。IPT-1500には、100V-100Vのノイズ除去トランスバージョンと、200V-100Vのステップダウントランスバージョンがあるようだが、この個体は200V入力タイプだ。

手持ちの資料(電源アクセサリー大全2000/同2002)によると、IPT-1500は2000年発売。サウンドデン初のノイズ除去トランス。定価435,000円。重量40kg。給電能力は1.5kW。搭載コンセントは明工社のME2817。プレートにはスーパークライオ処理シールあり。ただ、文献によると、IPT-1500は本来、PADのCLYO-L2が搭載されていたようである。どちらが標準なのかは不明。構造からすると、コンセント交換は極めて簡単に行えそうである。内部配線はφ2.0銀線。インレットはIEC320型。一般的なオーディオ用電源ケーブルがそのまま活用出来る。シャーシは鉄製。縦置き、横置き両対応。音質については「身の毛がよだつほどクリアなサウンド、叩きのめされたような力強いサウンドが眼前に出現する。従来の100V電源のサウンドと比較するとこの変化は一体何なのだと考えさせられる。万言を尽くすより、ぜひ一聴を薦めたい」とある。

自宅が200V電源を引き込める環境で、なおかつ金銭的余裕があれば、ぜひとも導入したいところ。しかしながら、200V導入というのは、賃貸マンション暮らしの私には縁遠い話だな。ちなみに、同店には昨年末、THE J1PROJECTのバッテリー駆動電源PPR-100が中古入荷。定価367,500円のところ実売198,000円だった。先々月はReimyoの電源ラインスタビライザーALS-777が複数台同時入荷。入荷した途端、あっという間に売れてしまった。これらが中古に出る事は極めて稀なこと。今回のIPT-1500を含めても、非常に魅力的な電源アイテムだった。喉から手が出るほど欲しかったが、金銭的にも環境的にも、涙をのんで諦めざるを得なかった。写真には写していないが、現在同店にはPSAUDIOの電源波形形成装置P500も中古入荷している。

階段に張り出されていた電気用品安全法(PSE法)に関する買取り案内。ダイナミックオーディオの買取り案内とほぼ同じ文面。

PSE法に関しては、ニュースなどでも度々取り上げられるようになり、今や一般人にも知られるところとなった。施行間近になって混乱を極めているのは、経済産業省の怠慢が原因。2月23日に続いて、3月9日にも輸入オーディオ協会を主とした業界関係者向け説明会を実施している。出席した経済産業省の役人によると、PSE未認証品をレンタルという名目でユーザーに譲渡するのであれば、問題ないと発言したらしい。ただ、別の見解としては、例えレンタルでも規制対象になるという。さて、どちらが正しいのか。また、先週のテレビニュースでは、ビンテージ品はPSE未認証でも販売可能とするという経済産業省の見解が示されていた。しかし、どのような価値観をもってビンテージとするか、はっきりしていない。もし仮に、ビンテージと命名される製品リストが作成されるとすれば、これまた大変な混乱を来す事になる。

それに、“ビンテージは未認証でもOK”でPSE騒動を治める。これ、ちょっとおかしい。経済産業省の役人は逃げにかかっているのではないか。私はなんとなくそう感じている。こうるさいアーティストや、オーディオ業界さえ納得させてしまえば、同省への非難は軽減される。弱小リサイクル業者の戯言など、泣こうが喚こうがほったらかし。そんな感じになるのではないか。

PSE問題は、中古製品の“文化的価値”とか“ビンテージ”とか、そういう括りでは片付けられない問題だと思う。リサイクル業者や中古楽器店、中古オーディオ店はボランティアではない。モノが流通し、そこに人間が関わる以上、採算が合うかどうかが問題なのである。本件の一番すっきりした解決方法は「中古家電製品はPSE法の規制対象にはならない」ことである。本法に最初からそう一文加えておけば、今回の問題は起こらなかったのである。

現段階での、みじんこが巡回しているオーディオ店各店の動向は以下の通り。PSEに関する取り組み状況を記載している店もあれば、PSEについては全く触れていない店もある。

自社PSE検査実施店  ダイナミックオーディオ オーディオユニオン ヒノオーディオ ハイファイ堂
PSE検査をしない店
テレオン アバック フジヤエービック 清進商会

中古オーディオの最大手、ダイナ系列、オーディオユニオン系列が自社検査に踏み切る事で、オーディオ機器に関しては極端な混乱は避けられそうだ。2003年3月以前のAC電源オーディオ機器に関しては、これらPSE検査実施店に流入することが予想されるからだ。PSE検査を実施しないという店の情報は、あくまで私がその店の店員さんから聞いた話。会社の公式見解ではない。状況次第では、十分に変更の可能性がある。いずれにしても、今月中にPSE問題が落ち着くとは思えない。だいぶ先のことになりそうである。法改正もありえるという話もある。我らオーディオマニアとしては、事の推移を見守るしか無い。

中古オーディオに関しては、高額に取引される製品が多く、業者は多少の手間と費用を掛けてでも、十分に採算が取れる。俗に“ビンテージ”に相応しいオーディオ機器である。問題は、定価が数万円クラスの低額オーディオ機器、価値が微妙な業務用機器、その他諸々である。

ハイファイ堂秋葉原店。秋葉原の外れ、むしろ御徒町に近いくらいの立地条件。それにも関わらず、来店者が多い。斜め向かいにはアバック秋葉原本店があるので、オーディオマニアはこの2店を目的にわざわざ足を運ぶのである。
ジェンセンの大型スピーカーが入荷。いやー、聞き惚れるような素晴らしい音色でっせ!同店のサイト情報を抜粋すると・・・G610C搭載 3ウェイ1スピーカー バックロードホーン付フロアー型 16Ω 103dB オーク仕上げ H 1392×W 864×D 644mm W139.2×H86.4×D64.4cm 104.4kg  1983年発売・・・とある。McintoshのMC275、C22Rで駆動されていた。
パイオニアA-09。入荷したてのようで値札無し。さきほど同店のサイトで確認したところ、128,000円の値付けがされていた。同機の平均的な中古価格だ。A-09は1992年発売の重量級プリメインアンプ。現在でも人気が高い。

右はPASSのプリアンプALEPHP。ノブが黒いので初代モデルだ。これは先週末で入荷間もない状態。値札は作成中だったが、18万を予定しているとのこと。私の所有するALEPH Lの兄貴分にあたるモデルだ。ALEPH Pの下にあるのはAccuphaseのP-600。198,000円。

ダイナミックオーディオ秋葉原ハイブランド買取りセンター。日々、珍品や名機が入荷しているが、この度GT-2000Lの美品が入荷した。GT-2000シリーズは現在でも高値取引されている。126,000円は同機の中古平均価格。撮影出来なかったが、ダイヤトーンの名スピーカーDS-A3も入荷していた。

今日はここまで。ではごきげんよう。

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