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オーディオみじんこ
オーディオ聖地巡礼記2006年5月中旬

ここでは、みじんこの足で稼いだオーディオショップ巡礼記をお伝え。巡礼地は秋葉原を中心とした東京都内のオーディオショップ最新情報、みじんこの目に止まった新入荷のオーディオアクセサリーや珍品、名機と謳われた中古オーディオ機器の入荷状況をいち早くご紹介!みじんこがオーディオ店で見て聞いたオーディオ業界裏話も。

2006.05.08
大型連休秋葉原オーディオ店最新情報その1

こんばんは、みじんこです。5月4日。ちょうど大型連休の真っ最中。3時間ほど掛けてお茶の水/秋葉原のオーディオ店を巡礼。今日はそのときのめぼしい情報をレポートします。

中央線お茶の水駅を降り、オーディオユニオンお茶の水店へ。1階にESOTERICのユニバーサルプレーヤーUZ-1が入荷。昨年12月に発売された現行機種だ。定価60万円が中古実売378,000円。横幅は400mm。フルサイズ機器(430mm)に比べて少し幅が狭い。ハイセンスな部屋にも馴染むよう、洗練されたデザインとなっている。逆に言うと、オーディオマニアにはあまり好かれなさそうなデザインと思える。2階にはMarantzのCD-7が入荷。定価472,500円に対し、中古実売258,000円。同機は先月、吉祥寺店にも入荷していたが、店毎にずいぶんと値付けに差がある。PSEマーク付加による手数料が加算されているのか、それとも売れると見込んでの強気の値付けなのか。一概には言えないが、区内から外れるに従って値段が安くなる傾向がある。
同店2階にはWadia6iも入荷していた。中古価格348,000円。Wadia6iはWadia6に対しておこなわれたグレードアップサービス品に与えられた名称。Wadia850と同じDAC部に変更されている。

SONYのデジタルプリメインアンプTA-DR1。定価1,050,000円。中古実売598,000円。この数ヶ月で中古実売価格が微妙に下がった。デジタルアンプの革命児的存在TA-DR1。高額な製品だが、雑誌での高評価と試聴会などでのデモンストレーションが功を奏し、それなりのヒット商品となっているようだ。販売数が多ければ、中古への出物も比例して多くなる。同機の中古品は過去1年ほどの間に5台ほど見かけた。

オーディオユニオンお茶の水店を出て、徒歩で秋葉原へ向かう。お茶の水から秋葉原までは歩いて10分くらい。お茶の水駅から中央線沿いに淡路坂を下ると、秋葉原界隈に最短でたどり着ける。淡路坂を下る手前、聖橋という橋が左手に延びている。神田川とJRをまたぐ聖橋からの眺めはなかなかに絶景。写真撮影している人を何人も見かけた。この橋から西方面(新宿方面)を眺めると、緑に囲まれたビル群がそびえ立っている。東京医科歯科大学、同付属病院、順天堂医院などである。
聖橋から東側(秋葉原方面)を望む。赤いラインの電車は東京メトロ丸ノ内線。丸ノ内線が地上に露出している数少ないスポットだ。手前右のJRお茶の水駅から中央奥に延びているのは総武線。その先に見えるビル群が秋葉原電気街。河と電車と緑とビル群が絶妙なコントラストをなしている。タイミングが良ければ、丸ノ内線/総武線/中央線が交差するところに出会えるかも。
秋葉原の中心街。中央通り秋葉原駅前西口交差点付近。本日は休日ということもあり、中央通りは歩行者天国になっている。それにしても、もの凄い人の多さだ。普段の休日より明らかに人が多い。普段は見かけない家族連れが多数見受けられた。お店の人も言っていたが、通常の土日の倍以上の人口密度だ。まして、本日は連休まっただ中。地方からの遠征オタク、家族連れ、修学旅行の学生たち、団体バスで来る観光客などがどっと押し寄せている。その密度たるや、いまにも臨界点に達しそうな勢いであった。写真に写っているあたりの人の多さはまだマシ。中央通り大交差点から末広町交差点にかけて(この道の先の方)は尋常ならざる人口密度。いわゆるコスプレ系のイベントが催されているものと推察。休日の秋葉原は、いまやコミケのコスプレ会場と同じ状態。その分野は私のやや範疇外なので、さっさとオーディオ店巡りする事にする。
総武線高架脇の路地。オヤイデ電気や東京ラジオデパート、ネジの西川、それに石丸電気本店がある。右はオヤイデ電気。1ヶ月ぶりに訪れたが、今回もびっくりするような新製品があった。
こちらがそれ。オヤイデ電気の新型切り売り電源ケーブルPA-22とPA-23。ケーブル直径は約11mm。導体はPCOCC-A。0.023φが77本撚りで1芯あたり2スケとなっている。PA-22は2芯。PA-23は3芯。絶縁材、および充填材はポリオレフィン。シールドは銅箔。外装シースはポリウレタン。お気づきの通り、これはまさしくTUNAMIのジュニア版。TUNAMI/TUNAMINIGOとの大きな違いは導体径。TUNAMI/TUNAMINIGOは5.5スケアだが、PA-22/PA-23は前述の通り2スケア。もう1点、TUNAMI/TUNAMINIGOにはドレイン線が存在するが、PA-22/PA-23にはドレイン線を廃している。PA-22/PA-23の外装シースはTUNAMINIGOと同じ色彩、同じ質感。ケーブルは思いのほか柔軟。程よい硬さだ。値段はPA-22が実売2,362円。PA-23が実売2,756円。
こちらがオヤイデ電気店内に積まれているPA-22とPA-23。TUNAMIのジュニア版を開発中という話は以前、オヤイデ電気の村山社長から聞いたのだが、予告通りの製品に仕上がっている。私は早速、これらを2mづつ購入。近いうちに試してみたいと思っている。予想、TUNAMIのジュニア版であるからにして、これらはきっと素晴らしい音質に違いない。TUNAMI/TUNAMINIGOは切り売り最高峰に位置する電源ケーブルであると感じている。しかしながら、ケーブルが太くて硬めであるため、ケーブル取り回しの面ではやりづらい場合もあった。それを克服したのがPA-22とPA-23。仕様箇所や機器類に応じて、TUNAMI/TUNAMINIGOにするかPA-22/PA-23にするかを選ぶ事ができるようになったのだ。例えば、壁コンセントから電源タップ、パワーアンプなどの大電流機器にTUNAMI/TUNAMINIGO。そして、ソース機器やプリアンプなどの小電力機器にはPA-22とPA-23をあてがうと、とんでもない世界が開けそうだ。

PA-22とPA-23は切り売り電源ケーブルの中でも低価格な部類に入るので、長大な取り回しが必要な場合にもうってつけと言える。それと、PA-22に関しては2芯タイプであるため、スピーカーケーブルにも使える。いまだPA-22とPA-23の音を確認していないので大げさなことは言えないだが、PA-22とPA-23の登場によって、私の電源ケーブル素線探求は一段落しそうな予感。なお、本日時点で同社ホームページにはPA-22/PA-23の告知はなされていない。ただ、店頭にはすでに並んでいる。欲しい方はオヤイデ電気へ。

今回はもうひとつサプライズがある。それがこれ、新型電源プラグ/IECインレットコネクターF-1/M-1だ。18,112円/個とかなりの高額プラグ/コネクターだが、その価値はある。以前、F-1/M-1の試作品を聴く機会があった。このプラグコネクターに換えただけで音楽ががらりと様変わりしたのを実体験しているからだ。なお、発売は5/20である。現時点ではまだ発売されていない。

F-1/M-1には従来品にない3つの特徴がある。ひとつが導体にベリリウム銅を採用していること。もうひとつが、メッキにプラチナ+パラジウムメッキを採用していること。3つ目がアルミケースの採用。

まず、ベリリウム銅の採用について。ベリリウムをオーディオ製品に採用している例は、現在ではほとんど見受けられない。ベリリウムは非常に硬度が高く、強度に優れた金属である。古くはカートリッジのカンチレバーや、スピーカーの振動板に使われていたこともある。また、銅とベリリウムの合金であるベリリウム銅にも優れた特徴がある。電気伝導性や耐久性に優れており、オーディオ用の電極としては理想的な素材とも言える。ただ、ベリリウム銅は非常に高価である。それにもまして、ベリリウムには毒性があるということが判明し、オーディオ製品からベリリウムを謳った製品は消えていった。ただ、現在でも多くの家電製品に使われているという事実もある。もっとも、ベリリウム中毒というのは、ベリリウム、あるいはベリリウム合金の加工時に生じる粉塵を吸い込んだ場合に起こる事。成形後のベリリウム合金は、飲み込んだり、意図的に削って吸い込んだりしない限り問題ないのである。ましてや、この製品、耐久性に優れたメッキ処理がされているから問題ないのである。

F-1/M-1が有する高音質の大部分はこのベリリウム電極が作用しているものと思われる。端的に言うなれば、音楽に熱気というか、情熱が宿るのだ。情報量も格段に向上。比較対照に用いたP-037/C-037と、この点で大きく差を付けた。まやかしに思うかも知れないが、聴いた私が第一音目ではっきりとそう感じたので、そういう感想になるのである。

プラチナ+パラジウムメッキに関して。ベリリウム銅の情熱に自然な広がり感がプラスされる。試作品の試聴時に、無メッキベリリウム電極と、ベリリウム電極+プラチナ+パラジウムメッキも比較。どちらも魅力的だったが、プラチナ+パラジウムメッキの効果は明確に感じられた。なお、製品化されるF-1/M-1にはプラチナ+パラジウムメッキが施されている。

なお、私が試聴したのはケース部分が樹脂製のものであり、実際の製品であるアルミケース装着バージョンは、私が試聴した試作品からさらにグレードアップしているらしい。

3つ目。アルミケースの採用について。海外製の完成品電源ケーブルに装着されている電源プラグには、金属ケースを装着したものもある。しかしながら、金属をケース部分に用いた単売品ACプラグ/IECコネクターはF-1/M-1が史上初。ケース部分はアルミ削り出し。常識から考えると、本来絶縁体であるべきケース部分に金属を採用するのは、危険きわまりないと言える。従って、どんな高級プラグであろうとケース部分は樹脂で出来ているものなのだ。どんなにシールドを厳重に施した高級電源ケーブルであろうと、ACプラグ/IECコネクターの部分はノンシールド。ACプラグ/IECコネクターというのは外来ノイズが飛び込みやすい箇所である。一部のマニアは、ACプラグ/IECコネクターにアルミホイルを巻き付けるなどの対策を施したりしている。たしかに安上がりで手っ取り早い対策ではあるのだが、欠点もある。まず第一に見た目が悪い。それに、アルミは破けやすく、導通部分にアルミホイルの破片が接触したりすると発火の危険性があったりもする。その点、きちんと製品化されているF-1/M-1なら、そういう事柄とは無縁。

さて、ここで疑問に思うのは、アルミケース装着品がなぜ製品化にこぎ着けたかである。当然ながらこの製品、PSEマークを取得済み。F-1/M-1の開発には様々な苦労があったと聞いている。試行錯誤の末たどり着いたのは2重構造。まず内側に樹脂製のケースがあり、それを覆う形でアルミケースが装着されているのだ。これでPSEも無事通過。

ペア36,000円弱にもなる高額なプラグコネクターだが、システムに1組使うだけで恩恵を受けられると思う。私的には、無理をしてでも1組購入したい。どこに使うかはユーザー次第だが、やはり最上流機器のCDプレーヤーの電源ケーブルに用いるのが効果的だろう。

オヤイデ電気店頭に展示されているWBTのプラグ類。先月から大々的に取扱を開始。75Ω伝送に完全適合したネクスジェンプラグもある。
おまけ。オヤイデ電気店頭のケーブル見本展示。

今日はこれまで。では、次回も秋葉原オーディオ情報を予定しています。

2006.05.07
大阪日本橋オーディオ店の最新状況その3

こんばんは、みじんこです。ページが長くなるので、5月は早くも2ページ目に突入です。5月初旬はこちら。さてさて、今日は大阪日本橋でんでんタウンレポートの続きです。今日はシマムセン、オーディオナニワのレポートです。

シマムセン。店の入り口は普通の電気店。1階はポータブルオーディオやミニコンポ。2-3階がオーディオ専門フロアとなっている。評論家を招いての試聴会も度々開催している。右は2階にある電源アクセサリーショーウィンドウ。小さい店舗の割にはなかなかの品揃え。
シマムセンは数々のオリジナルアクセサリーを発売している。とはいっても、同店完全オリジナル品は少なく、大部分はメーカー品の組み合わせだったりする。上はその一例。左はSilver5087-WBT。オヤイデ電気の5N純銀単線同軸ケーブルFTVS-510にRCAプラグWBT0108を組み合わせたもの。仮にこれを自作する場合、1.0mペアものの材料代は18,000円弱になる。手先が器用な人は自作した方が安上がりだが、腕に自信の無い人はこれを買えば良いかも知れない。FTVS-510は優秀なデジタル切り売りケーブル。私はFTVS-510の両端にBNCプラグを取り付けて、CD-DAC間のデジタルケーブルとして愛用している。WBT0108は言わずと知れた高級RCAプラグの代表格。ホット/コールドともにネジ留め方式を採用している。

右はSilver6032-WBT。シャークワイヤーの6N純銀切り売りケーブルSL0528GにWBT0108を組み合わせている。

こちらもシマムセンオリジナルケーブル。左はBlack&White4298-WBT。monitorのスピーカーケーブルLS502をケーブルに採用。端末にWBT0108を装着している。本来スピーカーケーブルであるLS502をラインケーブルに応用したのは福田雅光先生であった。その時の記事はオーディオアクセサリー誌118号(2005年秋号)128ページに掲載されている。福田先生曰く、10万円クラスの音質と評されている。なお、福田先生がLS502に組み合わしていたプラグは、フルテックのFP-106R。グレード的にはWBT0108と互角。

右はHS&TのEM-EEF2.0にクライオ処理を施したEM600VEEF/F2×2.0CRYO。HS&Tは、東日京三/日立電線/住友電工/タツタ電線の4社が出資した新会社「住電日立」のブランド。したがって、一世を風靡した東日京三EM-EEF2.0は現在、HS&TのEM-EEF2.0となっている。この合資の件、及び旧東日京三EM-EEF2.0とHS&TのEM-EEF2.0の音質変化の件は、AA誌118号に福田先生がコメントされている。私も同情報を東日京三からずいぶん前に直接聞いていた。HS&TのEM-EEF2.0はオヤイデ電気で315円なり。クライオ処理で値段が3倍に跳ね上がるこの世界、オーディオ業界って恐ろしい。

シマムセン店頭のショーウィンドウ内に飾られているオリジナルケーブルたち。

右はシマムセン2階で売られているソニーのPCMレコーダー。型番はPCM-D1。記録媒体は内蔵フラッシュメモリー4G、及びメモリースティック。機器の上部にステレオマイクが搭載されている。ソニーらしいメカニックで洗練されたデザインだが、マイクを内蔵させる必要があったのかどうか、評価の分かれるところ。定価はオープン価格。実売は196,800円に斜線が引いてあり、さらに安くなるようだ。

生粋のオーディオ店でポータブル型のデジタルレコーダーを販売している店は珍しい。余談だが、秋葉原で同機を販売しているオーディオ店は、ヨドバシマルチメディアアキバくらいだったはず。秋葉原でデジタルポータブルレコーダーの品揃えが豊富なのは、秋葉原ラジオ会館2階の業務用音響機器専門店TOMOCAプロショップ

同機を始めとして、この1年ほどの間にデジタルメモリー搭載のポータブルデジタルレコーダーが相次いで発売されている。これはまだ序章なのかも知れない。近いうちに、これら新世代のデジタルデンスケによる野外録音ブームが再燃するかも。

シマムセンを後にし、オーディオナニワに向かう途上、思わず足を留めた店があった。ガンダムをテーマにしたバーである。店名はBAR78banchiとある。たぶんRX-78が店名の由来か。ガラス越しに巨大なシャアザクが置いてあり、壁にはジオン公国の国旗が飾られている。軒先の看板にはギレンザビのイラストとともに「呑めよ!国民!」とコメントされている。こんなバー、半年前には無かった。うむむむ。かくいう私もバー好き、ガンダム好きなので、ちょっと入ってみたくなった。今度、帰省の折には、同じ趣向の友人を連れて来店してみるか。気になる人はがんばって探してみてください。ジョーシンのガンダム専門店GUNDAMSの近くにBAR78banchiはある。
でんでんタウンの裏通り。とらのあな、コトブキヤ、KBOOKS、イエローサブマリン、ソフマップが軒を連ねる。この界隈、店名を聞いて想像がつく通り、でんでんタウンで最も賑やかなオタクスポットなのだ。メイドカフェもこの一帯に散在している。でんでんタウンは交通の便がいまいちであり、通常は地下鉄難波駅からなんさん通りを経由して、徒歩ででんでんタウンに向かう人が多い。その際、なんさん通りを右折してこの裏通りを通過するパターンが多い。この一帯を目的としているオタク達と、ここを通過してでんでんタウン大通りに向かう人々が混在して、賑やかである。
オーディオナニワはこの裏通りに位置している。2階までが店舗。1階部分の右側半分は業務用スピーカーやDJ機器などが展示されており、左側は中古オーディオ機器と新品の初級中級オーディオ機器。オーディオアクセサリーやアナログアクセサリー類も1階に展示されているが、充実度はたいした事無い。2階は高級オーディオ機器の展示販売フロア。
ショーウインドウ越しにはなかなかの珍品、名機が展示されている。今回、目に留まったのはWadiaのトラポWT-2000SとDAコンバーターX-64.4セット。セットで278,000円はかなりお買い得。通常、WT-2000S(定価78万円)の中古相場は25万。DM-X64.4(定価135万円)の中古相場は20万円程度。15年ほど前の製品だが、ワディアはワディア。人気が高いのである。私自身、WT-2000Sの出物を探しているということもあり、買うべきか否か考え込んでしまった。状態は美品。WT-2000Sは古い機種だが、トラポなのでDACは関係ないし、メカはTEACのP2sと同等のVRDSメカを採用。筐体は頑丈そのもの。クロックを高精度なものに交換してやると、まだまだ第一線で活躍出来ると言う話もある。デザイン的にも好みであるし、私的にはかなり魅力的。

日本橋でんでんタウンの巡礼レポートはこれにて終了。お楽しみいただけたでしょうか。次回は秋葉原最新情報をお届けします。ではでは。

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